goo blog サービス終了のお知らせ 

そのさきへ -Deep Sky Blue version-

このブログは引っ越しています

[NFL短評]Brett's 4th Q

2009-08-02 10:31:59 | NFL
Favre decides to stay retired rather than play for Vikings(NFL.com)
Brett Favre takes a pass on joining Vikings(Startribune.com)
Favre makes right move by retiring(NFL.com)
Favre's final pass throws Vikings into unexpected state of flux(NFL.com)

[問題]カッコ内に適当な単語を埋めて文章を完成させよ。


Brett Favre ( ) NFL.
Brett Favre ( ) the retirement.
Brett Favre ( ) NFL again.
Brett Favre ( ) the return from retirement again.

答えは全て同じ単語、"quit"。ブレット・ファーヴはNFLから引退し、引退を撤回し、またNFLから引退し、
そして今度は引退の撤回を止めました。同じように引退と復帰を繰り返してきたロジャー・クレメンスが
完全に過去の人となってしまい、このドラマの主役はファーヴのものになりました。

今年の冬、ファーヴは1シーズンだけ在籍したニューヨーク・ジェッツとの再契約がなされず、涙もなく、
静かに引退をしました。それからはふるさとのミシシッピで静かに過ごすはずでしたが、やれ右ひじの
手術をしただの、地元高校のフットボールチームで練習しただのと、「復帰」を匂わせる行為を数多く
行ってきました。そしてミネソタ・ヴァイキングズがファーヴを狙っていると報道されると、今度は、
ファーヴ一家がミネソタでの開幕戦観戦のためにホテルを予約した、なんてことまで報道されました。
その中でも、ファーヴはひとりじっくりと復帰すべきかどうかを考えていたのでしょう。

確かにファーヴが早い段階で引退を撤回しないと表明すれば、それで全てが円満解決するはずでした。
しかし実際のフィールドでのパスプレイと違い、人生の計画は一瞬の判断だけで行ってはいけません。
一方で昨シーズン、あれだけ騒がれながらもNFLへ復帰しながら、後半失速して、かつてのような
プレイが出来なかったことに対して、ファーヴには心残りと同時に、このままプレイしていくことが
できるのかがわからなくなったのでしょう。

ヴァイキングスは、今回の発表以前に、ファーヴから試合に復帰しないことを伝えられ、それでももう少し
怪我の回復具合をの結果が出るのを待ってやると返信したそうです。しかしファーヴは考えを変えることなく、
ヴァイキングスのキャンプイン2日前になりようやく正式な結論を出しました。答えは現役復帰をしない。
理由は右ひじではなく、メディアがあまり伝えてこなかったかかとの怪我の回復具合でした。

個人的にはファーヴは復帰をしなくてよかったと思います。別に引退しているファーヴの復帰劇に
正直飽きてしまったから、というより、ファーヴの年齢的な面や怪我の具合を考えても、正直なところ、
かつてのようなプレイはできないと思うからです。それも、仮にヴァイキングズで復帰をしたとしても、
ファーヴがドームの人工芝スタジアムでのプレイに耐えられそうにもないと思います。それはどれだけ
素晴らしいオフェンスラインや、エイドリアン・ピーターソンのようなスターRBと共にプレイしても同じです。
またファーヴは昨シーズン、3rdダウンでのパス成功率はNFLのQBの中でも最低クラスになりました。
もはや「ブレット・ファーヴ」という名前だけでプレイすることも難しくなっていたのです。

一方で今回の「復帰劇」を見て思うのは、メディアがファーヴの復帰を煽っていた点です。一部のファンや
選手は、ファーヴの復帰劇にうんざりだという感想を述べています。恐らくファーヴの決断力のなさを
引き合いに出しているのだと思いますが、それを作り出したのはファーヴよりもむしろメディアでは
ないでしょうか。それもファーヴはヴァイキングスに復帰するのがほぼ決まったかのような報道でした。
ファーヴのメディカルチェックについての報道はまだしも、ホテルを予約しただのどうでもいいほどに
細かいことまで、メディアは追っかけていました(ホテルの人間がお金目的で情報を漏らしたのでしょう)。

ただし、ファーヴがぎりぎりまで現役復帰するかしないかを決断しなかったことは、ヴァイキングスに
とっては辛いことでしたし、ファーヴも迷惑をかけました。かつてファーヴはパッカーズとグリーンベイの
英雄としてヴァイキングズを相手に頭を悩ませ続けましたが、ファーヴ最後の「パス」がこのような形で
ヴァイキングスを悩ますことになったとは誰も想像しなかったはずです。決定的な先発QBがいないこの
チームにとり、経験が有り余っているファーヴ加入は命綱だったと思いますが、それが振り出しに戻り、
タバーリス・ジャクソンとセイジ・ローゼンフェルズというやや劣るQBでの先発争いを、かなり遅い段階で
始めなければならなくなりました。どちらが先発を取ったとしても、ファーヴとの比較に晒されます。

ファーヴは「11月1日までにどこかのチームから電話をもらったら現役復帰をするかも」という類の発言もし、
さらに全米をうんざりさせたりもしています。しかし、スーパーボウル優勝で引退したジョン・エルウェイと違い、
一度(数えようによっては二度)現役復帰をして、素晴らしい功績に泥をつけたところもあるけれども、
純粋にひとりの選手としてみた場合、ファーヴに匹敵する選手はそう出てこないでしょう。同時にファーヴは
本当にフットボールが好きだったんだと思います。だからこそ復帰するかしないかにも悩んだのでは
ないでしょうか。ファーヴは引退「継続」のニュースが流れた後、ESPN記者の「なぜ高校生とフットボールの
練習をしていたのか」という質問に対し、「フットボールをプレイしている自分のおいの成長を見たいから」と
答えていました。ファーヴがNFLのフィールドのハドルに立つことはもうないでしょうが、ファーヴの手から
フットボールが離れることもまだないのでしょう。


最新の画像もっと見る