ふいご屋の日常

ポジティフ・オルガン&チェンバロ貸出屋の傍ら歌手、の日記

お勧め演奏会情報(8月1日)

2013-07-25 21:15:15 | チェンバロ
またまた更新をサボってしまいました。「ヨーロッパ遠征」以降記事が止まっていますが、その後も無事に国内でお仕事をしており、まだまだ干上がってはおりません(苦笑)

それでは来週に迫りました、若手演奏家の皆さんによる演奏会の情報を。

★イタリアへの想い★
2013年8月1日(木) 19時開演 於 日本キリスト教団本郷教会(杉並区上荻)

Francesco Mancini "Quanto dolce e quell'ardore"
George Frideric Handel "Mi palpita il cor"
Giuseppe Sammartini "Oboe sonata op.2-4"  ほか

バロック・オーボエ 小野智子
ソプラノ 染谷熱子
ヴィオラ・ダ・ガンバ 鬼澤悠歌
チェンバロ&オルガン 崎本麻見

2500円(全席自由)

お問い合わせ aiueono_tomoko☆yahoo.co.jp (☆を@に変えてください)

素敵なチラシはこちら。



で、当初はイタリアンのチェンバロ1台をご提供する計画でしたが、このたび急遽オルガンを追加投入することになりました(ポジティフではない、デカい方)。使われるのは17世紀ドイツのハインリヒ・シュッツのコンツェルトで、ですが、そのジャンルでのイタリアンオルガンの抜群の有用性は自分の、この楽器の思い切った(笑)導入を後押しした重要な要素の一つ。今回このコンサートでそれを明らかにできることを持ち主として大変嬉しく思っているのです。

次に記したのはチラシ裏面に書かれたこのコンサートのコンセプトです。皆様のお越しをお待ち申し上げております。

<バロック時代、音楽の最先端をゆく国だったイタリア。ヨーロッパ諸国の貴族や音楽家はこぞってそのエッセンスを取り入れようとしました。当時最先端だったイタリア音楽とはどのようなものだったのか、そして他国の音楽家にどのような影響を及ぼしたのか、その軌跡を辿っていただくコンサートです。>






出演者の染谷熱子さん(ソプラノ)のブログ記事もどうぞ→こちら
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2013年楽器研究+イタリア演奏旅行(10) ~ボローニャのタリアヴィーニコレクション(5月15日)

2013-06-06 17:39:02 | オルガン
演奏会の翌日、他のメンバーの面々がムラーノ島のヴェネツィアンガラスの工房に行ったり、フィレンツェ弾丸ツアー(驚)を敢行した完全オフのこの日、自分は単独行でボローニャに行ってまいりました。

オルガニストにして音楽学者のLuigi Ferdinando Tagliavini氏の膨大な鍵盤楽器のコレクションは以前より有名でしたが、近年、元教会のお御堂である現施設に移されて公開されるようになりました。今回はそれを狙ってヴェネツィアから出掛けたという次第。
場所はマッジョーレ広場から中央駅の方向に少し戻った辺り。

博物館に収められた歴史的鍵盤楽器を弾けるケースは本当に限られていて、一般的には所有者側と個人的なつながりがあるか、あるいは伝手のある人から紹介状を得るなどをしないと試奏は叶いません。今回は以前より複数の人を介してコンタクトするルートのあった、高名なオルガニストでありここの館長を務めるLiuwe Tamminga氏にアポイントを入れてこの訪問が実現したのでした。というわけでこんなにまとまった数のオリジナルのチェンバロの類を弾くことができたのはかなり久しぶり。「友達の友達だから、我々も友達だよねー」と快く申込みを受けてくれたTammiga氏、彼とのコンタクトの指南をしてくれたオルガニストYさん、オランダのビルダーIさんなどなどに大感謝です。

この楽器コレクションはTagliavini氏がお祖父さんの遺産として相続した管楽器数本から始まったようですが、現在はその大部分がチェンバロ、ピアノを中心とした鍵盤楽器で構成され、数は数十台にも及ぶのだそう。そんな楽器が並ぶ様子はヨーロッパ各地の大きな楽器博物館での光景とさして変わるところはないようにも見えますが、これが個人コレクションだと認識した瞬間、やはり度肝を抜かれる思いがしたのです。

さすがにこれらすべての楽器を触るのは時間的にも不可能なれど、いくつかを自由に試奏させてもらえました。
チェンバロではやはりこれ。Giovanni Battista Giusti(1679)。インナーアウターモデル。音域GG,AA-c3。ディスポジションは2×8'、1×4'。


