goo blog サービス終了のお知らせ 

あなたまであと一歩 

すべての風景のそこに、あなたが居てほしい。
最愛の人との、とるにたらない日々の断片を綴ります。

私の方程式

2012-01-30 | 揺れない
映画『麒麟の翼』を観てきた。
東野圭吾さんの原作を読んではいた。
間違いなく長編だったけど時間を忘れて楽しめた。

中井貴一さんの静かだけど、たっぷりの存在感に、胸が熱く…。
でも、ダイイングメッセージが、ちょっと解りづらい、かな。

中井貴一さんの娘役のセリフに、父を想いました。
いなくなってから思っても仕方がないのに、やっぱり後悔するものなのかな。

職場の先輩と観に行ったのだけれど、彼女もいろいろ感慨深かったみたい。

ヒロが出張していることもあって、まるで独身の時に戻ったみたいに、時間を気にすることもなく、映画の後は、お茶して、さらにお店を変えて夕食も。
お酒も入ると、つい仕事の愚痴が出てきてしまったけど、でもとても楽しいひとときだった。
「子供に初めに間違えた公式を教えれば子供はそれをずっとそのまま使ってしまう」というセリフが劇中に出てくる。
何故かそのセリフがいちばん印象に残った、何故かな。


ひとりになると、やっぱり考えてしまう。
もうやめよう、って思いながらも。
後悔しないと決めたのに、人を傷つけてなお生きていくことの、自分の人生の意味を考える。
悲劇のヒロインにはなれない。
私は悪役なんだ、そう考えることも逃避しているということになるかもしれない。

私は誰からも間違った方程式を教えられていないのに、どうしてこうも自分の都合だけで生きるのか。
自分を否定することで結局肯定しようとしていることも十分にわかってる。
それでも考えずにはいられなくなる。

ちゃんとヒロを愛し続けられれば許してもらえる、なんてそんな甘っちょろいもんじゃない。
私がヒロが好き、愛してる、そう言い続けることで自分を許してもらおうと、そう思ってるんじゃないかと、自分に問いかけてみる。

違う、本当に大好きでたまらない、それは事実だ。
でも、でも…本当にそうなのか、でも間違いない、意地だけではここまで一緒に居られない。

心理テストをふと思い出す。
ある状況下のキャラクターの中で、いちばんいい人、いちばん悪いと思う人は誰か?

静かに目を閉じて考える、比べる。
驚くこともない、私はどこかで間違いなく私がいちばん悪いわけじゃないと思いたがっている。


にほんブログ村 家族ブログ 新婚夫婦へにほんブログ村 人気ブログランキングへ


夫が恋人になる瞬間

2012-01-28 | 揺れない
1年前のブログを読んでみた、今さらながら。
進歩してない…。

でも。
ヒロへの思いは、変わらなくていいんだ。

金曜日の夜は、仕事で代理店さんの新年会に出席した。
私は旧姓のまま仕事を続けているので、私が既婚者だと知らない代理店さんもいる。
基本、私の担当していない人たちが、そうだ。
今年に入ってから、左の薬指に指輪をするようになった。

「これは、もしかして恋人からもらったの?」

何気に訊かれて、頷く。
ヒロは夫だけど、恋人だもの、私の心の中では今も。
だって、今も見つめられるとドキドキするし、そばに居ないと恋しい。

新しいクセをみつけたりしたときの微笑ましい喜び。
何なのよ、とか、バッカみたいとか、いい加減にして、とか、思いながらも、そういうところさえ、愛おしく思えてしまう、バカな自分が可笑しくて、クスクスひとり笑ってしまう、あの感じ。

ヒロが私をどう思っているか、いつも気になる。
ヒロに大丈夫だ、とか、心配した、とか、言われると、それだけでとても安心できる。

抱きしめられると、この幸せは恒常的なものに違いないと思って疑わない、私。
その次の瞬間、もの凄く嫉妬したりもする。
そういう時は、もうダメだ、絶望的だと思って、がっかりしてみたり。

