会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

監査人交代事例19件、退任は新日本7件、トーマツ、あずさ、ひびき各2件など(2023年5月12日)

最近の監査人交代事例です(2023年5月12日発表分)。

ひびき監査法人の退任が2件ありますが、行政処分にはふれていません。そこをあまり強調すると、いままでの財務諸表の信頼性が損なわれると考えたのでしょうか。赤坂有限責任監査法人の退任もあり、それは処分勧告を理由にしています。

1.ホクリヨウ(東証スタンダード)

公認会計士等の異動に関するお知らせ(PDFファイル)

新日本→アーク有限責任監査法人、の交代です。

監査費用を理由に挙げています。

「監査役会は、当社の業務内容や規模に適した監査対応を想定し、会計監査人等の見直しを検討いたしました。具体的には当社の業容拡大及び内部統制監査の充実に伴い監査時間が増加傾向にあり、それに伴う監査費用も増えつつあることを踏まえ、今後もその傾向が持続することを想定し相当性を総合的に勘案した結果、公認会計士等を見直すこととし、新たにアーク有限責任監査法人を公認会計士等として選任するものであります。」

現監査人の就任年は、2014 年です。

2.北國フィナンシャルホールディングス(東証プライム)

公認会計士等の異動に関するお知らせ(PDFファイル)

新日本→かなで監査法人(トーマツ出身の人(協会の元役員などもいる)が中心のようです)、の交代です。

監査継続年数を理由にしています。

「同監査法人の監査継続年数は長期にわたっており、新たな視点での監査が必要であるとの理由により、他の監査法人と比較検討を行ってまいりました。」

後任については...

「監査等委員会が、かなで監査法人を会計監査人の候補者とした理由は、当社の事業規模に適した新たな視点での監査が期待できることに加え、会計監査人に必要とされる専門性、独立性、品質管理体制及び監査報酬の水準を総合的に勘案した結果、当社の会計監査人として適任であると判断したためであります。」

現監査人の就任年は、1976 年です(北國銀行における就任時期)。

たしかに継続年数は長いのですが、地銀で、大手ではなく、中小監査法人を選ぶのは珍しいのでは。

3.ユニリタ(東証スタンダード)

公認会計士等の異動に関するお知らせ(PDFファイル)

新日本→アーク有限責任監査法人、の交代です。

「監査継続年数が長期にわたっていること、監査報酬が増加傾向にあることなどを契機として、監査対応と監査費用の相当性を考慮して総合的に検討した結果」とのことです。

現監査人の就任年は、2006 年です。

4.アサックス(東証スタンダード)

会計監査人の異動に関するお知らせ(PDFファイル)

新日本→太陽有限責任監査法人、の交代です。

監査継続年数が長期にわたることに加え、監査環境の変化による継続した監査報酬の増額が見込まれることから、当社の事業規模に適した監査対応と監査費用の相当性等を踏まえ複数の監査法人を対象として総合的に検討した結果」とのことです。

現監査人の就任年は、2005 年です。

5.図研エルミック(東証スタンダード)

会計監査人の異動に関するお知らせ(PDFファイル)

新日本→SCS 国際有限責任監査法人、の交代です。

「監査環境の変化等により近年の監査報酬が増加傾向にあることから、総合的に検討した結果」とのことです。

現監査人の就任年は、1996 年です。

6.長 野 銀 行(東証スタンダード)

会計監査人の異動に関するお知らせ(PDFファイル)

新日本→トーマツ、の交代です。

監査人の統一が理由です。

「当行は、2023 年6月1日に株式会社八十二銀行との株式交換契約の効力発生により、株式会社八十二銀行の完全子会社となることを踏まえ、株式会社八十二銀行と会計監査人を統一することで、一元的な連結監査体制の確保、及び当行の
監査効率化や内部管理体制のより一層の強化に資するものと考えたため、株式会社八十二銀行の会計監査人である有限責任監査法人トーマツを後任の会計監査人として選任するものであります。 」

現監査人の就任年は、1983 年です。

7.日 本 精 鉱(東証スタンダード)

会計監査人の異動に関するお知らせ(PDFファイル)

新日本→新宿監査法人、の交代です。

継続監査年数が長期にわたっていることや、当社の事業内容や規模に適した監査対応及び増加傾向にある監査報酬の水準等を総合的に勘案した結果」とのことです。

現監査人の就任年は、1986 年です。

8.横 浜 丸 魚(東証スタンダード)

会計監査人の異動に関するお知らせ(PDFファイル)

トーマツ→監査法人FRIQ、の交代です。

監査継続年数が長期にわたっていること、および次期監査報酬の妥当性等を踏まえた上で、...新たに監査法人FRIQを会計監査人の候補者とした」とのことです。

現監査人の就任年は、2009 年です。

9.ハリマビステム(東証スタンダード)

公認会計士等の異動に関するお知らせ

トーマツ→かなで監査法人、の交代です。

監査継続期間が長きにわたっており、新たな視点での監査が必要であること、また近年、工数単価の上昇に伴い監査報酬が増加傾向であることから、複数の監査法人を対象として比較検討した結果」とのことです。

現監査人の就任年は、1992 年です。

「新たな視点」といっても、かなではトーマツOBばかりですが...