気がついてみればチェンバロよりもずっと長時間試していたのはオルガンの2台。一つは17世紀後半のパルマのビルダー一派による、お御堂の正面に鎮座するこのような美しい楽器。

それと向かい合うように階上のバルコニーに置かれたのはPetronio Giovagnoni(ボローニャ)~1760年頃。

イタリアに来たにも関わらず、旅程のここに至るまで堪能する機会があまり多くなかったオリジナルのイタリアン・プリンチパーレの音に邂逅し、あらためて大興奮したのであります。

滅多にお目にかかれないような楽器も多数。そのような楽器の最右翼と思われるのはフィレンツェの製作者Giovanni Ferrini(クリストフォリの弟子の由)による「ピアノチェンバロ」(第一鍵盤がチェンバロ、第二鍵盤がフォルテピアノ)~1746年。このタイプの楽器としては最古のもの、とBoalchが書いている。


楽器本体はイタリアン、アウターケース(マホガニー製)やスタンドがいかにもイギリス趣味のチェンバロというのはこれ。ボローニャの製作者Gocciniによる、イギリスの貴婦人のためのウェディングプレゼント~1721年。


などなど、いちいち挙げていったら本当に切りがありません(汗)。気がついたらあっという間に2時間が経過。
ここでTamminga氏から思いがけず素敵な贈り物が。もうあまり時間が無いのでちょっとだけだが、と、コレクションからほど近いサン・ペトロニオ聖堂に案内され、この名手による、銘器の誉れ高いオルガンのデモンストレーションを間近で聴くという恩恵に浴することになりました。自分がコンソールまで上げてもらえたのは2つあるうちの使徒書簡側の楽器=Lorenzo da Prato, 1471-75, Giovanni Battista Facchetti, 1531。写真から、これが12フィートオルガンであることがお判りでしょうか。黒鍵はGis/Asは分割されているが、Es/Disの方は分かれてなかった。


かくして、Tamminga氏の厚意に完全におんぶした形の楽器コレクション訪問はこれで終了。ブレーメン近郊のシュニットガーの試奏から始まったこの旅の楽器研究のセクションはこのように夢心地のうちに幕を閉じたのであります。ああ、楽しかった。

遅い昼ごはんを食べた後は(その他の音楽関係施設は3年前に訪問していたこともあって)そのまま再びヴェネツィアへとんぼ返り。










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2013年楽器研究+イタリア演奏旅行(9) ~Ensemble1623演奏会(5月14日)

2013-06-05 22:21:59 | 
演奏会のこの日はさすがに町中を歩き回ったり島に渡ったりすることはやめ、朝一番に採ったアクションは…リアルト橋近くにある魚市場への出撃でした。見たこともない種類の魚に遭遇したりするのであちらの魚市場に行くのは当然面白いです。





野菜のブースも色とりどり。

さすがイタリア、Pomodori Secchiはふんだんに扱われていました。

ただ、ハンブルクのマーケットだとなんだこりゃ、という物が多かった記憶がありますが、それに比べれば相対的には「想像の及ぶ範囲内」の魚で大半が占められていたという感じ。心なしか「イカ」にいろいろな種類の物があったような気もしましたが。
予想を覆したのは、ここではカタツムリがたくさん扱われていたこと。でも、これって「魚市場」の取り扱い品目からは少し外れるのではないのか。ちなみにカタツムリ君たちは生きが良くて、隣の商品の上にまでわしゃわしゃと大脱走を繰り広げていました。



市場の様子を楽しんだ後は、運河を横切って対岸の間を行き来するtraghetto(渡し船)に乗船することでショートカットしGiovanni e Paoloへ。メンバー全員で昼ごはんを共にし、リハをこなした後は、20時半からの開演の前に思い思いの行動。私は…明日はこの街にほとんどいないので今日是が非でも、と演奏会の直前にトリノ発の有名店の、実に美味しいジェラートを食す(日本では新宿にもお店があります)。



さて、演奏会。

リコーダー:高橋明日香
オルガン:栗原歩(Giovanni e Paoloオルガニスト)
カウンターテナー&指揮:青木洋也
合唱:Ensemble 1623


(これはリハ風景。アンサンブルの後ろが「聖ドメニコ礼拝堂」)