私のヒロへの思いは、誰も止められない。
ずっとずっと溢れ続けてる、だから、恋人と呼ぶのが合っている。


酔って帰ってきて、録画しておいた海外ドラマを見ながら、今夜もヒロを想う。
途中で部屋から出てきたヒロに、まだ起きてたの?って言われた。
返事する代わりに、左手の指輪を見せて、自分でそっと口づける。

それが合図のように、ヒロが私の手を離す。
軽く顎を持ち上げられる。
私を覗き込むように、ヒロが来た…。

ねぇキスって、恋人同士になる気がしてこない?

「恋人?キスする前は、友達?」

オット…。


にほんブログ村 家族ブログ 新婚夫婦へにほんブログ村 人気ブログランキングへ


前進、いろいろ…

2012-01-27 | 揺れない
職場で、Mちゃんが隣の席に来て、すっごいことになってますよ、って囁いてきた。
なんでも、母店内でウチの課は地域営業課で、下から2番目らしい。

それは、確かに凄いかもね、支店長が気合い入れに来る日も近いでしょ。
いちおう、手はまわしてるけどね。
3つの代理店とは、ニギッた。

「何件?」

3の5の18。
ちょっとふっかけてるけど、20は固いはず。

「Zさん、風邪みたいだし、なんか精彩ないですよね、最近。疲れてるっていうか…。」

家族が来たしね。



Mちゃんに睨まれた。
何?って訊くと、違う、絶不調って感じじゃないですか、と言われた。
絶不調は、あたしだけど。

「ぜんぜん、目に入ってないんですね。」


Mちゃんに言わせると、ヒロと違って、Zさんは家族と暮らして疲れないそうだ。
それから、やつれてるのは、風邪のせいと、この低水準の目標達成率と銀行回りと医師会疲れだと説明された。


そっ。


「そっ、ってそれだけですか?」

だって、私の責任?
そりゃあ、多少は私の絶不調が移ったのかもしれなけど、そんなの私のせいじゃない。
統括代理なんだから、仕方ないでしょ。

そういうと、散散だ、冷たい、おまけに、本当に旦那さん以外興味ないんですね、って言い返された。
興味ある方が、問題でしょ。

どうせなら、私の絶不調、くまなく持って行って欲しいんだけど、って言ったら、悪魔!って更に追い打ちをかけてきた。

私もね、こう見えて、心はやつれてるのよ、わからないだろうけれど、いろいろあってね。



ヒロは、私に話したことを後悔しているのか、何か言いたげな表情をする、何度も。


「手を出して。」

何?

「いいから。」

まあ、いいか。
とりあえず、手をヒロの掌に乗せてみる。

「両手。」


もう片方の手を乗せると、ぎゅっと握られた。
そして、柔らかな表情で、殺人的なセリフを吐く。

「こうしてあげたかった。」


胸が熱くなる。
ふたりで入るには、少し狭い湯舟に向かい合って座って、私たちは暫くそうしていた。
ヒロは泣いてもいいと言った。
ひと肌のお湯は、泣きたくなったりする時があるんだ、だから泣いていいと。
いつか、本当のことを訊く機会があるかもしれない。
だったら、自分の口で言いたかったと、誠実な顔で、いつもより更に温かく笑う。

本当に、お風呂って泣きたくなる。



にほんブログ村 家族ブログ 新婚夫婦へにほんブログ村 人気ブログランキングへ


現実逃避したかった日

2012-01-26 | 揺れない
ひとりの10年と2人で過ごすこれからの10年は、きっと格段に違う、ぜったい。
私も、そう思う。



たとえば、ひとつの部屋にいても、別々なことをして過ごしたりする。
そういう時間を大切にすること、歩み寄らないことも、大切なことだと思うことがある。

夜中、窓の外を眺めるのが好きだ。
床に座り込んで膝を抱えて見たり、立ち上がって見たり、ヒロに抱きついて見ることもあるけど、ホントは、ひとりがよくて、ひとりだと思う存分眺められるから。
耐えられる寒さなら、耐えてでも窓を開けて空気が肺いっぱいに流れ込むのを楽しみたい。
そうやって、私は圧倒的な週末を待つ。
何の変哲もない普通の週末、振り向いた時に、夫がいるという幸せを噛みしめる。



