地域によってはまだそんな気分にはなれないかも知れないけれど、
オホーツク海はもう、流氷のシーズン。
この軽やかなリズムとシンセの囁きで、
ドアの隙間からこちらをこっそり窺っている春を
招き入れることができるかな?
実はこの曲、
昔ヒットした洋画の挿入曲でもある。 さて何でしょう?
個人的には、5:00過ぎからリー・リトナー(ギター)が
壊れ気味におどけだすのがツボ。
答えは…
「トッツィー」(1982年)。
主演はダスティン・ホフマン。売れない俳優が女装してオーディションに臨んだら
大受けして、「女優として」スターダムをのし上がるというコメディ。
高校のとき、田舎のさびれた映画館に足を運んだなあ…。
その後、TV放映もあったし、今はDVDもある時代なので、
もっと若い年代の中にも、知っている人はいると思うけれど、
私にとってはもう28年も前になる、青春の小さな思い出だ。
このクリップは、おそらく1987年の日本公演のときのもの。
いかにも「ぼくたち、西海岸からきましたー」風な
作曲者デイブ・グルーシン(ピアノ)とリトナーの
低湿度でクリーンなサウンドに対し、
トム・スコットのサックスは都会の路地裏に差し込んだ
鈍い朝日を思わせる、やや拗ねたトーン。
両者がほどよくミックスされ、ただのBGMにはおさまらない存在感を放っている。
小学校高学年から中学、高校と多感な時代を
フュージョン興隆期にどっぷり浸かって過ごした割には、
そもそもどのようにこのジャンルが確立されたのか、よくわからないのだけど、
ジョージ・ガーシュウィンを代表とする
黎明期のミュージカルやアメリカン・ポピュラーミュージックを
源流に持つ(であろう)
デイブ・グルーシンが率いたGRPレーベル(レコード会社の名前)は、
確実にその流れの一端を担っていると思っている。
ガーシュウィンの名曲が、ライトなジャズ・アレンジで
春のリビングやテラスにもぴったりの、洒落た一枚に。
上の動画にもさりげなくいるチック・コリアとグルーシンとの
ツインピアノ「ス ワンダフル」など、聴かせどころもたくさん。
(動画の曲「An Actor's Life」はこの盤には入っていません)
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