このような、おそらく圧倒的に観光客人口の多い街でお客様がいらっしゃるのか想像しにくかったのですが(で、私も広場でチラシ配りをいたしましたよ)、聴衆はそこそこ集って我々も気合十分でスタート。教会コンサートとしては少し長めのプログラムだったのでお客様の集中力や如何にと思えど、それは何の問題も無かったように思えました。
ありがたくもスタンディングオベーションも頂戴したコンサート終演後、とわざわざ「コメントを伝えたいのでドイツ語をしゃべることのできる人と話をしたい」と残ってくれていたドイツ人夫婦もいて(で、呼び出されて話を聞いたら、ブレーメンのHfKで教会音楽家の資格を取った方々ということで、そちら方面の話でも盛り上がり…)、良い音楽のひと時を提供できた嬉しさを噛みしめたのでした(ちなみに、その夫婦はこのヴェネツィアでヨハン・ヘルマン・シャインを聴くことができたのを非常に喜んでいました)

旅の主目的はかくして恙なく終了。演奏会翌日に早くも帰国してしまうメンバーも居る中、大多数にとってはもう一日、今度は完全フリーの日が残っていました。自分はこの旅行での最後の楽器研究の用事のために単独行で本土に渡ることになります。
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2013年楽器研究+イタリア演奏旅行(8) ~ヴェネツィアお墓詣り<2>(5月13日)

2013-06-04 12:44:40 | 
ミサの翌日は、午後のリハまではフリーでしたので朝からメンバー数名と活発に動き回りました(笑)。
当初はサン・マルコ広場の鐘楼の上から街を眺めようという計画でしたが、乗るべきヴァポレットのルートを誤ったことがかえって幸いし、予定を変更して激混みのその鐘楼からでなく、その対岸のサン・ジョルジョ・マッジョーレ教会の方の鐘楼からゆったりとサン・マルコ側の眺望を楽しむことになったのでした。

これはその風景。ドロミテの方角の山々の稜線も感動的。

こちらはやはり鐘楼の上からジューデッカ島方面を臨んだ図。

サン・ジョルジョ・マッジョーレ教会の祭壇。両側の壁面にはティントレットの「最後の晩餐」と「マナの収拾」があります。

サン・マルコ側に渡り、今日もここから単独行。早速パラッツォ・ドゥカーレの並びにあるホテル・ダニエリ(元首を輩出したダンドロ家の邸宅)へ。この邸宅の前の海から第4次十字軍の艦隊200隻が出陣したんですねえ。元首エンリコ・ダンドロはここで兵士たちを鼓舞する演説をぶったのだろうか。

自分はその絢爛豪華なロビーを観たくてふらりと潜入するも気が弱いのですぐに退散。いつか客として来るぞ~。
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さて、ヴェネツィアのお墓詣りの2つ目は、アカデミア橋の近くにあるSanto Stefano教会のこちら。入口を入って左側のすぐ脇で、特に目立つ表示も無かったようだったのでひとしきり探し周った末にようやく発見。そこに跪いて、去年はあなたの没後400年の記念の年でしたねー、我々日本人もあなたの作品をたくさん演奏したんですよ、と語りかけたのでした。


お墓詣りを済ませた後は再びGiovanni e Paoloに行き、ご厚意によりリハ開始前にここのオルガンを少し見学。元々は18世紀後半のCallidoとのことですが、後世の改造を経ていてだいぶモダンな薫りが強い。第2鍵盤にストリング系の笛に味わい深いものがありました。写真はお御堂の下から見上げた図。

この日のリハでは演奏位置を前日の翼廊から聖ドメニコ礼拝堂の前に移し、ここでどうにか歌いやすさと音響を確保できました。前日は戸惑いつつ歌ったアンサンブルも明日はこれで良い演奏ができる予感。その礼拝堂の見事な天井画はこれ(「聖ドメニコの栄光」G.B.Piazzetta)。


順調にリハも終えて、夜はリアルトの魚市場の前の、いかにもヴェネツィアなお店で夕ご飯をいただきました。

明日はいよいよ演奏会。
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2013年楽器研究+イタリア演奏旅行(7) ~ミサ奉唱@ヴェネツィア(5月12日)

2013-06-03 22:42:00 | 
5月12日(日)、ミサの奉唱をさせていただいたのはこのBasilica dei Santissima Giovanni e Paolo。あんまり大きいものだから近くからは全容を撮れず、正面から。