10.神 栄(東証スタンダード)

公認会計士等の異動に関するお知らせ(PDFファイル)

あずさ→仰星監査法人、の交代です。

監査継続年数が長期にわたっていることや、当社の事業規模に見合った監査対応と監査費用の相当性を総合的に検討した結果」とのことです。

現監査人の就任年は、1974 年(新和監査法人が監査法人組織になった年)です(実際はそれ以前から)。

11.浅香工業(東証スタンダード)

公認会計士等の異動に関するお知らせ(PDFファイル)

あずさ→仰星監査法人、の交代です。

監査継続期間が長期にわたっていることに加え、当社の事業規模や経営環境等を踏まえた監査報酬の相当性について総合的に検討した結果」とのことです。

現監査人の就任年は、1979年です。

12.堺化学工業(東証プライム)

公認会計士等の異動に関するお知らせ(PDFファイル)

ひびき監査法人→あずさ、の交代です。

「現会計監査人の監査継続年数を踏まえ、他の監査法人と比較検討をいたしました結果」とのことです。

現監査人の就任年は、1988 年です。

13.日本精線(東証プライム)

会計監査人の異動に関するお知らせ(PDFファイル)

ひびき監査法人→仰星監査法人、の交代です。

継続監査年数が長期にわたっていることを考慮し」たとのことです。

現監査人の就任年は、1989年です。

14.小 池 酸 素 工 業(東証スタンダード)

会計監査人の異動に関するお知らせ(PDFファイル)

東光監査法人→Moore みらい監査法人、の交代です。

継続年数がきっかけです。

「監査等委員会は、現会計監査人の監査継続年数が30年を超える長期にわたることから、複数の監査法人を候補対象として比較検討をしてまいりました。」

後任については「新たな視点での監査を期待できることに加え、会計監査人として必要とされる専門性、独立性、品質管理体制および監査報酬の水準等を総合的に勘案した結果、適任と判断した」とのことです。

現監査人の就任年は、1991年です。

15.ASJ(東証グロース)

会計監査人の異動に関するお知らせ(PDFファイル)

赤坂有限責任監査法人 →ゼロス有限責任監査法人、の交代です。

処分勧告がきっかけで検討した結果とのことです。

「2023 年 3 月 17 日に公認会計士・監査審査会より金融庁長官に対し、赤坂有限責任監査法人に対して、行政処分その他の措置を講ずるよう勧告があったこと等に鑑み、当社の監査業務の相当性及び品質管理体制を確保する観点から、新たな会計監査人の選任に向け検討を行ってまいりました。」

現監査人の就任年は、2017 年です。

16.日本シイエムケイ(東証プライム)

会計監査人の異動に関するお知らせ(PDFファイル)

新宿監査法人→新日本、の交代です。

監査継続期間を理由としています。

「現任会計監査人の監査継続期間が 44 年間と長期にわたるため、新たな視点による監査の期待に加え、上記3.の理由により、新たに EY 新日本有限責任監査法人を会計監査人として選任するものであります。」

「監査役会が EY 新日本有限責任監査法人を会計監査人の候補者とした理由は、会計監査人として必要とされる専門性、独立性及び品質管理体制の観点から監査が適正に行われると評価したことに加え、当社が展開する事業分野への理解等を総合的に勘案し、検討した結果、当社の会計監査が適正かつ妥当に行われることを確保する体制を備えており、適任と判断したためであります。」

17.ム サ シ(東証プライム)

公認会計士等の異動に関するお知らせ

東陽監査法人→Moore みらい監査法人、の交代です。

監査継続年数が長期にわたって いることや、当社の事業規模に適した監査対応と監査費用の相当性を総合的に検討した結果」とのことです。

現監査人の就任年は、1994 年です。

18.JALCO ホールディングス(東証スタンダード)

公認会計士等の異動に関するお知らせ(PDFファイル)

シンシア監査法人→アルファ監査法人、の交代です。

「当社の事業規模に適した監査対応と監査費用の相当性等について複数の監査法人を候補対象者として検討いたしました。」

「新たな視点での監査が期待できることに加え、当社の会計監査人に必要な専門性、独立性、品質管理体制を有し、当社の事業規模に適した監査対応が期待できると判断し、新たにアルファ監査法人を会計監査人として選任するものであります。」

現監査人の就任年は、2022 年です。

19.中日本興業(名証メイン)

公認会計士等の異動に関するお知らせ

公認会計士2名→有限責任中部総合監査法人(前任監査人のうちのひとりがパートナーになっているようです)、の交代です。

交代の理由は、任期満了としか述べていませんが、後任監査人選定の理由は...

「監査役会が有限責任中部総合監査法人を会計監査人の候補とした理由は、当社の業務内容や企業規模に適した監査法人であること、また、同監査法人を起用することにより、新たな視点で監査が期待できることに加え、同監査法人の専門性、独立性、適切性および品質管理体制を総合的に検討した結果、適任と判断したためであります。」

2名の現監査人の就任年は、それぞれ、平成 28 年と平成 30 年です。

上場会社を監査している個人の会計事務所には、会計士協会が監査法人への移行を指導しているようですから、その流れに乗った動きなのでしょう。

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