シャープに対して、みずほ銀行と三菱東京UFJ銀行が債権放棄に踏み切る案が、浮上しているという記事。産業革新機構が支援する条件となっているようです。
「シャープの経営再建策を巡っては、液晶事業を社外分社化したうえで、革新機構が出資する案が現在、最も有力だ。液晶事業を社外分社化せずに、シャープ本体に出資する案も一時浮上していた。シャープは液晶事業への過大投資などがたたり、9月末時点で7500億円超の有利子負債を抱える。うち2行の融資が過半を占める。シャープの財務状況が極めて悪いことから、両行は債権放棄などを加えてシャープの債務を圧縮することが経営再建の可能性を高めるとみている。」
直近の四半期報告書(2015年4月~9月)をみると、継続企業の前提に関する注記はまだなされていませんが、「事業等のリスク」で記載があります。
「こうした状況により、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しているが、「3 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (5)事業等のリスクに記載した重要事象等を解消するための対応策」に記載のとおり、当該重要事象等を解消するための対応策を実施しているため、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められない。従って、「継続企業の前提に関する事項」には該当していない。」(「継続企業の前提に関する重要事象等について」の結論部分)
遅くとも、第3四半期の四半期報告書期限(2016年2月中旬)前に、新たな「対応策」を実施するのでしょう。その前提として、資金繰りがつくのかという問題はありますが...。第2四半期累計で(つまり半年で)、営業キャッシュフローは590億円のマイナス、期末のキャッシュ残高は約1,500億円です。
四半期報告書を見ていると、未引当の含み損(長期契約)が注記されています。
「堺工場において太陽電池を生産するために必要な電気等の供給につき、複数のサプライヤーとの間で長期契約を締結している。当該契約の当第2四半期連結会計期間末の未経過残高は合計で40,912百万円(残年数は2年から13.5年)となっており、いずれも中途解約は不能である。
当該電気等の供給に関する長期契約により、年間480メガワットの太陽電池生産が可能となっているが、堺工場における実際の生産量は現在年間160メガワット程度に留まっており、これらの長期契約は、エネルギーソリューション事業の割高な生産コストの原因となっている。しかし、堺工場における電気等の市場価格や当該契約によらない場合の電気等の調達価格及びそれらに基づく適正な生産コストの算定はできないため、当該契約に係る損失の見積りは困難である。」
生産能力の3分の1しか稼働していないということは、(価格はとりあえず無視するとして)未経過残高400億円のうち、3分の2は無駄になるということでしょうか。
2016年に消えそうな会社
シャープはいったい、いつまでもつのか(現代ビジネス)
「売上高が2兆円を超えるシャープの場合、手元にはその1割、2000億円超の現金が必要だとされる。しかし現在、シャープの手元の現金残高は1000億円を割り込んでいるという。全国紙経済部記者が語る。
「11月末から12月にかけて、資金ショートが現実化する可能性が高い。主力銀行の一つである三菱東京UFJはシャープ支援に終止符を打とうとしています。来年で頭取を退くことになっている平野信行氏が、『私の代でシャープの問題はカタを付ける』と断言しているそうです」
産業革新機構も、倒産寸前の会社に無闇にカネをつぎ込むようなことになれば世論の猛反発を受けることがわかっているので下手に動けない。」
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「電機大手では過去に、経営が悪化した三洋電機が同様の取り組みを実施したことがある。」
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