会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

東芝、6年ぶり中間営業赤字 家電の構造改革「遅れている」(ロイターより)

東芝、6年ぶり中間営業赤字 家電の構造改革「遅れている」

東芝の2015年4―9月期の連結営業損益が904億円の赤字となったという記事。

すでに報じられている子会社の東芝テックの減損処理の影響が大きかったようですが、それだけでなく、全体的にふるわず、稼ぎ頭のフラッシュメモリーも業績が落ち込んでいます。

「家電部門では、液晶テレビ、パソコン、白物家電の3事業とも赤字を計上。」

「4―9月期は、フラッシュメモリーを除く半導体(ディスクリートとシステムLSIの2事業)の赤字も続いた。半導体2事業は、ソニー(6758.T)にイメージセンサー事業を売却するなど構造改革を10月28日に決定している。

このほか、これまで連結業績をけん引してきたフラッシュメモリー事業も、中国のスマートフォン市場の失速などを背景に価格下落で業績が落ち込んだ。これにより、半導体全体を構成する電子デバイス事業の4―9月期の営業利益は388億円(前年同期は1192億円)にとどまった。」

前から問題になっているウエスチングハウスについては...

「06年に買収した米原子力会社ウエスチングハウス(WH)の減損処理は「不要と判断した」(平田氏)。9月末時点で、WHの関連資産は、のれん代と無形資産の合計で5156億円にのぼるが「減損の兆候がみあたらなかった」(同)とした。」

米国会計基準ですから、兆候の有無にかかわらず、毎年、減損テストは行わなければなりません(のれんについて)。四半期決算はいいのかもしれませんが...。

2015年度 第2四半期決算(連結)(東芝)
2015年度 第2四半期決算説明会(東芝)(説明会の動画→2015年度 第2四半期決算説明会

決算説明会資料ののれんやその他の無形資産の減損などについて説明した部分。



そのうち、ウエスチングハウスについて、比較的詳しく説明しています。



ウエスチングハウス社自体はプロダクトライン別に減損の判定を行っており、2012年と2013年は一部のプロダクトラインで減損処理を行っていますが、東芝の連結では、WEC事業部という単位(ウェスチングハウス社全部を含む)で、減損の判定を行っており、減損処理は行っていなかったそうです。さらに、昨年10月からは、事業部統合(下図参照)により、原子力事業部というさらに大きな単位で、減損の判定を行うようにしているそうです。つまり、より、のれんやその他の無形資産の減損に引っかからないようなグルーピングに(あえて?)しているということのようです。



しかし、せっかくグルーピングを大きくしたにもかかわらず、今度は「電力・社会インフラ」セグメント全体で赤字となってしまいました。(注:「原子力」だけの業績は不明)

これからどうなるのでしょうか。



東芝、異例の土曜決算発表で6年ぶり上期赤字(東洋経済)

「稼ぎ頭」半導体収益も悪化 東芝、営業赤字904億円(朝日)(記事の一部のみ)
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