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シンガポールのオフィス賃借ガイド

2021-07-09 | 会社設立

1. 賃貸借契約期間

 

シンガポールの賃貸オフィスの契約期間は23年間が一般的です。比較的大きなオフィスを借りる場合、56年間の長い契約期間を選ぶことができます。契約期間満了時に、多くの賃貸人(貸主)は賃貸借契約の更新という選択肢を提供しますが、賃料が契約更新時の相場によります。

 

2. 賃料(家賃)

 

一般的に、シンガポールの賃料は月ごとに支払われ、床面積に基づき計算した基本賃料とサービス料を含んでいます。貸主は消費税登録済みの会社であれば、消費税を納めなければなりません。基本賃料は1平方フィートあたり4.510シンガポールドルです。サービス料は1平方フィートあたり0.71.2シンガポールドルです。サービス料は、貸主から提供されている一般的な管理サービスの費用(勤務時間のエアコン電気代、管理費、ビルの修繕費及びセキュリティ対策費用など)を含んでいます。サービス料の金額は通常賃貸借契約書に明記され、且つ条件を付けられ、賃貸借契約の期間中に変更できます。こうすると、賃貸人(貸主)は賃借人(借主)に追加費用を請求することができます。

 

3. 保証金及びその他の費用

 

3ヶ月分の賃料相当額の返金可能な保証金(敷金)を2回に分けて支払うことが一般的です。法的拘束力のある書類、賃借人の仮契約書(LOI: Letter of Intent)及び賃貸人の見積書を取り交わした後、1ヶ月分の賃料相当額の保証金を支払う必要があります。残りの保証金は賃貸借契約書の取り交わす時、家屋の利用時または賃貸借期間開始時(いずれか早い方)に支払います。

 

賃貸借契約期間満了時に、保証金は無利息で返還されますが、賃借人が契約の条項及び細則に従ってその義務を履行するかどうかによります。賃借人による契約違反行為がありましたら、賃貸人は賃借人が支払うべき費用を控除する権利があります。オフィスのリフォームまたはリノベーションをするつもりであれば、賃貸人またはビル管理会社にリノベーションに対する返金可能な保証金を別途支払う必要があります(工事期間中にビルの共用部分へ損害を与えましたら、損害賠償金が保証金から控除される)。

 

書類作成費用、印紙税(Stamp Duty)等は双方の合意によります。貸主は通常、借主が費用の全額または一部を負担することを要求します。法律の規定に基づき、全ての不動産の賃貸借契約書に対して印紙税を支払わなければなりません。印紙税は、シンガポールで契約を締結した日から14日以内に支払わなければならず、シンガポール以外の国・地域で契約を締結した場合、契約書を受け取った日から30日以内に支払わなければなりません。シンガポール税務機関は印紙税を納めなかったことに対して厳しい態度を持っています。印紙税は概算で賃貸借契約期間の総賃料の0.4%です。例えば、2年契約で月2,000シンガポールドルの賃貸借契約を締結する場合、印紙税は2,000×12x2x0.4%=192シンガポールドルになります。

 

4. 電気代と修理

 

借主は一般の電気代と電信代を支払う必要があります。勤務時間内のエアコン利用に加えて(シンガポールのオフィスビルの大部分はセントラル空調を設置しています)、勤務時間以外の時間帯でのエアコン利用も貸主に要求できますが、追加費用が必要となります。

 

ビルとその共用部分の修理、修繕と清掃は貸主負担になり、賃借した内部空間の清掃・掃除とメンテナンスは借主の負担になります。または、賃貸オフィスの日常清掃を貸主の指名する清掃業者に委託することができます。

 

賃貸オフィスビルの駐車場の空き状況及び賃貸面積によって、借主は駐車場を利用することができます。駐車場の使用料について、中央商業地区(CBD)では月額100~180シンガポールドルであり、中央商業地区の建物内部では月額170~300シンガポールドルです。

 

5. 転貸(又貸し)

 

ほとんどの賃貸借契約では、賃貸物件の借主が第三者に物件を転貸(又貸し)することが禁止されています。貸主による書面の許可を受けた場合は別です。場合によっては、原賃借人が第三者に賃借権を譲渡することはできます。

 

6. オフィスの内装工事

 

シンガポールのオフィス・事務所には通常、コンクリートスラブまたは二重床システム、天井、標準的なスプリンクラー設備、セントラル空調、基本照明及び窓設備が整備されています。

 

オフィス内装のカスタマイズをご希望の場合、貸主の定めた条項と条件に従ってリノベーションを行うことができます(大型のオフィスビルは一般的に標準的なリノベーションマニュアルがあります)。この場合、リノベーションを行うので、借主は空間と建築面積によって2~3ヶ月のフリーレントを貸主と交渉することができます。

 

内装工事のコストは建築面積、間取りの複雑さと異なる業界の技術要求、およびインテリアデザイン業者または建築家の費用によります。予算については、1平方フィートあたり100シンガポールドル以下が多いですが、こだわれば1平方フィートあたり100シンガポールドル以上行くこともあります。既存設備の変更、増加または改造には、貸主の承諾を得なければなりません。多くの場合、賃貸借契約期間満了時に、借主はオフィスを入居前の状態に戻す必要があります(原状回復)。

 

7. 賃貸オフィス契約の流れ

 

一般的に、シンガポールにおける賃貸借契約の締結は、以下の流れで行われます。

 

7.1   仮契約書(Letter of Intent)

 

賃貸希望物件が決まったら、借主は代理人を通じて、または自ら仮契約書・申込書となる「Letter of Intent」を貸主に提出します。仮契約書には、借主の借りたい意志と賃貸契約上の条件とリクエストが記述されます。

 

7.2 レターオブオファー(Letter of Offer)

 

仮契約書を受け取った後、借主の賃借料の支払い能力を確認するために、貸主は通常、借主ととなる会社に対する調査を行います。貸主が会社の申請に満足し、且つ賃貸契約の条項をお互いが合意しましたら、貸主は借主にレターオブオファー及び賃貸契約書の見本を発行し、見積書へのサインと返金できない敷金を要求します。

 

7.3  本契約書(Tenancy Agreement)

 

見積書に署名された後、賃貸人は本契約書を賃借人に提出します。シンガポールの賃貸借契約書が通常簡単的な文書ですが、借主は必要に応じて法律サービスを通じて賃貸借契約を締結することができます。

 

賃貸借契約書を取り交わした後、借主はシンガポールの内国歳入庁(IRAS)に印紙税を納めなければなりません。印紙税は総賃料をベースに計算されるものです。契約を締結した日から14日以内に印紙税を支払わなければなりません。シンガポール以外の国・地域で契約を締結した場合、契約書を受け取った日から30日以内に印紙税を支払わなければなりません。

 

7.4 入居とリノベーション

 

正式に賃貸借契約書を取り交わしかつ敷金を支払った後、借主は自由に入居し、またはリノベーションを行うことができます。リノベーションの場合、貸主の承諾を得らずに、家屋を変更・改造してはいけません。内装工事期間に、公共事業、電話、インターネットなどの関連部門による支持を受ける必要があるかもせりません。それ以外にも、オフィス清掃会社または清掃員を募ることも必要かもしれません。


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