ソフトウェア開発したい日記

「面白い!」と思った頭の体操や、数学の問題を載せていきます
その他ロードバイクででかけた先の写真や、ソフト開発のメモ等

メタルアーチファクトの再現 その2

2010年09月09日 16時10分38秒 | 科学
(続き)

先ほどのシノグラムを再構築したもの。
ファントムの白い部分は材質として、鉄のX線吸収係数を適用しました。

結果、鉄の部分から放射状のノイズが発生しています。
(ちなみにものすごく単純な計算をしていて、
投影に使用するX線はパラレルビームで100keVの単色X線、
逆投影はフィルタやコンボリューションを用いない単純逆投影です。)

思っていたのとは若干違う結果になりました。
そもそも、メタルアーチファクトが発生する原因は
実際のX線CTに連続X線を使用しており、
かつ金属はX線吸収係数のエネルギー依存性が高いためである、と考えています。
(一般的にそう考えられているようです。)
今回使用したのは完全な単色X線なので、メタルアーチファクトは発生しないと
思ってたのですが、発生しています。

なんだかよくわからないけど、
メタルアーチファクト発生要因は、X線吸収係数のエネルギー依存性だけでは
説明できないということは確かな気がします。

とりあえず今回アーチファクトが出てるのは
金属が重なっている部分で、反対側に十分なX線が到達していない
⇒ 金属厚みとX線吸収量の線形性を見ることができない
ってことが原因と思います。

まずは、
・連続X線を照射したときとアーチファクトの発生の仕方を比較
・ファンビーム、コーンビームを照射したときとの比較
・CBP法、FBP法といった、より高度な再構築を行い検証

ってことをやっていきたい。
あとユーザインターフェースもちゃんと整えないと。
材料の各種エネルギーに対応するX線吸収係数のデータベース作らないと。
クラス図整理しないと。
あれ?結構やること多い。しんどい。


最新の画像もっと見る

5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (しろ)
2010-11-15 22:42:28
面白そうなソフト作ってますね。

>金属が重なっている部分で、反対側に十分なX線が到達していない
>⇒ 金属厚みとX線吸収量の線形性を見ることができない

現実なら検出器の感度以下ってことなんでしょうけど、これはシミュレーションですよね。
そこまで再現してるんですか?
返信する
Unknown (あつた)
2010-11-16 13:49:48
ありがとうございます。

>そこまで再現してるんですか?

はい。
シミュレーション上で理想的なX線の透過と吸収を行っても、
検出側で十分なX線強度が得られない場合、
画像再構成に必要なデータが得られません。

今回できるだけ実際のX線や金属と近いパラメータを利用し、
これまでの先行研究で得られているX線の吸収等に関する数式を適用した結果、
実際のCTを模擬することができています。

的外れな回答でしたらごめんなさい。


私は現在、現実に近い状況を忠実に模擬した上で、
画像再構成アルゴリズム部分を修正し、
ノイズを減らせないか、という研究を行っております。

ちなみにこの記事から約2か月、
実際のX線CT装置で撮影したものと
シミュレーションで再現したもの、
違いを視認できないほど性能が向上してきております。
 
返信する
Unknown (しろ)
2010-11-17 02:22:56
検出器の感度まで考慮しているなら納得です。

>実際のX線CT装置で撮影したものと
>シミュレーションで再現したもの、
>違いを視認できないほど性能が向上してきております。

すばらしい!
リングアーチファクトまで再現できれば完璧です。
(と、無茶を言ってみる)


ちなみに、私も再構成ソフトウェアを作っています。
返信する
Unknown (あつた)
2010-11-17 12:21:30
わーありがとうございます!(久々に褒められて嬉しい)

プログラミングでリングアーチファクトを意識したことはありませんが、
条件変えたりしているとたまーに発生することがあります。
(実際のCTと発生原理が同じかは不明)
具体的にどういった条件下で発生しやすいのか、再現できるのか、
等も今後は意識していこうと思います。

>ちなみに、私も再構成ソフトウェアを作っています。

とても興味があります。
差支えなければ、目的や立場、
ソフトウェアの内容等について詳しく教えて頂きたいです!
返信する
Unknown (しろ)
2010-11-17 15:44:36
リングアーチファクトは、検出器の感度補正に関係していると考えています。
くわしくはここではちょっと。

ホワイトラビット、で検索すると出てくる会社でプログラミングをしています。
info にメールをくだされば、お返事できます。
返信する

コメントを投稿