全神経を集中させて、ただひたすらにヒロに、テレパシーよ届け!と言わんばかりに念を送る。


もしかして、テレパシー受け取ってくれた?


ヒロは、うんうんって頷く。

ほんと?

「な訳ないだろ。そんな顔して見られたら、かまってほしい、とかだいたい想像つくだろ、フツーは。」

そお?そう…。
かなり真剣に不満である。


つまんないわ。
勝手してていい。

「まさか、真剣にテレパシーを操れるようになりたいとか、思ってるわけじゃないよね。」

思ってるけど、しかも結構真剣。
だってテレパシーを使えたら、いろいろ便利でしょ。
音にしなくてもいいのよ、心を。

「まりんの声を聞きたいよ。」

ふふっ…そ?
でも、テレパシーとか使えたら、ホントに便利だと思うのよ。
仕事にも使えそうでしょ?
ああああ、つまんない。

「絶不調?」

そう、なんでわかった?

「テレパシー感じた。」

…っもう!

じつは、生保新商品がウチの営業課だけ行き詰ってる、売れてない。
こういう時は、現実逃避したくなる。
しかも、雑用多し…。
不調なんだなぁ…ホント。




私が悩んでも、悔やんでも泣いても、毎日は規則正しくやってくる。






にほんブログ村 家族ブログ 新婚夫婦へにほんブログ村 人気ブログランキングへ


背徳なんて、なんでもない

2012-01-25 | 揺れない
職場で。
気になって気になって仕方がなかったりする。
誰かに眉間の皺を指摘されても。
私はひとりで、絶望的なことを考えてる。
誰かの相談に乗りながら、指示を出しながら。


昨夜は、ビックリするような星空だった。
真っ白な雪景色と、降るような星空。
ガラス瓶を砕いたみたいな刺さるような、凍るような光を放ってた。


やりきれないな、と思うのは、私が自分で荒涼とした荒野を彷徨うから。



ミーティングはループしていて、ちっとも結論が出ない。
無理に纏めようとしてるZさんを目の端で確認しながら、目薬を点す。

私、1本電話するのを思い出したから、結論が出たら呼んで、と言い置いて会議室を出る。
私は十戒のいくつを破ってるんだろう。

電話を終えて、机の上を片付けてから、会議室を覗く。
まだループしてる。
止めたら、ってZさんに目くばせする。
寂しい目で見つめ返された。
逆さまにしたって、あと1週間で乗っかる数字はたかが知れてるじゃない。

結局、金曜日にもう1度各自取りまとめて、改めてミーティングということになった。
こういうムダな1日って、どうしたって起こる、私の場合に限ったことかもしれないけど。
Zさんが、気薄なんだよ、みんな、って独り言のように呟いてた、会議室を出ながら。