教会の前の広場には15世紀の傭兵隊長バルトロメオ・コッレオーニの記念碑。

これまでも何度かヨーロッパの教会で歌う機会はありましたが、さすがにこれだけ大きなお御堂で歌うのは久しぶり。これに匹敵する経験は10数年前にドレスデンの聖十字架教会で5人で歌った時、くらいでしたか。空間の大きさを認識しながら歌う感覚をすぐには思い出し損ねていましたね。

この教会には夥しい数の美術工芸品がありましたが、それらもとても撮り切れるものではありません。教会のWebにギャラリーのページがありますので是非そちらをご覧ください。

ミサではイタリア語の聖歌、翌々日の演奏会でも採り上げるヨハン・ヘルマン・シャインのモテットを2曲の他、冒頭にこの教会のオルガニストFrancesco Zane氏による4声ア・カペラの<Justus ut palma>(義しき人は棕櫚のように)を奉唱。
ミサでオルガン奏楽を担当された彼にはいたく褒めていただきまして、彼がオルガン席から撮った動画も早速アップされています。お御堂の大きさも最後のところで垣間見れますでしょうか。歌った場所は翼廊の、主祭壇に向かって右側。

昼間はあんなに良い天気だったのに、ミサが終わった後には大降りの雨! 傘を持ち合わせていなかったメンバー大急ぎでホテルへ走って戻り、さすが我がマエストロは強力な雨男、演奏旅行の最初からこれはこれはーと思ったのはホントでしたが(笑)、この後は幸い帰国日まで天気は持ったのでありました。

(翌日に続く)
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2013年楽器研究+イタリア演奏旅行(6) ~ヴェネツィアお墓詣り<1>(5月12日)

2013-06-02 22:02:25 | その他
これまでイタリアには数度旅するも、ヴェネツィア訪問は今回が初めて。ようやく訪れたこの「アドリア海の真珠」の街に、いきなり心奪われました\(◎o◎)/!




前日に東京から到着した他のメンバーとともに、もちろん朝一番で活動開始(笑)。日曜日のこの日は昇天日後の主日で、サン・マルコのミサに与かりました。

アドリアン・ヴィラールトに端を発し、この空間で複合唱様式が生まれ発展していったのだなあ、とバジリカの内部をまじまじと観察。そして、ここでガブリエリも、シュッツも、モンテヴェルディも活躍したのか、と。それにしてもこのお御堂の絢爛豪華なこと。

今回の旅行の本来の目的(笑)は、ここヴェネツィアで最も大きな教会とされるBasilica dei Santi Giovanni e Paoloにおける演奏会(5月14日)への出演でしたが、12日夕刻のミサでの奉唱をも担うことになっていました。で、そのリハまで時間があったので、自分は独りでお墓詣りに。

訪れたのはBasilica Santa Maria Gloriosa dei Frari

この教会の名を有名にしている最も重要な要素の一つは、主祭壇にあるティツィアーノの「聖母被昇天」に違いありませんが、この時の私の目当てはその左に位置するこれ。あなた自身が意図した通り、昨年日本でイタリアの様式のオルガンでヴェスプロを演奏しましたよー、と語りかけたのであります(笑)。


目的を果たした後はリアルト橋を通り、橋の上からの風景も堪能して、ふらりふらりとGiovanni e Paoloへ(初ヴェネツィア単独行で、この日ほとんど道に迷わず目的地へたどり着けた自分は偉い?)。ミサ奉唱編は明日。
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2013年楽器研究+イタリア演奏旅行(5) ~ウチの楽器の姉妹楽器編@スイス

2013-05-31 23:39:22 | オルガン
今回の旅行では、自分の持っているオルガンと同じ製作者のものを複数台見る機会があったことも、いつもには無い体験でした。以下の楽器をアレンジしてくれた現地在住のお友達お二人に大感謝。

5月10日 Orgelmakerij van der Putten(Spät mittelalterige Orgel 2010)~Privatbesitz



自分のポジティフとレガールを作ってくれたオランダのWinold van der Puttenは、以前より楽器図像学を駆使して中世楽器を積極的に復元していて、自分もそれらを弾かせてもらってきましたが、比較的最近作られたオルガンがこれ。個人蔵(@バーゼル)。見た目はポルタティーフの親分みたい(^_^)
説明は抜きにして、ともかくその音を聴いていただきたく(次の動画はお披露目時のものだったと思います)

中世オルガンということでしたから古ーい曲の楽譜をいくつか持っていきましが、ハンス・コッターでもこの楽器にはまだ新しすぎる感じでパウマンあたりだとしっくりいったのかも。
Winoldが嬉々として作ったであろうその様子が目に浮かびました。

