ソフトウェア開発したい日記

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コンプトン効果を頑張って導いてみる

2010年05月24日 20時06分27秒 | 科学
頑張るほどじゃないかもしれないけど、
コンプトン効果を表す次の式を導出してみる。

⊿λ = λ' - λ = (h/mc)*(1-cosφ)

  λ':二次X線波長
  λ:入射X線波長
   h:プランク定数
   m:電子の質量
   c:高速
  φ:散乱角

まず、光(粒子)と電子との衝突を考えたとき
エネルギー保存則と運動量保存則を適用することができる。

運動量保存則を考えたとき、光の静止質量はゼロなので
光の運動量を古典的に定義するのは難しい。

そこで、アインシュタインの特殊相対性理論を用い
静止質量がゼロの粒子(光)の運動量を推測する。

特殊相対性理論では、粒子エネルギーEと運動量pは

E^2 = c^2*p^2 + m0^2*c^4
p = m0*v/√{1 - (v/c)^2)}
  m0:静止質量
   v:速度

と表され、静止質量がゼロである粒子の運動量は

p = E/c = hν/c

と仮定できる。
一方で、電子のエネルギーEは

E = √(p^2*c^2 + m^2*c^4)

である。(今回ディラック方程式は考えない)
以上により、

エネルギー保存則
  hν + mc^2 = hν' + √(p^2*c^2 + m^2*c^4)・・・①

運動量保存則
  x方向 : hν/c = (hν'/c)*cosφ + p*cosθ・・・②
  y方向 : 0 = (hν'/c)*sinφ - psinθ・・・③

が成立する。(θ:電子の散乱角)
さて、ここからひたすら計算。
スマートなやり方はあるだろうけど、とりあえずごり押しで。

①を変形して二乗
  (hν + mc^2 + hν')^2 = p^2*c^2 + m^2*c^4・・・④

②^2 + ③^2より、
  p(sin^2θ + cos^2θ) = {hν/c - (hν'/c)*cosφ}^2 + {(hν'/c)sinφ}^2
⇔ p = (hν/c)^2 - 2*(h/c)^2*νν'cosφ + (hν'/c)^2・・・⑤

⑤を④に代入して、
  (hν + mc^2 + hν')^2 = (hν)^2 - 2h^2νν'cosφ + (hν')^2 + m^2*c^4
 ⇔2νmc^2 - 2hνν' - 2mc^2*ν' = -2hνν'cosφ
 ⇔mc^2(ν-ν') = hνν'(1 - cosφ)

ここで、ν = c/λより

 ⇔mc^2(c/λ - c/λ') = h*(c/λ)*(c/λ')*(1 - cosφ)
 ⇔mc^3{(λ' - λ)/(λλ')} = {hc^2/(λλ')}*(1 - cosφ)
 ⇔λ' - λ = (h/mc)*(1 - cosφ)

以上によりコンプトン効果を表す、
入射光と散乱光の波長の間にある関係式(題意)が示された。疲れた。


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Unknown)
2012-10-16 22:18:32
①から④への変形でhv'を左辺に移項する際に符号がマイナスになるはずじゃ?
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Unknown (あつた)
2013-08-08 22:00:33
仰るとおりですね。
ただ、その後の計算では符号は正しくなっているみたいです(多分)。

ものすごく懐かしかったのでまた計算してみました。
http://kano.arkoak.com/?p=26
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マルテンサイト千年ものづくりイノベーション (サムライグローバル鉄の道)
2024-08-17 21:33:14
最近はChatGPTや生成AI等で人工知能の普及がアルゴリズム革命の衝撃といってブームとなっていますよね。ニュートンやアインシュタイン物理学のような理論駆動型を打ち壊して、データ駆動型の世界を切り開いているという。当然ながらこのアルゴリズム人間の思考を模擬するのだがら、当然哲学にも影響を与えるし、中国の文化大革命のようなイデオロギーにも影響を及ぼす。さらにはこの人工知能にはブラックボックス問題という数学的に分解してもなぜそうなったのか分からないという問題が存在している。そんな中、単純な問題であれば分解できるとした「材料物理数学再武装」というものが以前より脚光を浴びてきた。これは非線形関数の造形方法とはどういうことかという問題を大局的にとらえ、たとえば経済学で主張されている国富論の神の見えざる手というものが2つの関数の結合を行う行為で、関数接合論と呼ばれ、それの高次的状態がニューラルネットワークをはじめとするAI研究の最前線につながっているとするものだ。この関数接合論は経営学ではKPI競合モデルとも呼ばれ、様々な分野へその思想が波及してきている。この新たな科学哲学の胎動は「哲学」だけあってあらゆるものの根本を揺さぶり始めている。こういうのは従来の科学技術の一神教的観点でなく日本らしさとも呼べるような多神教的発想と考えられる。
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本格的経営学に期待 (文系数学好き)
2024-09-06 04:46:59
「材料物理数学再武装」なつかしいな。番外編の経済学のアダムスミス国富論(神の見えざる手)における、市場原理による価格決定メカニズム(市場原理)の話面白かった。学校卒業して以来ようやく微積分のありがたさに気づくことができたのはこのあたりの情報収集によるものだ。ようはトレードオフ関係にある比例と反比例の曲線を関数接合論で繋げて、微分してゼロなところが上に凸のところの最高峰となり全体最適だとする話だった。

まあ簡単に言うとシナジーということで
 1+1=2  だけではなく
 1+1=3  という世界を
数理的に表現しようとしたもののように受け止められる。
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