上北沢暗室雑記帳

写真に関するよしなしごとを

安比奈線09/03/21

2009年03月22日 23時22分30秒 | テツ
 三連休中日、晴れの予報だったので、18きっぷで乗りテツでもしようかと思い、身延線・御殿場線をぐるりとまわってついでに富士急往復、なんて計画を当初立てたのだが、朝出るのが早すぎるということで却下され、しからば本命の富士急のみということにしていたのだが、沿線で立ち寄りたいところはどれもクルマ向きでやる気が失せ、前夜になって廃線跡ハイキングとなった。
 暖かくなったら行こうと温めていた安比奈線。草木が枯れていて、なおかつ気温が低すぎない時期、となるとまさに今頃がうってつけ。
 そんなわけで、朝9時過ぎて適当に家を出、西武新宿線に乗り、本川越の一つ手前、南大塚で下車。少し早いが、駅前の中華屋で昼飯を食い、歩き始めたのは12:05頃。
 安比奈線についての解説は、ネットでいろいろ出てくるから省略。せめてアップした写真について、南大塚駅から何キロ地点とか添えればカッコイイのだが面倒なので、撮った時刻で代えることにしたい。カメラ4台で写真を撮りながらトロトロ歩いているので相当遅いことを勘案してご覧いただければと思う。


12:10。南大塚駅構内の本線からの分岐はホーム中程で途切れているが、すぐ先の道路と交差する部分でだけ線路が復活し、道路の向こう側で少しシフトした位置にか細い線路が建物沿いにカーブしていく。線路のズレは、安比奈線を活用して車両基地を作ろうとした名残だとか、ネットで見た気がする。


12:18。建ち並ぶ建物の隙間から線路を視認しながら、国道16号の手前までやってくる。ここで一旦線路が途絶えるが、舗装の下にレールが埋まっているようだ。いつの間にか現れた架線は、末端の架線柱にテンションを持たせてある。


12:23。国道の向こう側も、架線を引っ張るワイヤが設けられていた。架線を撤去せずにわざわざこんなことをしているのは、あくまで「休止線」としてのポーズなのか。


12:30。住宅地の中に、草に埋もれつつもしっかりと線路が続いている。架線も。
立入禁止の看板があり、新しい柵も設けられているが、端っこには人が通れる程度の隙間が。管理責任上あくまで立入は禁止としつつも、近隣の人たちの通行の便に対してそれなりの配慮が覗われる。
ちなみに写真右側の団子屋の醤油団子は、かなりしょっぱめだった。


12:33。団子屋から区間は、線路敷きは畑と化す。遠くに耕している人影があり、妙に私有地っぽくなったので(←あり得ないけど)、この区間は南の方の道路を迂回してみた。


12:43。畑作区間の反対側に出たところ。犬を散歩させている人が。散歩道としては格好の場所だろう。


12:43。足もとをみれば、道路の端っこで線路が宙づりになっている。


12:49。その道路を渡った向こう、すぐのところで線路は水路を渡っていた。水面まで結構高さがあり、水路も深そうなので、この線路を平均台のように渡ってみる勇気は起こらない。


12:55。ちょっと迂回してあぜ道のようなところを入っていくと、ひとつ前の写真の奥に写っている鉄橋の袂に出た。
こちらの水路は、飛び越えるにはちょっと幅があるのだが、浅くて、なぜか水路の中に置いてあった雲梯を足場にして楽に渡ることができた。


13:02。鉄橋のディテールを観察。DORMAN LONG & COと読める。函桁の内部では、誰かが雨露をしのごうとしたらしき痕跡が見られた。


13:14。田畑の中をまっすぐにのびる築堤を歩く。犬の散歩に持ってこいなところ。
鉄橋を後にしたところで、カメラバッグを持った若者二人連れの姿が背後に現れ、なぜかかみさんの歩くスピードが上がる。


13:26。依然として、線路は草の中にしっかりとあり、架線柱と一本のワイヤがのびている。電車の姿が消えて40年以上経過したとは思えない。


13:30。ここから雑木林に入っていく。丸田祥三の「鉄道廃景」で強く印象に残ったシーンの舞台。


13:37。木々が多数線路に迫っているが、かなりの年月を経てなお、線路上の空間がある程度確保されていることに驚く。
所有者がそれなりに「保線」しているのか、あるいは一定数の人の往来があるからか。


