
マダックスが引退会見=米大リーグ(時事通信) - goo ニュース
Maddux's career ends, legend begins(MLB.com)
Maddux was a master of his craft(MLB.com)
Maddux quietly calls it a career ... a great career(FOXSports.com)
人間は予知がある程度できる動物です。しかし、予知どおりのことが起こったとしても、それをすんなりと
受け止めることができるか、それとも何らかの感情を抱くことがあるのか、それは状況により違います。
グレッグ・マダックスが今シーズンで最後になるだろうということは、シーズン中でもある程度覚悟されて
いました。シカゴのリグレーフィールドで今年5月、マダックスがシカゴでの最後の登板に挑んだときには、
古くからマダックスを味方として、時には敵として見てきたファンは、これでもうマダックスを見ることは
できないと思っていたはずです。だからこそ、満員のファンは5回を持たず降板したマダックスに対し、
大きな拍手を送りました。
そして、実際にマダックスは引退を表明しました。それもマダックスの故郷ラスベガスで行われている
ウィンたーミーティングの初日、KロッドやCC・サバシア、ジェイク・ピーヴィーなどがどのチームへ移るかが
話題になっているさなかで、記者会見がなされました。エージェントのスコット・ボラスは先週末から、
マダックス引退との情報を流し続けていたこともあり、実際の記者会見では、マダックスが何を
話すのかが注目されました。
その記者会見の日、ボラスはマダックスの記録集のようなバインダーを記者たちに配ったそうです。
恐らくそこには、355勝したこと、18回のゴールドグラブ、17シーズンで15勝以上挙げていること、
5000以上のイニング投げて3000以上の三振を奪いながらも、1000以下の四死球しか出さなかったこと、
その他もろもろ、いろいろなデータが書かれていたはずです。
今やメジャーリーグの世界では、勝敗や三振、四死球の数なんていう単純な数値ではなく、
複雑な計算式を用いた複雑なスタッツにより、どの選手はよくてどの選手は実のところ劣っている、
などと語られる時代となりました。しかし、マダックスの実績にはそうした難しい計算式は
全く必要としません。むしろ、そうした計算式がないと生き残れない選手など、マダックスの
レベルと比較するのすらおこがましいと言うべきでしょう。
一方で、マダックスの投球哲学はあまりにも単純であり、同時に投球術はあまりにも複雑でした。
He learned as a teenager that movement, changing speeds and
location were more important than pure velocity.
(FOXSports)
多くの打者は、長年マウンドに上がっているマダックスがどういう投球をしてくるのか、
わかりきっていました。それほど球速があるわけでもない、コースに散らして投げてくる、
そんなことを予知できていました。それでも、多くの打者はマダックスに苦しめられて
きました。マダックスは、ピンポイントに各コースへ投げられたからではなく、どのような
状況のときに三振を奪うべきか、あるいは併殺に抑えるべきかをわかっていたのだと思います。
もちろんそうした配球術ができるのは、日本人がよく使う、マダックスの「精密機械」ゆえ
だからだと思いますが、その精密さを生かすことができる複雑な計算術を持ち合わせていました。
一方で、マダックスがここまで偉大さを作り上げたのは、やはり謙虚な姿勢にあると思います。
最近の選手たちの多くは目立つ言動ばかりが先行し、メディアもそうしたものを期待している
アメリカのプロスポーツ界になってしまいました。しかし、やはり今年引退したマイク・ムッシーナにも
当てはまりますが、マダックスは謙虚な姿勢で野球に挑み、自ら蓄積してきた技術や知識を、
パドレスの若い投手陣へ与え続けてきました。やはり記者会見で、こんなやりとりがあったそうです。
(H)e was asked what he thinks of the title of "greatest living pitcher."
"I'm very proud of what I did on the baseball field," Maddux said.
"But I never really considered myself things like that.
"I'd like to think I'm the same person I was 20 years ago.
Hopefully, just a few things have changed."