気薄なのは、私だ…。
ごめん、って謝ってみる。
私だ、違うことを考えて絶望的な顔であそこに座ってたのは、って思ったから。




家に帰って晩ご飯を拵える。
急がなければ…。
まるで急かされでもしてるように、待って待って、って言いながら。


晩ご飯、じつは検食余ってて、旨そうだったから食べてきちゃったよ、ってヒロに言われたので、ひとりで晩ご飯を食べた。

美味しそうな検食なんて、有り得ない。

「うん、食べたらたいしたことなかったけど、なんかクラムチャウダーいいなって思ってさ。」

言ってくれたら、私作ったのに。


「そうか、リクエストしてもいいんだよなぁ。」

そ、それは、言われても作れないかもしれないけれど、時間があれば、トライしようとは思うけれど、って、つまりはしどろもどろになる、自分で言ったくせに。

だけど、いっしょに食べる、同じものを食べることに憧れるの。
何もかもいっしょがいいって最近思うけど、絶対に実現しないから、憧れる。

「案外、実現したらつまんないぞ。」

そうよ、でも絶対実現しないから憧れなの。
ヒロと私は、いっしょに居ても、違う方向を見てたり、考えてたり。
価値観だって、歩み寄る努力はしてるけど、どこまでも交じり合いそうにないし。
ただヒロのそばに行きたくて。
それでそばにいるとひたすら安心して、執着。
そういう自分は変質的な感じがするけど、キライじゃない。

実際は、24時間の中のほんの数十分なんだろうけれど、ヒロを想う。
身を焦がされるくらいに心があえぐと安心する。
恋しいって思うと心が安らぐ。
破滅的だ、こんなにヒロのことばかり考えてて、おバカさんだ、って、そういうのがいいのよ。

「破滅的ねぇ…。」

そうよ、そうなの。
そうなのよ。


にほんブログ村 家族ブログ 新婚夫婦へにほんブログ村 人気ブログランキングへ


私の事情、彼女の事情

2012-01-24 | 揺れない
私は、冷酷なひどい人間になったようだ。
私を恨んで死んでいったのだとわかっても、涙も出ないし、もう悔やんでもみない。

私だって一度手放した。
だから、もう二度と手放したりなんてしない。

彼女がいつどんな事情で中絶したのかは、ヒロも知らないと言っていた。
たぶん本当にそうなんだろう。

きっと、彼女も何とかしようとしてたのかもしれない。
中絶するなんて、よっぽどのことだったんだろう。
病院の跡取り娘?だったのかな。
ヒロと夫婦になって、子どもをもうけて、病院を継いで、幸せに暮らしたかったのかもしれない。

彼女も嘗ての私のように、目の前の誰かとの結婚に逃げようとしていたのかも、知れない。
結婚することだけが、ヒロと決別できる道だと信じてたから。
いちばん好きなひととは結婚できないものだ、って言う言葉を何かで聞いたことがあって、そう思い込もうとしてた。
私は確かに愛されてたのに、私は彼のことも傷つけたんだなぁ。


彼女は、子どもが簡単に出来ないと知って、それでも治療して、なんとかしようとしてたのかな。
家庭を顧みないヒロに焦りを感じていたのか、怒りを感じていたのか。
私は、殺してやりたいほどの邪魔者だったかもしれない。

ヒロは私に引きずられていた。
それはそうなんだと思う。
ヒロは、私を拒絶できなかったんだろうな。
共通の友人のトオルが居たから?か。



ねぇ、ヒロ。
私謝らない、悪びれないし、略奪したって誰かに言われても怯まないから。

「うん。」

ヒロはちょっと面食らったみたいだ。

「…まりんが悪いわけじゃないよ、うん。」


悪いよ、ぜったい悪い。
私もヒロも、やっぱり悪いんだよ。

いつもいつも毎年毎年、事あることに話してきた。
私はいつも引け目に感じてきた。
ヒロの仕事関係の人の前には、出ないようにしていた。
ヒロが居たたまれないだろうから、そう言ってたけど、もしかしたら私のプライドだったのかも。


ヒロ、こういう私って引く?


ヒロは首を横に振って、大丈夫だよって笑って見せた。

「オレは、まりんを選んだ。後悔してない。」


そう言って、もういいだろ、オレたちのことを考えよう、って抱き寄せて髪を撫ぜてくれた。
一度手放したから、もう二度とあなたを離さない。
ヒロの背中に手をまわして、私はこっそり誓う。



にほんブログ村 家族ブログ 新婚夫婦へにほんブログ村 人気ブログランキングへ