ファミマTOB「安過ぎた」と認定、適正価格より300円-地裁
伊藤忠商事がファミリーマートに対して行ったTOBの価格が適正水準より安かったと裁判所が判断したという記事。
「伊藤忠商事が2020年に実施した子会社ファミリーマートに対する株式公開買い付け(TOB)に関連して、米アクティビストのRMBキャピタルなどがTOB価格は「安過ぎる」として公正価格の決定を求めた裁判で、東京地方裁判所が、適正水準より300円安かったとの判断を示していたことが31日までに分かった。」
「ブルームバーグが入手した決定文によると、東京地裁は23日、公正価格を実際のTOB価格より13%高い2600円と決定した。理由として特別委員会が2300円は妥当な価格より安いと考えていた様子なのに、妥当でないと表現すればファミマが賛同意見を表明できなかった可能性があるためだと指摘。TOB価格は多数株主と少数株主の利害が適切に調整された結果とはいい難いと結論付けた。」
特別委員会は、1株当たり2472-3040円という算定結果を示していたそうです。
訴訟を起こしたファンドのコメント。
「RMBの細水政和ポートフォリオマネジャーはブルームバーグの取材に対し、東京地裁の決定内容を認め、「特別委が少数株主の利益を守る存在として機能していなかったという主張が全面的に認められた意義は大きい。今後、親会社によるごり押しTOBを抑制する効果があると思う」と述べた。」
そもそも、親子上場を認めているのが間違いなのでしょう。
東芝にも影響が...
「複数のアクティビストを株主に持つ東芝は、官民ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)が株式の非公開化を目指して実施するTOBを受け入れることを決めた。1株4620円で7月後半に開始される見通し。
東芝はTOBに賛同しているが、現時点で応募を推奨するか否かの意見表明はしておらず、TOB開始までに方針を決めるとしている。ファミマのケースと同様、JIPの提案しているTOB価格は東芝が設置した特別委員会の主な価格算定結果(1株当たり4661円ー7333円)の下限を下回っている。」
専門家のコメント。
「コーポレートガバナンス(企業統治)専門家のニコラス・ベネシュ氏は、そもそも日本の現行制度が100%未満の「『部分的な』公開買い付けを認めているのが問題だ」と指摘。結果的に多くの親子上場が許され、また買収者が会社を支配する代償としての「コントロール・プレミアム」を支払うことなく実質的に支配権を取得する方法が多すぎるとし、制度改革の必要性を説いた。」