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カタスミ

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『一ノ瀬ユウナが浮いている』乙一著

2024-11-28 01:20:46 | 小説感想
昔から乙一氏が好きでよく読んでいたのだが
久々に新刊を見つけて購入。
正直言いますと、辛口感想になりますので
自己責任で以下お読み下さい。ネタバレ有り。




















う~ん、乙一氏文章下手か?
と思ってしまった…
これはもうどこがどう、とかは言えないんだけど
なんかもっさいというか、洗練されていないというか…
そう感じてしまう、としか言いようがないのだが。
最初に震災の話から始まるので
震災が絡んでくるのかと思っていたらそうでもなく、
その話いる?って感じだった。
集英社文庫なのだが、やたら少年ジャンプを上げる内容で
集英社のアピール本なのかと思った…

内容は、幼なじみで好きだった女の子を亡くした主人公が
線香花火を介してその子を呼び出す事ができるようになり、
二人であちこち行ったりする、という感じで。

しかしだいたい二人であちこち行くだけで大きなドラマもなく
だらだらと話は続いていく。…これだけ?
第三者が話に割り込んでくる事もなく、
ずっと二人の世界なのだ。
(多少は女の子の家族とかとの絡みはあるけど)
う~ん、あんまり面白くないかも…?

話の流れが変わるのは中盤以降で、
呼び出す為の線香花火を全て家族に使われてしまうのだが、
ちょっとひどくない?、と。
人の部屋にある物勝手に使う?
携帯がある時代の話なんだから、
いくら旅行に行っている間とは言え、とりあえず本人に了承得ない?
百歩譲ってどうしても子供がやりたがるから、っていうのなら
全部は使わんだろうよ、全部は。
だいたい子供だからって何でもかんでも許されると思うなよ?
そして、何でもかんでも許してんじゃねぇよ大人!
大人が子供にしてはいけない事をきっちり教えないといけなくない!?
しかも幼なじみを亡くして落ち込んでいる息子の部屋にあるものを
勝手に使うのとか有り得ないわ。
形見とか、大事に取ってるかもしれないのに。
花火はいずれ何らかの形で失われるとは思ってたけど
まさかこんな形とは思わず、非常に憤った。

奇跡的に1本だけ線香花火が見つかり、
最後に二人が再会して、告白して終わるのだが、
まぁ、ラストは爽やかで良かったかな…?
でもあれだけ引っ張っていた割にあっさりし過ぎな気もする。
とりあえずモヤモヤしたものが残った話だった。

昔は乙一氏の本は大好きで
特に『暗いところで待ち合わせ』は好きな小説BEST5に入る名作だと思っているが、
若かりし時に読んだ為、もしかしたら今の年齢で初読みだったら
感想はまた変わっていたのかもしれない。
今回の話も高校生の青春恋愛物って感じで、
薄ら寒いというか、どこか冷めた目で見てしまう始末…
年齢的に合わなくなったのかなぁ…
それとも文章の下手さを感じてしまう辺り、
昔は読書回数も少なく、そこまで感じなかった粗が
読書を重ねた結果見えるようになってしまったとか?
でもやっぱ、昔の話より内容が単純になってる気はするなぁ…

昔の話は全部好きなのだが、
最近の乙一氏、並びに別名義の小説は
全部不発なんだよなぁ…
もう乙一小説は卒業なのかもしれない。
星は2つ。

『N』道尾秀介著

2024-11-23 02:03:05 | 小説感想
どの順番で読んでも自由。読みたい話から読んで
自分だけの物語体験をして下さい。
みたいな感じで紹介されていたので読んでみました。
以下ネタバレあり。



















冒頭に6つのお話の1P目が掲載されており、
興味のある話のページ数へ飛んでお話を読む。
また、お話ごとに上下逆さまになっており、
くるくるとひっくり返して読む事になる。
正直、個人的にはこのシステム合わなかった…
いちいち面倒くせぇなぁ…と。
どの話から読んでも良いし、ページ数あっちこっち飛ぶし、
上下くるくる回して読んでいるうちに、
どれだけ読んだかよく分からなくなり、
あれ、次で終わりか…?って気付くのがなんか嫌だった。
やっぱり本ってだんだんページ数が減っていって
もう少しで終わるなぁ…!と感じながら読むのが良いと思うの。
達成感っていうのですか?私だけ?
普段あんまりそんな事考えて読んでなかったけど
今回こういう読み方する事で感じた次第。

