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[NFL短評]"Division" champ

2008-12-14 14:29:07 | NFL
Phillips not concerned about any divisions in Cowboys locker room(NFL.com)
Drama Continues at Valley Ranch(ESPN)
Phillips has lost control of Dallas Cowboys(Dallas Morning News)


相変わらず、ダラス・カウボーイズは話題の提供に関しては大いに貢献しています。スター選手も集まっています。
しかしそれらがすべて勝ちに貢献していません。偉大なOBでもあるエミット・スミスが今のカウボーイズを見て、
"medicore"と言い切ったのもうなずけてしまいます。選手が目立っても、それが勝利により目立つわけではなく、
チームの資産価値とメディアの取り上げ方に頼っているスター性では、黄金期を築いたOBからつまらないチームだと
切り捨てられても仕方ありません。また、しばらく前には、やはり偉大なOBであり黄金期を支えたダレル・ジョンストンが、
「カウボーイズの株は9月以降下がり続け、その後も持ち直さないだろう」と、経済アナリストもビックリの予測をしました。

残念ながら、ジョンストンの予想は正しいものでした。トニー・ロモが怪我でしばらくの間欠場していた間には、
ロモが帰ってきたら、テレル・オーウェンスが活かされるパスプレーも復活し、カウボーイズも復活するという楽観論を
話していた評論家もいたのは確かです。しかし、12月7日に行われた@巣ティーラーズ戦では、オーウェンスはTDパスを
キャッチしたけれども、逆転に繋がるパス、および試合を決定づける(そして同時に今シーズンの終焉すら決定を
したかもしれない)インターセプトのパスは、ロモからジェイソン・ウィッテンめがけて投げられました。

その結果、復活したのはカウボーイズではなく「むっつりT.O」でした。あの試合以来、特にカウボーイズに対して
批判的なESPNは、しきりにT.Oが今のチームとロモ、そしてウィッテンに対し不満を抱いていると伝えています。
全米メディア曰く、T.Oは文字通り「QBサック・アーティスト」であることをまた持ち出し始めました。49ersでは、
ジェフ・ガルシアと対立し、イーグルスでは、ドノヴァン・マクナブと喧嘩別れし、そして次は手下のように
扱ってきたロモがT.Oの標的になる、とされています。

一方でロモの能力、というよりもその精神力とも呼べるかもしれませんが、それも疑われています。洋の東西を問わず
持ち出される「大舞台に弱い」ことを、絶対に負けられないスティーラーズ戦で露呈しました。確かに相手ディフェンスは
NFLでも最強であり、そう簡単には前進させてくれなかったので、そのあたりは割り引く必要があるかもしれませんが、
せっかく味方のディフェンスがスティーラーズのオフェンスを抑え、その結果試合終盤にリードを付けたにも関わらず、
ロモはそれをぶち壊しました。

こうなれば、ロッカールームでいろんなゴタゴタがあった、とネタを探したくなるのがアメリカのメディアです。
全敗しているライオンズでそういうことがあっても話題にもならないでしょうが(ゴタゴタ以前にガタガタ)、
全米でも屈指の注目度を持つカウボーイズで、「ダラス」のようなお家騒動があれば誰もが飛びつきます。
実際に地元紙やESPNがそのような匿名情報を得たとし、すぐさま報道しました。おまけに、カウボーイズが
チームミーティングを開いたことにより、こうした憶測がさらに高まりました。

しかし、カウボーイズの対応は「そういう対立はない」というものであり、ヘッドコーチのウェイド・フィリップスは、
14日夜に全米放送される、やはり絶対に負けられないジャイアンツ戦について以外は何も話すなと選手たちに指示を
与えています。また、ロイ・ウィリアムズはサンタの帽子を被り、T.Oは赤鼻になり、チーム内の不和などないことを
一生懸命にアピールしています。

いや、そういうアピール自体、何かあったことを隠しているのではと疑うのは当然なことです。同時にフィリップスは
今のカウボーイズ、特にオフェンスに対してコントロールができているのかも疑わしくなってきます。そのことは、
AP配信の同じ記事に対し、各メディアの見出しの付け方に違いがあるところにも見えてくるようです。オフィシャルの
NFL.comは一番上に上げているように「フィリップスは気にしていない」と見出しを付けている一方で、SI.comでは、

'Boys deny talk of locker-room rift

としています。オフィシャルの見出しの主語が「フィリップス」なのが注目でしょうか。前任者ビル・パーセルズと違い、
比較的楽天家な性格なフィリップスがチームの状況を「あえて」気にしないのか、「本当に」気にしていないのか、
こちらが気になるところです。

とにかく内部紛争?状態のさなかに、日曜日にはジャイアンツ戦を迎えます。ここにきてあることを思い出しました。
T.Oのカウボーイズ1年目、そしてパーセルズのヘッドコーチ最後の年である2006年のシーズン終盤に行われた、
@ジャイアンツ戦です。どちらもプレイオフ進出ギリギリの中で戦われました。試合序盤にどちらもつまらないミスを
連発しました。そこで、ジャイアンツベンチでは、マイケル・ストレイハンが選手たちに発破をかけているシーンが
映し出されました。そのあたりから、ジャイアンツは試合でのリードを奪いました。一方、カウボーイズベンチでは、
T.Oがひとりわめきながら不満をぶちまけている一方で、他の選手は何だか避けているように見えました。そして、
かつては厳しいことで有名だったパーセルズからは、もはや覇気はありませんでした。

その後カウボーイズは何とかプレイオフ進出を果たしますが、年明けのシアトルで、ロモが試合終了直後に
フィールドゴールのホールドミスを犯し、シーズン終了を迎えました。現地時間の日曜日夜、全米はまた
2006年のジャイアンツ戦と同じようなカウボーイズベンチを見るのかもしれません(一方のジャイアンツは
プラクシコ・バレスの一件はあったが、自信に満ち溢れているのとは大違いです)。NBCもそのあたりはしっかりと
カバレッジをしてくるはずです。

ところで、昔の記事を読み返したら、パスが回ってこないことに不満を持っていた2006年当時のT.Oが、
サンタ帽を被って記者たちに対応していた、なんてことがあったようです。カウボーイズにとって、
サンタ帽はチームのゴタゴタを隠す秘密道具なのでしょう。


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