会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

WH、米破産法適用申請の可能性 東芝に問われる保証責任(ロイターより)

WH、米破産法適用申請の可能性 東芝に問われる保証責任

東芝の米原発子会社、ウエスチングハウスは米連邦破産法11条の適用申請が避けられないという記事。麻生太郎財務・金融相まで、記者会見でそのことにふれているそうですから、検討しているのはたしかなのでしょう。

「同11条の適用をWHが申請すれば、親会社としての権利を放棄する代わりに、WHによって追加損失がもたらされるリスクを遮断できる、というのが東芝の考え方だ。東芝は特設注意市場銘柄に指定されており、東証に内部管理体制確認書の提出を求められているが、WHを切り離せば、自社のガバナンス改革をアピールできるとの思惑もある。

すでにWHは、破綻処理に強い法律事務所ワイル・ゴッチェル&マンジスの複数の破産専門弁護士と契約、申請に向けた検討に入っている。WHの内部事情に詳しい業界関係者は「11条適用申請の可能性は高い。WHを東芝から切り離さないと、東芝がつぶれてしまう」と指摘する。

しかし、東芝はWHの債務に対して約8000億円の親会社保証を行っており、WHが同11条による再建プロセスに入ったとしても、東芝自体が巨額の保証の履行を迫られる事態は避けられないと、一部の会計専門家は指摘する。その場合、東芝の経営に深刻な影響が及ぶリスクを払拭できない可能性もある。」

「...WHが破産法による再建手続きに入り、米国での4基の建設ができなくなった場合も、東芝は顧客の電力会社側から損害賠償を要求される可能性がある。 東芝はWHに対して7935億円の親会社保証をしているが、この保証の履行が必要となるのかどうか、東芝内部で検討が続いているもようだ。」

東芝が発注者に対して入れている保証の内容次第で、破産法適用の損得が相当変わってくるのでしょう。「7935億円の親会社保証」といっても、有報(2016年3月期)の記載(「事業等のリスク」)によると「契約履行保証」ということですから、借入金のように金額が決まっているものではないのかもしれません。

当サイトでも何回か取り上げたとおり、東芝はそう簡単に逃げられないのでは。

また、破産法適用で適用しない場合よりも大きな損失が生じるかもしれないのに、「ガバナンス改革をアピール」するためにやるというのは、本末転倒でしょう。

当サイトの関連記事(発注者である電力会社CEOの発言など)

その2(破産法適用の場合の東芝損失額試算など)

有報での財務諸表(単体)注記と「事業等のリスク」の記載についてもふれています。注記では「社債及び借入等」に対する保証と書いてあり、実態を表していない記述だと思われます。

東芝、損失膨張に歯止め WHが米破産法申請検討(日経)(記事冒頭のみ)
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