かなぶち鍼灸調体堂の「先ずは只管打歩」なほぼ毎日譚

基盤を追求すると、ついに「歩く」迄遡ってきました。

運動によって免疫力は低下するのか?

2020年05月11日 | Weblog
まずは今日の吾輩の記録から。

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標題の件、TrainingPeaksのサイトに掲載されていました。原文はこちらです。

当たり前のことを当たり前にやる、のが一番かなとおもいます。

運動によって免疫力は低下するのか?
By ABBY COLEMAN on TrainingPeaks , 2020/05/05

 これまで、長期間/高強度の運動は免疫力を低下させ、いわゆる日和見感染の危険性が増大すると考えられてきた。このような考えは、1980〜1990年代に行われた様々な調査から導き出された。

 しかし、最近の調査結果からは、運動によって免疫機能は向上し、病気/慢性疾患に対する抵抗力が高まる、という考えが導き出されている。これには但し書きがあって、運動の期間/強度が適切であれば、というのが前提になるが・・・。

運動と免疫力の低下について:過去の調査結果について

 20世紀の終わり頃に行われた、運動と病気に関する調査では、ランナーに対し「フルマラソン等多人数が参加するイベントの後で、上気道感染症の症状を経験したか?」と質問し、その回答をまとめていた。

 それによると、調査対象者の多くは「その通り」と回答しており、そこから「運動は感染症を引き起こす主たる原因(の一つ)である」という結論が導き出された。しかし、そのような調査には根本的な欠陥がある。それは、調査対象者の主訴を裏付ける検診を行っていない、というものである。なので、調査対象者が感染症に罹患しているかどうかは不明なのだ。

 実際、運動後に見られる上気道感染症の症状の大半は、(病原体に)感染したことによるものではなく、アレルギー等他の要因によって引き起こされたとする調査結果も報告されている。

運動が免疫系に及ぼす影響

 運動中に於いては、血液中の免疫細胞の数が著しく増加するという現象が見られる。例えば、ナチュラルキラー細胞等は10倍になる。しかし運動終了後3〜72時間に於いては、血管中を循環する免疫細胞の数は減少して運動前よりか少なくなり、その後元のレベルに戻る。

 過去に於いては、この一連の現象(オープンウィンドウ理論)が運動による免疫抑制効果を裏付ける証拠であると考えられた。



図:オープンウィンドウ理論の概念図


 この「オープンウィンドウ理論」は広く受け入れられた。しかし現在では、オープンウィンドウ理論を否定する調査結果が報告され、免疫細胞の減少理由が誤解されているとする意見も提唱されている。

 その意見によると、運動後での免疫細胞数の減少は、それらが失われた/破壊された(→その結果、免疫系の機能が低下した)からではなく、病原体に感染した可能性のある部位に再配分されたから、と考える。例えば、運動中は呼吸の頻度/深さが上昇するので、一部の免疫細胞は肺に再配分される、とする。

 また、そのような意見では、運動によって(結果的に)免疫学的監視が強化されるので、抗微生物力/抗ウィルス力と言った免疫力が向上すると主張されている。

運動の期間と強度:最適条件を求める

 また、上記のオープンウィンドウ理論と同じ時期に、運動の負荷と感染リスクの関係を表す「J型カーブ理論」なるものも提唱された。


図:J型カーブ理論の概念図

 このJ型カーブ理論とは、オーバートレーニングとなる程度迄運動をすると、感染症に罹患する危険性が有意に高まる、というものである。この理論で興味深いのは、全く運動をしない場合より危険性が高まる点である。しかしこのJ型カーブ理論で最も重要なのは、運動負荷が適切であれば感染症に罹患する危険性は低下する、という”スイートスポット”が存在する点である。

 言い換えると、”適切に”運動しているアスリートは、全く運動をしない人より感染症に罹患し難い。しかしやはり、極めて強度の高い運動をしている人は、感染症に罹患する危険性が高まるのは間違いない。これは、運動の負荷が人体の生理反応(≒ストレス反応)を引き起こすからである、と考えられる。過剰過ぎるストレスは、感染源に対する人体の抵抗力を低下せしめるのである。

 現在では、感染症に罹患する危険性が高まる要因は、運動そのものでなく、運動に於ける様々な条件に存在すると考えられている。

 勿論、運動以外にも様々な要因が免疫系の機能に影響を及ぼし得る。例えば、睡眠の質/気温の変化/疲労/不適切な食事/水分摂取状態/心理的なストレス等である。

オーバートレーニングの危険性

 ということで、「運動が免疫力を低下させる」と単純に結論付けるのは必ずしも正しくない。むしろ、定期的な/適切な強度の運動は免疫系の能力を高める、と考えた方が適切であろう。

 勿論、過剰な運動は免疫力を低下せしめるのは間違いない。特に、免疫力が既にある程度低下した状態では注意が必要である。

免疫力を高い状態で維持する方法

 免疫力が低下した状態では、健康も損なわれるし、運動能力も低下する。なので、免疫力を可能な限り高めるのは、感染源に抵抗するのに必要であるし、長期に渡って継続して運動できることにもつながる。

 以下に、免疫力を維持するのに必要なアイデアを記す。

①運動の負荷を包括的に管理する
 
 定期的な運動は心身及び免疫系にとって大切であるが、仕事etc.で強いストレスに曝されると感染症に罹患する危険性が高まる。なので、そのような状態に於いてトレーニングの量を増やしたり、内容を大幅に変更するのは望ましくない。免疫系に負荷がかかっている状態では、運動量を通常の50〜75%迄減らすのも一考である。

②食事/水分を適切に摂取する

 エネルギー摂取量が不足したり、栄養面で不適切な食事をすれば、身体にストレスがかかり、結果として感染症に罹患する危険性は高まる。

③睡眠時間を充分確保する

 アスリートにとって身体を回復させるためには、8時間以上睡眠することは基本中の基本である。

④心理的なストレス/不安感をコントロールする
 
 レース/イベントの直前に於いて(どうしても)覚える心理的ストレスが、感染症に罹患する危険性をたかめるという研究結果も報告されているくらいである。心理的ストレス/不安感の影響は、普段の生活に於いても同様である。意識するしないに関わらず、心理的ストレスにある程度影響を受けるのは当然のことである。なので、そのような心理的ストレスに対処する術(散歩/瞑想/読書等)を習得するのも有効である。

⑤オーバートレーニングの兆候を察知する

 日々の安静時心拍数/起床時の気分/運動内容/やる気等を記録するのも有用である。それらを正確に記録し、身体が発する兆候に気づくことは、オーバートレーニング状態に陥るのを防止することや、感染症が進行するのを防ぐことにつながる。

⑥(そして何よりも)感染を防止する

 あたり前のことであるが、潜在している感染源に自らを曝さないのが大切である(免疫力が低下している時は特に!)。具体的には、

・明らかに感染症に罹患していると思われる人との接触を避ける
・手洗いの励行
・コップ/水筒/食器を他人と共有しない
・人混み(通勤電車の混雑など)を避ける

等である。
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