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[NFL短評]リゾナント(もしくはノンリゾナント) ライフ

2008-10-02 21:25:42 | NFL
Owens tries to clarify postgame comments(SI.com)

今年もNFLのシーズンが開幕し1ヶ月経過しました。開幕戦をハワイのホテルで見て以降、今シーズンも毎週何試合も
見ていますが、なかなかここで触れる機会がありませんでした。

それはともかく、今年のダラス・カウボーイズは最初の2-3週を見たときに、今シーズンこそスーパーボウルを
狙えるのではないか、そう感じていました。栄華を極めた90年代前半から中盤以降に失われた自信と輝き、
多くの意味での「輝き」ですが、それが戻ってきた雰囲気に見えます。まだまだ危なっかしいところが
あるけれども、NFLの顔になりつつあるQB、酷使にも耐えるRB、頼りになるTE、そしてでかくて強いラインが
揃っている今のカウボーイズは、見ていて飽きないチームとして復活してきました。

そして忘れていけないのは、レシーバー陣です。地味ながらもしっかり働くレシーバー陣とともにいるのが、
口は相変わらず達者なテレル・オーウェンスです。カウボーイズの役者は主役から脇役まで揃いました。

そのオーウェンスは第3週の@パッカーズ戦では2キャッチに終わりました。かつてのオーウェンスなら、
もっとボールを回せと怒鳴るところですが、そういった空気を発することはないどころか、驚くべきルーキーRB
フェリックス・ジョーンズのTDランでブロック役に徹したり、相手にボールを奪われれば自らタックルに向かうなど、
「チームプレイ」を行うオーウェンスが見られるようになりました。それに対してESPNは「T.Oはつまらない
選手になった」と評しました。

ところが、第4週のレッドスキンズ戦では、ESPNはここぞという場面で怠慢プレイをするオーウェンスを
思いっきり叩いていました。特にOBのエミット・スミスの怒り様と言ったらすごいものでした。そして、
メディアは「オーウェンスがQBトニー・ロモを非難した」と報道しました。オーウェンスのプロ選手としても
歴史はそのまま、自らのチームのQBをいじめる歴史そのものですので、やっとオーウェンスが本性を
現してきた!とでもいわんばかりの報道っぷりでした。ESPNでも「オーウェンスは次のいじめのターゲットとして
ロモを選んだ」とまで言う始末です。

オーウェンスがいるところ、煙がなくても火が立ちます。それを嗅ぎつけたメディアを前に、オーウェンスと
ロモは共に、言われているようなロッカールームでの不仲なできごとはなかった、と真っ向から否定しました。
オーウェンスはその上に、カウボーイズを分裂させたがっているメディア、オーウェンスを時には賞賛し、
その翌週にはけなしまくるメディアを非難しました(オーウェンスが黒子に徹したパッカーズ戦でも、
オーウェンスは簡単なパスを2回も落としているのですが・・・)。

実際のところ、オーウェンスは素晴らしい能力を持ち、かなり際立った選手ではありますが、人間的には、
優等生な選手ではありません。そのことは本人だってわかっているはずです。しかし同時にオーウェンスほどに
勝ちにこだわる選手はいないと思います。勝てずに悔しがらないプロの選手なんてどこにいるのでしょう?
逆に勝ち続けているときに奇行を起こす選手なんてどこにいるのでしょう?オーウェンスは負けが
混んだときに行動が人一倍に注目されるがために、未だにわがままだのチームプレイに徹しないだのという
レッテルを貼られているのだと思います。

全米でもっとも価値のあるチーム、もっともメディアがいじり甲斐のあるQBとWR。そうやってカウボーイズを
騒いでいるだけ、チーム全体に緊張感が出ていいのかもしれません。しかし、わざと騒ぎを作ってまで
盛り上げる必要など、今のカウボーイズにはありません。共鳴しあっているのはカウボーイズの中だけであり、
共鳴していないのは、カウボーイズと偏った見方をするメディアの間です。


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