5月10日 Giovanni Pradella Bottega Organara(Truhenorgel im italienischen Stil 2011)~Privatbesitz

上記とは別の、私のお友達が所有している、イタリアのスタイルのOrgano di legno。見た目は少し大きめの、(いわゆる)ポジティフオルガンですが、これは一般的なGedackt(閉管)主体でなく、ごく一部を除きほとんど木管の開管で構成されているという、ユニークなディスポジション。同様の構成はインスブルックのHofkircheにある楽器に見られますが、ホント、これだと通奏低音の音響のイメージが変わります。
ジョヴァンニ、ここでも良い仕事をしていました。



スイスフランを使う間もなく、翌日は再びユーロ通貨国へ移動し、次はいよいよ「演奏旅行編」です。

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2013年楽器研究+イタリア演奏旅行(4) ~弾かなかった楽器(ヴィースバーデン編)

2013-05-28 18:09:18 | オルガン
ノルトラインヴェストファーレン州のレムゴから、今回の旅の3つ目の宿泊地であるヘッセン州のヴィースバーデンへの移動は6時間の電車の旅。まあ、そこそこ大変ではありましたが、実に20年ぶりくらいにライン河に沿った鉄路を通り、車窓からの風景を楽しめたのでありました(あ、ローレライも観たんだが、写真を撮り忘れた)。

ヴィースバーデン(および、その対岸のマインツ)は、自分にとってはこれまた1500年くらいに建造された某ゴシックオルガンを弾きに行く時の拠点ですが、今回、ここでは楽器に触ることをまったく計画せず。なので、事前情報も持たずにたまたま遭遇したこの楽器にはすぐに飛びつきました。

5月9日 E.F.Walcker & Cie(1863)
(Ev.Marktkirche zu Wiesbaden)

IV/P/85

ディスポジションは…省略(笑)



自分にとってはこのあたりの楽器はもはや守備範囲外(?)ですが、それでも昔ドイツで1850年頃のオリジナルのオルガンは数台弾いたこともあって、その時のロマン派の特有の、香り立つような音を覚えている身としては、ああ、この楽器もきっと同様の「歴史的様式の楽器」特有の芳香を残していて、同時代の曲を弾くならばどんなにぴったりなことだろう、と、やはり音を聴いてみたくなるものです。最初期のヴァルカ―に銘器は多いですし。
教会でオルガンの説明をしていたご婦人にも「もう少し長く滞在するのなら、コンサートを聴けるのに~」と袖を引っ張られる始末でした(折しも今年は最初の建造からちょうど150年経ち、記念のコンサートがいろいろとある様子でした)。で、音に触れるチャンスは残念ながら無く、資料だけ買い求めて退散。

ヴィースバーデン滞在の当初の目的は、実のところはただ一つ、現地に派遣中のN氏と一緒に楽しく美味いものを食べること(笑)。
まずは、それまで食べていなかったシュパーゲルのスープ。当然ですね(^_^)/


あるいは(前日は肉を抜いたので)、ここではSchnitzelを。


連れて行ってもらったBrauereiはこちら。お店をアレンジしてくれたSさん、ありがとう。また行きましょうね。

かくしてこの街での滞在はわずか17時間で、翌日はスイスに侵入。

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2013年楽器研究+イタリア演奏旅行(3) ~弾いていない楽器(ブレーメン編)

2013-05-27 20:37:08 | オルガン
行った先でも特にアポイントを入れていなかったので単に眺めただけの楽器もあります。備忘録として。

5月7日 Gottfried Silbermann(1734以前)
(Dom zu Bremen )

I/-/8
464.6Hz、不均等律(nach Kristian Wegscheider)
音域C,D-c3

Rohrfloete 8'
Principal 4'
Floete 4'(Rohrfloete)
Nasart 3'
Octav 2'
Sesquialtera
Quinte 1 1/3'
Suffloete 1'



Domのクリプタの中にある楽器。何度も訪れるもなぜかいまだにアポイントを入れたことがない。
結局、ジルバーマンはまだ2台しか弾いたことがないなあ^^;
この地域にG.ジルバーマンの楽器があることは珍しいが、ここに収められたのは1939年の由。

5月7日 Giovanni Pradella Bottega Organara(2011)
(Unser lieben Frauenkirche zu Bremen/Prof.Manfred Cordes)