お話自体は全部で6話あり、
読む順番によって話の印象は変わってきますが
全部読んでしまったら大した差は無いように思う。
結局結論は全部一緒なのだから…
これが1を読んで2を読むのと
2を読んで1を読むので
全く結論が変わってしまうならすごい!ってなったかもだけど…
ただの短編集を適当な順番で読むだけの話だったように思った。

まぁ、私の場合、最初の物語が紹介されている順に読んだので
全く面白みもないのですが。
だいたい6話のうち、こっちでちらっと出てきた人が
別の話で主役だったり、こっちの謎が別の話で解決されたりと言う感じで
関連性はあるのでそれなりに楽しめはしました。
伊坂幸太郎の作風とちょっと似てるのか…?
私の読んだ順番は以下の通り。

●名のない毒液と花
中学の理科の女教師と
ペット探偵をはじめた新婚の夫とその相棒の男。
最初の依頼で見つけた犬、
女教師の教え子で最近素行が悪くなった男子生徒。
この辺が絡んでお話が進む。
最後誰かが死ぬのだが、
この段階で誰が死んだかは分からず話は終わる。
でもこの話だけ読んだ時は、犬が死んだのかな?と思っていた。

●落ちない魔球と鳥
名のない毒液と花でちらっと出てきた野球少年が主人公。
尊敬していた兄が自殺し、その犯人をあぶり出す為
来る日も来る日もフォークボールの練習をする少年。
ある日たまたまヨウムという鳥と出会う事で
自殺願望のある少女と知り合う事に。
漁師のニシキモさんに連れられて海へ向かい、
最後は空から降り注ぐ光の柱が花のように見えて…
というシーンで終わる。

●笑わない少女の死
名のない~に出てきた英語教師の話。
退職して海外旅行中に出会った幼い少女を
自分が追い詰めて殺してしまっていた
という結構絶望的なお話。
死んだ母の生まれ変わりである蝶を捕まえていた箱を
英語教師が興味本位で開けてしまい、
気付かぬうちに蝶を逃してしまっていて
それに気付いた少女が慌てて走り出した所を
運悪く車に轢かれて死んでしまう。
箱の中身は『ホリブル(恐ろしい)』だと少女は言っていた。
でも中身は蝶々だった。
よく分からないまま話は終わった。

●飛べない雄蜂の嘘
落ちない魔球に出てきたニシキモさんが出てくる話。
今より何年も前の話。
恋人からDVを受けていた女性がその恋人を殺してしまう。
たまたまそこに居合わせた錦茂(漢字も判明)さんは
自分もその男を殺しに来たと言い、
遺体を捨てる事を手伝う。
男ともみ合ったときに怪我をした錦茂さんは
しばらく女性の家に匿われるが
実は彼は泥棒で、たまたま泥棒に入った家で
DVが行われていた為仲裁に入ったのだった。
結局錦茂さんは警察に捕まるのだが、
話は現在に戻り、女性は恋人を殺した事はばれず
自分のやりたかった仕事も出来て、年老う。
昔の事を思いだしていると、最後に光の花を見つける。
どうもこの光の花があちこちのお話の核になってる模様。
Nの説明もこの話の中でされていたので
この話が中心軸なのかなぁ…と思う。

●消えない硝子の星
笑わない少女~のお話の少し前の話。
まだ少女の母親が生きている時の話。
在宅終末医療を担当する日本人のカズマ。
こちらのカズマ、名のない~にも登場。
少女が母親の命を救う為、海岸でウラン硝子のシーグラスを見つける話。
奇跡的に見つかり、カズマは神様を信じ、この話だけでは良い話なのだが、
笑わない少女を先に読んでしまった私はなんとも薄っぺらい話に見える。
結局少女は救われなかったし、神も仏も無いわなぁ…
カズマもケア後も連絡取れば良いのに…
結局知らない方が幸せなのかもしれんが…
この話で『ホリブル(恐ろしい)』は『ホーリーブルー』という蝶々の話だと分かる。
あの英語教師のリスニング能力がもう少し長けていたら
こんな間違いはしなかったのかもしれない。
でもあんな箱に入れてたら、いずれは逃げるか死ぬかしてたとは思う。
タイミングが悪かったのかなぁ…
あっちを読んでたら全て失ったステラのその後の精神状態まで心配になるわ。
でもこっち読んであっち読んだ方が絶望感は倍増したかも。