「20年前とは同じ人物だと考えたいが、幸運にも、ほんの少しだけ変わった」だなんて、
カブスにドラフト当時は目立たなくても、引退時には偉大な成績を収めたマダックスが
言うからこそ相応しいのです。そこには、熱い闘志なんかよりも、静かで目立たないながらも、
確固とした投球哲学と、投球術を持っていたのではないでしょうか。
まぁ自分があれこれと書いたところで、マダックスがどれだけすごいのかは語りつくせません。
ただ、ひとつだけ言えることがあります。今の時点において、マダックスのいないメジャーリーグの
世界を予知することはできない、ということです。話題性と給料の高さではマダックスに勝るかも
しれないサバシアやピーヴィーなどがよって集っても、マダックスの偉大さを超えるには時間を要します。
Maddux's career ends, legend begins(MLB.com)
Maddux was a master of his craft(MLB.com)
Maddux quietly calls it a career ... a great career(FOXSports.com)
人間は予知がある程度できる動物です。しかし、予知どおりのことが起こったとしても、それをすんなりと
受け止めることができるか、それとも何らかの感情を抱くことがあるのか、それは状況により違います。
グレッグ・マダックスが今シーズンで最後になるだろうということは、シーズン中でもある程度覚悟されて
いました。シカゴのリグレーフィールドで今年5月、マダックスがシカゴでの最後の登板に挑んだときには、
古くからマダックスを味方として、時には敵として見てきたファンは、これでもうマダックスを見ることは
できないと思っていたはずです。だからこそ、満員のファンは5回を持たず降板したマダックスに対し、
大きな拍手を送りました。
そして、実際にマダックスは引退を表明しました。それもマダックスの故郷ラスベガスで行われている
ウィンたーミーティングの初日、KロッドやCC・サバシア、ジェイク・ピーヴィーなどがどのチームへ移るかが
話題になっているさなかで、記者会見がなされました。エージェントのスコット・ボラスは先週末から、
マダックス引退との情報を流し続けていたこともあり、実際の記者会見では、マダックスが何を
話すのかが注目されました。
その記者会見の日、ボラスはマダックスの記録集のようなバインダーを記者たちに配ったそうです。
恐らくそこには、355勝したこと、18回のゴールドグラブ、17シーズンで15勝以上挙げていること、
5000以上のイニング投げて3000以上の三振を奪いながらも、1000以下の四死球しか出さなかったこと、
その他もろもろ、いろいろなデータが書かれていたはずです。
今やメジャーリーグの世界では、勝敗や三振、四死球の数なんていう単純な数値ではなく、
複雑な計算式を用いた複雑なスタッツにより、どの選手はよくてどの選手は実のところ劣っている、
などと語られる時代となりました。しかし、マダックスの実績にはそうした難しい計算式は
全く必要としません。むしろ、そうした計算式がないと生き残れない選手など、マダックスの
レベルと比較するのすらおこがましいと言うべきでしょう。
一方で、マダックスの投球哲学はあまりにも単純であり、同時に投球術はあまりにも複雑でした。
He learned as a teenager that movement, changing speeds and
location were more important than pure velocity.
(FOXSports)
多くの打者は、長年マウンドに上がっているマダックスがどういう投球をしてくるのか、
わかりきっていました。それほど球速があるわけでもない、コースに散らして投げてくる、
そんなことを予知できていました。それでも、多くの打者はマダックスに苦しめられて
きました。マダックスは、ピンポイントに各コースへ投げられたからではなく、どのような
状況のときに三振を奪うべきか、あるいは併殺に抑えるべきかをわかっていたのだと思います。
もちろんそうした配球術ができるのは、日本人がよく使う、マダックスの「精密機械」ゆえ
だからだと思いますが、その精密さを生かすことができる複雑な計算術を持ち合わせていました。
一方で、マダックスがここまで偉大さを作り上げたのは、やはり謙虚な姿勢にあると思います。
最近の選手たちの多くは目立つ言動ばかりが先行し、メディアもそうしたものを期待している
アメリカのプロスポーツ界になってしまいました。しかし、やはり今年引退したマイク・ムッシーナにも
当てはまりますが、マダックスは謙虚な姿勢で野球に挑み、自ら蓄積してきた技術や知識を、
パドレスの若い投手陣へ与え続けてきました。やはり記者会見で、こんなやりとりがあったそうです。
(H)e was asked what he thinks of the title of "greatest living pitcher."
"I'm very proud of what I did on the baseball field," Maddux said.
"But I never really considered myself things like that.
"I'd like to think I'm the same person I was 20 years ago.
Hopefully, just a few things have changed."
「20年前とは同じ人物だと考えたいが、幸運にも、ほんの少しだけ変わった」だなんて、
カブスにドラフト当時は目立たなくても、引退時には偉大な成績を収めたマダックスが
言うからこそ相応しいのです。そこには、熱い闘志なんかよりも、静かで目立たないながらも、
確固とした投球哲学と、投球術を持っていたのではないでしょうか。
まぁ自分があれこれと書いたところで、マダックスがどれだけすごいのかは語りつくせません。
ただ、ひとつだけ言えることがあります。今の時点において、マダックスのいないメジャーリーグの
世界を予知することはできない、ということです。話題性と給料の高さではマダックスに勝るかも
しれないサバシアやピーヴィーなどがよって集っても、マダックスの偉大さを超えるには時間を要します。
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