Ⅰ/-/6
CDEFGA-c3

Principale (8’)
Flauto stoppo 8'
Ottava
Quintadecima
Flauto in duodecima
Fiffaro


ウチにあるイタリアンオルガンの姉妹楽器だが、閉管の8'一列が加わっている。本当に眺めに行っただけでした。

ブレーメンはオルガン巡りの拠点として自分には特別な街。今回もわずかな日数ながら滞在を楽しみました。
下の写真は到着した夜、お友達のご協力の下(?)ヴェーザーの畔で早速頑張って時差調整を敢行した時の食卓。で、これはSchweine Haxeのプレートでしたが、やっぱりそのボリュームに完敗。


翌日の夜はブレーメンのビールを堪能。このお店は初めてで、何とも味わい深いビールでした。また来よう(^^)




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2013年楽器研究+イタリア演奏旅行(2) ~Lemgo(ドイツ ノルトラインヴェストファーレン州)

2013-05-26 21:50:29 | オルガン
ブレーメンの宿を早朝に出て2か所目の滞在地へ移動。3回も電車を乗り換えて、着いた先はノルトラインヴェストファーレン州の町レムゴ(あるいはレムゴー)。

町の名前を言っても、そこ、いったいどこ?という反応が返ってくることが多かったのでしたが、デトモルトの北方にある、歴史ある旧ハンザ都市で情報はこちら
主だった施設をすべて見てもさほど時間がかからないような小さな町ですが、こちらはそういう町ばかり歩いて周っていて(歴史的オルガン巡りの行先は基本的には大都市ではありません)、駅から町の中心部に向かっていくにつれ、何だかいつものいい感じの光景(笑)が目の前に広がっていくので嬉しくなってきました。

5月8日 Schwalbennestorgel(ツバメの巣オルガン) Familie Slegel(1586-1595)/Familie Scherer(1612-1613)/Rowan West(2010)
(St.Marien zu Lemgo)

�/20/P 
ミーントーン 470Hz
ショートオクターヴ

Hauptwerk
Praestant 8'
Quintatien 8'
Gedackt 8'
Octave 4'
Holfloyte 4'
Mixtur 2-4f.
Scharff 3-6f.
Barpfeiff 8'

Oberwerk
Praestant 4'
Holpfeiff 8'
Nasatt 3'
Waltpfeiff 2'
Cimbell 3f.
Trumpett 8'
Zinke 8'

Pedal
Bordaunen Bass 16'
Bassunen Bass 16'
Trumpeten Bass 8'
Cornet Bass 2'
Gemshorenfloyt 1'


ご覧のように「ツバメの巣」の通称がぴったりの姿。Schnitzwerkはタンゲルミュンデとイメージが近い。

オランダのビルダー一族のSlegelによる最初の楽器は一段鍵盤、ルネサンスオルガンによく見られるような前扉が付いていたもののようであるが、これをハンブルクのScherer一族が拡大し扉も外された。この楽器もこれまた後世の改造を蒙ったが、現在見られるのはそのSchererによるちょうど400年前の姿につい最近復元されたもの。
前日のGanderkeseeの楽器と事情が異なり、この楽器に残されたオリジナルの笛はHWのPraestant8'(Scherer)のみであるが、その他の笛は他の場所に現存するSlegelやSchererの楽器の笛などを元に綿密に復元された(特筆すべきHWのBarpfeiffはミヒャエル・プレトリウスの文献からの再現)。

この楽器からは実に深い感銘を受けました。基本的に17世紀の音楽に強い関心を持っているせいもあるとはいえ、前日のSchnitgerよりもずっと仲良くなれそうな感じ(笑)。スウェーリンクやシャイデマン、ヴェックマンやブクステフーデを弾くのが楽しすぎ、この日は十分時間をもらえたこともあって市内観光をすべてやめてしっかり弾き込ませていただいたのでした(途中で疲れたのでちょっとホテルに戻ってうたた寝した後にまた戻ったり…汗)

アクセスするのがちょっと難しい場所にあるオルガンですが、自分にとってはタンゲルミュンデのScherer同様、時間をおかずにまた必ず再訪したいと思う楽器のリストに堂々と加わわることとなった次第。

この楽器による録音は、ちょうどハラルド・フォーゲル氏によるスウェーリンクのCDが出たばかり(SACD: MDG 914 1690-6)。師のインプロによる、この楽器のディスポジション紹介トラックもとても素晴らしいです。




オルガンとお別れした後は、歴史的な市庁舎前の広場でこの時季ならではの味覚を食す。当然です(^_^)





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