●眠らない刑事と犬
街で起こった夫婦の殺人事件を追う女刑事と
うさんくさいペット探偵が事件に関係する犬を探す話。
もちろんペット探偵は名のない~に出てきた相棒の方。
今回の話で名のない~で死んだのは犬では無くて理科教師の夫だと判明する。
う~ん、なんかやりきれねぇわ…
女刑事は自分の息子を犯人だと疑っていたのだが
犯人は殺された夫婦の息子だった。
女刑事とその息子は永遠に埋まらない溝が出来た訳だが
そこに光の花が降り注ぐのだった。救われねぇな…

読む順番によって、印象がガラッと変わったり、
受けるダメージが倍増しそうなお話はありましたが
結局読み終わったら話の解釈としては同じなので
結論が変わる事は無いように思うのだがどうだろう?
読む順番が変わる事で
結論の解釈が変わるのならすごいなぁと思ったかもしれないし
それを期待して読んでいた部分はある。
結局はだたの短編集だと思うので
凝った作りにしなくても、普通の本で良かったかなぁ…
上下逆にするのは本当に読むの面倒だった。
お話自体はそこまで悪くなかったが、
あんまり読後感良くないのが多いので、
もうちょっとハッピーエンドっぽいのもあってもよかったかなぁ。

星は3つ。

『くらのかみ』小野不由美著

2024-11-19 22:49:07 | 小説感想
小野不由美ってんで買ってみました。
以下ネタバレあり。



















う~ん、十二国記レベルを求めるのは間違いか…
子供向けホラー&サスペンスって感じ?

行者に祟られ、座敷童子に守られている大きなお屋敷の本家。
主である大伯父が余命幾ばくかで、後継者を選ぶ為
血縁のあちこちから人を呼んできて話し合いを行う事に。
しかしその後継者選びを妨害するかのごとく大人達の間で殺人未遂事件が起こる。
同時に子供達の間では、座敷童子が混じって
子供がいつの間にか1人増えているという怪異が起こっていた。
大人達の殺人未遂事件を、子供達が推理して犯人を見つける為奮闘する。

基本子供向けっぽいので、文章は読みやすいものの
話の展開はいまいちな感じでした。
もっと座敷童子が助けてくれたりするのかと思いましたが
そんな事は無く、正体もさらっと明かされてなんか拍子抜け…
登場人物も多いので、誰がこの時何をしていたのか…
みたいなのを説明されてもあんまりピンと来ず…
文章の間に絵での説明が入るので、なんか読みにくかった。
座敷童子も犯人もあんまり意外性もなくて
へ~、ふ~ん、そうなの…って感じで
なんかぱっとしなかった…
脅しなんかじゃ無く、人が死ぬレベルの事やってるのに
警察に言わないのもよく分からんし…
こんな呪われた家、いくらお金があっても継ぐの嫌じゃ無い?
親戚の関係性もなんかよく分からんかったわ…
私の読解力がないだけか^^;
そもそも死んだ母方の家の後継者選びにその旦那担ぎ出すのも変な話。
とにかくまぁ、あんまり食い付く事が出来ず、適当に読んでしまった…
いまいちでした。

本の感想もいろいろあって、
面白くても感想書けるやつと書けないやつがあるし
面白くなくても書きたい事山盛りあるやつと何も無いやつがある。
今回は面白くなくて言う事もない部類に当てはまるなぁ…
なので感想文もなんか適当になってしまった^^;
共通して言う事があまりない場合は後々に話の内容をすっかり忘れているという…
これもすっかり忘れちゃいそう…

星は3つ。


『アリス殺し』小林泰三著

2024-11-13 20:23:40 | 小説感想
youtubeで何度か面白いと流れてきたので読んでみた。
以下ネタバレあり。























不思議の国で起こった殺人が
地球でもリンクしている…
長年不思議の国の夢を見ていた亜理は
ハンプティ・ダンプティの死をきっかけに
あちらとこちらがリンクしている事に気付く。
こちらにいる自分の周りにいる人の多くが
あちら側の登場人物であった。
不思議の国で殺人容疑をかけられてしまったアリスの
容疑を晴らす為、亜理と井森はこちらで捜査をはじめる。

