土曜日の事でため息がでるからか、弱いくせに、ぐずぐずな気分でヒロのビールを半分貰ってほろ酔い。
ヒロをこんなに思うのも意地なのかな。
どうでもヒロと幸せになるって意地なのかな。
そうすることだけが唯一の予防策だと私は無意識に思ってるのかな。
今になっても子供みたいに残酷なほどにヒロが愛おしくて堪らない。
絶対にもう離れたくないとか、ちょっとでも私を思っていっぱい思って、って思う心を切り取って引き出しに仕舞ったり出したりと自在にコントロール出来たら、こんなに気掛かりじゃないだろうけど。
どんなに努力したところで、揺れるからこそ切なく、だから気持ちを固定するなんて出来っこなくても。
今日もやっぱりヒロが大好きでしようがないみたい、大好きアイシテル。
ちょっとおどけてそう言って私からヒロの首のあたりから腕を絡ませて抱きつく。
名前をゆっくりと優しく呼ばれて顔を上げる。
ヒロの顔に何のためらいもなく近づく。
唇を合わせてお互いを吸い込む、絡ませる。
それから見つめ合って思い出した。
そう言えばね、この前会社のメンバーでカラオケに行って来たんだけど。
それでね、その時ちょっと込み入ったやっかいな件が仕事であって、ヤバかったんだけど彼の活躍で事なきを得て、すごく助かったっていうか、お手柄だったんだけど。
いっしょに働いてて良かったって言ったらねキスされちゃった。
ちょうど真向いに座ってて…。
「キスされたの?どんな?」
言いながら何度も、こんな感じ?こんな感じ?って訊いてヒロがキスをくり返す。
う~ん、ぜんぜん大したことないチュッって感じでされても何にも感じない、そういう感じ。
どう思う?
「どう思うって、このタイミングで何で言うんだよ、そもそも。」
ソファーの裏側から背もたれに座って私を抱き寄せた、そのままの距離で話し続けるから、ヒロの表情が全部見えないくらいの至近距離で。
自慢してるのか、ヤキモチを妬かせたいのか、どっちだと言われた。
どっちも、って言ってみる。
どっちも違うけど、どっちもとだけ。
「聞けば良かっただろ。」
訊いたよ。
訊いたら、可愛いからって。
10も年下のクセに生意気なの、ってちょっと笑いながら囁く耳元に。
「カワイイからってウチの奥さんになんでキスするんだよ。」
近すぎてやっぱりヒロの表情はわからない。
だから、変でしょ?
そう言うと、変というより、まりんにそれだけスキがあるってことなんだよ、ってちょっと怒った声で言うから、そういうことかっておどけたつもりで応える。
それからひと呼吸置いて、もう1度自分からヒロにキスをする。
不安っていう嫌味なお化けが顔を出して私を嘲るように笑うから、ヒロに構ってほしくて言っちゃったのかも、大して言わなくてもいいこと。
恐らく酔った勢いで、彼は覚えていないだろうくらい、酔ってたから。
私だって、ハエが留まったかのような感じないキスなんてどうでも良かったし。
私はヒロの座るソファーの上に静かに自分の脚を乗せてヒロに絡ませるように、腰をヒロに預ける様に寄せて、私からヒロをきつく抱きしめる。
お化けが出てくるの。
そう言っても、もうヒロの耳には入らないみたい。
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ヒロをこんなに思うのも意地なのかな。
どうでもヒロと幸せになるって意地なのかな。
そうすることだけが唯一の予防策だと私は無意識に思ってるのかな。
今になっても子供みたいに残酷なほどにヒロが愛おしくて堪らない。
絶対にもう離れたくないとか、ちょっとでも私を思っていっぱい思って、って思う心を切り取って引き出しに仕舞ったり出したりと自在にコントロール出来たら、こんなに気掛かりじゃないだろうけど。
どんなに努力したところで、揺れるからこそ切なく、だから気持ちを固定するなんて出来っこなくても。
今日もやっぱりヒロが大好きでしようがないみたい、大好きアイシテル。
ちょっとおどけてそう言って私からヒロの首のあたりから腕を絡ませて抱きつく。
名前をゆっくりと優しく呼ばれて顔を上げる。
ヒロの顔に何のためらいもなく近づく。
唇を合わせてお互いを吸い込む、絡ませる。
それから見つめ合って思い出した。
そう言えばね、この前会社のメンバーでカラオケに行って来たんだけど。
それでね、その時ちょっと込み入ったやっかいな件が仕事であって、ヤバかったんだけど彼の活躍で事なきを得て、すごく助かったっていうか、お手柄だったんだけど。
いっしょに働いてて良かったって言ったらねキスされちゃった。
ちょうど真向いに座ってて…。
「キスされたの?どんな?」
言いながら何度も、こんな感じ?こんな感じ?って訊いてヒロがキスをくり返す。
う~ん、ぜんぜん大したことないチュッって感じでされても何にも感じない、そういう感じ。
どう思う?
「どう思うって、このタイミングで何で言うんだよ、そもそも。」
ソファーの裏側から背もたれに座って私を抱き寄せた、そのままの距離で話し続けるから、ヒロの表情が全部見えないくらいの至近距離で。
自慢してるのか、ヤキモチを妬かせたいのか、どっちだと言われた。
どっちも、って言ってみる。
どっちも違うけど、どっちもとだけ。
「聞けば良かっただろ。」
訊いたよ。
訊いたら、可愛いからって。
10も年下のクセに生意気なの、ってちょっと笑いながら囁く耳元に。
「カワイイからってウチの奥さんになんでキスするんだよ。」
近すぎてやっぱりヒロの表情はわからない。
だから、変でしょ?
そう言うと、変というより、まりんにそれだけスキがあるってことなんだよ、ってちょっと怒った声で言うから、そういうことかっておどけたつもりで応える。
それからひと呼吸置いて、もう1度自分からヒロにキスをする。
不安っていう嫌味なお化けが顔を出して私を嘲るように笑うから、ヒロに構ってほしくて言っちゃったのかも、大して言わなくてもいいこと。
恐らく酔った勢いで、彼は覚えていないだろうくらい、酔ってたから。
私だって、ハエが留まったかのような感じないキスなんてどうでも良かったし。
私はヒロの座るソファーの上に静かに自分の脚を乗せてヒロに絡ませるように、腰をヒロに預ける様に寄せて、私からヒロをきつく抱きしめる。
お化けが出てくるの。
そう言っても、もうヒロの耳には入らないみたい。