13:41。雑木林を一旦抜けて道路を横切ると、また鉄橋が現れるが、橋の下の水流はない。
それより驚いたことに、橋の向こうの方で、なにやら工事をしている気配。


13:45。線路沿いに柵を設ける工事だった。ユンボで松杭を打ち込んでいる。線路敷きのギリギリ外側を歩いていけば問題ないかなと様子を窺っていたら、向こうからおばさん二人連れが堂々と線路の上を、工事している脇をすり抜けて歩いてきたのを見て、かみさんがすたすたと先へ行ってしまった。
トロッコというのか何というのか、線路があることを前提にした道具で資材を運んでいるところが、あくまで「休止線」であることの矜持なのか。やはりそれなりの保線を行っていると見える。
新設しているこの柵は果たして、線路敷きに入れなくするためのものなのか、線路敷きから外側に落ちないようにするためのものなのか。


13:54。柵の工事現場からまもなくのところで、線路上に大きなコンクリート擁壁が立ちはだかる。擁壁の上は道路。進行方向右手の八瀬大橋に連なる県道のスロープである。
「休止線」の面目をかろうじて保ってきたこれまでの姿を全て帳消しにする、決定的な構造物。いざ休止状態から目覚めさせるとき、この部分はいったいどうするのだろう。川に近い方、橋の下の高さが確保できる辺りまで線路を迂回させるのか。


14:00。来たることのない将来を案じつつ、そのときの線路の気分になって、橋の下にお住まいの方々の庭先を迂回し、県道の向こう側に出てみると、お待ちしておりましたと言わんばかりに、途切れた線路が光っていた。
この時点で、背後から追ってきたテツ二人組に追い越され、かみさんは追っ手から逃れるように先を行く。轟音渦巻き砂塵に霞むその先にあるものは…?。


14:07。それはモトクロスの練習場だった。年端のいかない小さな子供たちがバイクでぴょんぴょん飛び跳ねていた。いいなあ、オレもやりたい。NPO法人こども二輪塾なる看板が出ていた。


14:13。モトクロス場の次は、川砂利を川原からプラントまで運んでいるらしいダンプの通り道を横切り、全身すっかり埃っぽくなってなお進むと、水管橋のような橋の下で、線路の分岐が現れた。そのど真ん中にそそり立つ木の立派なこと。


14:22。線路が茂みに呑み込まれているので、その左手を歩いていくと、廃車が置いてあってかすかに住人の気配。
静かに通り過ぎると、幅広の架線柱が連なっていた。先ほどのポイントから、貨物ヤードが広がっていたらしい。線路は見えないが、砂利を積む貨車が幾重にも並び、小さな電気機関車が往来する様が頭の中に広がった。


14:28。線路は殆ど視認できないが、架線柱がぽつぽつと、枯れ草の荒野に続いている。
不法投棄とおぼしき、家電やパソコンの破片や建設廃材が散らばったりするところもあり、進むのがためらわれるが、未舗装の道路がしっかりとあって、どきどき車が通りがかる。どこに行くのだろうかと思っていたら、ダートの中をひっくり返りそうになりながらもがき苦しむのを何度も繰り返すジムニーが視界に現れた。ここはそういう場所らしい。


14:39。ダートコースの縁を歩きつつ、まばらになった架線柱を追うと、どうやらこれが終点らしい。現時点では。
倒れた枯れ草をばきばき踏みしめながら近寄ってみる。犬の死体とか出てきそうな感じだが、幸いぬかるみなどはなく、トゲのある草に引っかかれはしたが、何とかたどり着いた。


14:40。終点の架線柱の足もとの線路にはピットがあった。
あたりは一面の荒野。日が暮れたら絶対に来られない、昼間であっても四駆の人がいなければかなりヤバそうな雰囲気。
対照的に、入間川の向こうは、運動公園としてきれいに整備されていて、大勢の人が憩っているのが見える。

 南大塚駅から路線延長で3.2kmということだが、ずいぶん歩いた感じ。へとへとになって、さあどう帰ろうかと思案。来た道を引き返すのは面白くないので、南大塚よりも微妙に近い、JR川越線の的場へ向かうことにした。
 川を駆け渡ってあっちに行きたい衝動に駆られるが、枯れ野の道を八瀬大橋まで戻り、橋のたもとで大休止してから、40分ほど歩いて駅にたどり着いた。久しぶりによく歩いたわ。
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