う~ん…
元々不思議の国のアリスの原作は読んだ事ないんだけど
こんなとりとめの無い会話ずっとしてんの…?
いまいちかみ合わない会話がずっと続く感じで
あんまり共感ができないせいか
登場人物が死んでもそこまで心に響かず…
よく分からんままに物語が進む感じ。

登場人物もハンプティ・ダンプティの地球側の人が王子玉男とか
ふざけた名前のせいで、なんか全部冗談みたいな感じがしてしまい
深刻さに欠けたかなぁ…
結構残酷な殺され方するんだけど
それもまた悪趣味な冗談みたいな感じで、
結構重要な登場人物も殺されるけど
あらら~、くらいの感情しか持てなかった。
感情移入が非常にしにくかったかな?

眠り鼠はなにかしら重要な存在だとは思ったけど
答を見たら、あ、そうなんだ…という感じ。
名前で言うと、ふざけた名前ではあるけど
ある意味ミスリードに必要だったのもあるのかな?
まぁ、そこが解明されたからと言って
大きな感動な無いのだけれどもw

これってアリスを読んだ事ある人と無い人では
また印象が変わるのかもなぁ…
結構続く噛み合わない会話は割とうざい感じでしたが
話はそれなりに読めたかな…?
感情移入度が低すぎてそこまでお話に入り込めなかったのが残念。
星は3つ。


『世界でいちばん透きとおった物語』杉井光著

2024-11-07 00:43:57 | 小説感想
人にお勧めされたので読みました。
以下ネタバレあり。






















とある小説家と、ファンであった母親が不倫をした結果
主人公が生まれる。
父親とは会った事がなく、18歳まで母親と暮らすが
その母親は交通事故で死亡。
その2年後、父親も病気で死去。
異母兄弟の依頼でその遺作を探す事になるが…

という話です。
とても読みやすく、さくさく読めましたが
ストーリーに関してはそこまで心に来るものは無く…
なんか出版社の編集の姉さんが、最後ネタばらしするも
非常におせっかいだし、余計なお世話だなぁ…としか思えなかった。
ただ本出したいだけちゃうの?
父親が殺そうとしたのはあなたです、とか言わなくていいやん。
主人公が父親のアイデアを継ぎ、小説を書くのだが、
個人的には書くんだ…という感じで。
1度も会わず、クズみたいな父親で、
それでも自分の為に裏でいろいろしてくれていた事を知り、
それで…書くんだ…と。
自分だったら今更父親面するな!とか思っちゃうけど。
そこまで関わりがないからこそ出来たのかもしれないが。

まぁ、そんなこんなで話の流れとしては
ふう~ん…という感じで読み終わり…
正直この本の真髄はそこではなかったのだが
読み終わっても全然気付かなかったww
裏表紙の帯に書かれた『紙の本でしか体験できない』という文字で
ようやく(まさか…?)となったのでした^^;

確かにこの形を維持するのには相当の労力が必要だろうし
大変だったとは思う…思うんだが…
正直な感想は『で?』だった…(;´Д`)
そこに労力割くの違くない?
読者求めてるのそこ??みたいな…
このからくりこそがこの本の真髄なのでしょうが…
う~ん、自分はあまり響かなかったなぁ…
別に私はこの主人公みたいに目に障害がある訳でもないし…
このからくりが私に何か恩恵を与えてくれるのか?
それならもっとストーリーを面白くするべきでは…?
なんて言ったら身も蓋もないんだがww

最後の空白のカギ括弧も全然気付かなかったけど
後からこのからくりを知って見てみたら、
ちゃんとそこにもからくりが施されてましたね。
でもどうせなら、この本の作者名も主人公の名前にすべきでは?
そうするとネタバレになっちゃうのかな?
この形を維持する事が読みやすさに繋がってるんだとしたら
そこは良かったのかもしれない。

自分ストーリー重視なもので
からくりに気付いていないときは星3.5かなぁ…
と思ってたのだけど、気付いてからは星3になってしまった。
ひどいwww
何か興醒めしちゃったのでした…^^;