会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

日産自動車、逆転敗訴 50億円追徴課税は適法―最高裁(時事より)

日産自動車、逆転敗訴 50億円追徴課税は適法―最高裁

日産自動車が「タックスヘイブン対策税制」をめぐり処分取り消しを求めていた訴訟の上告審判決で、日産側が逆転敗訴したという記事。

「東京国税局は、日産の2017年3月期の税務申告に対し、課税逃れを防ぐ「タックスヘイブン対策税制」を適用。関連会社と日産本体の所得を合算すべきだと指摘し、追徴課税した。

訴訟では、関連会社が保険業で、保険料収入の50%超をグループ企業以外から得た場合には対象外となる同税制の適用可否が争点だった。

同小法廷は、英領バミューダ諸島にある関連会社「NGRE」について、グループ外からの保険料収入が50%超だった一方、一部を別の日産関連会社が事実上負担していた点を考慮。実質的にグループ外収入は50%以下で、同税制の適用対象になると結論付けた。」

「裁判官5人全員一致の意見」だそうです。

日産逆転敗訴、50億円課税確定 租税回避巡り最高裁判決(日経)(記事冒頭のみ)

追徴課税取り消し裁判 日産に約50億円の追徴課税確定 最高裁(NHK)

「18日の判決で最高裁判所第1小法廷の岡正晶裁判長はグループ会社の契約状況などについて「実質に照らしてみると、タックスヘイブン対策税制が適用される。追徴課税は適法だ」として2審判決を取り消し、訴えを退ける判決を言い渡しました。」

タックスヘイブン対策税制:日本(ジェトロ)

「III. 経済活動基準(適用除外基準)

外国関係会社に経済実態があるか否かを判定する基準となります。外国関係会社のうち、下記1~4の要件をすべて満たす場合においては、租税負担割合が20%未満のときは、受動的所得(下記IV参照)についてのみ合算課税の対象となります。 一方、外国関係会社のうち、下記1~4の要件を1つでも満たさない場合においては、当該会社のすべての所得に対して合算課税が生じます。

1.事業基準:主な事業が株式の保有、著作権の提供、船舶リース等でないこと
2.実体基準:本店所在地国に主たる事業に必要な事業所等を有すること
3.管理支配基準:本店所在地国において事業の管理、支配及び運営を自ら行っていること
4.次のいずれかの基準
a 所在地国基準:主たる事業が卸売業、銀行業、信託業、金融商品取引業、保険業、水運業、航空運送業又は航空機リース業以外の場合で、かつそれを主として本店所在地国で行っていること
b 非関連者基準:主たる事業が卸売業、銀行業、信託業、金融商品取引業、保険業、水運業、航空運送業又は航空機リース業の場合で、かつ非関連者との取引割合が50%超であること」

日産自動車関連記事。

日産、営業益99%減 米国事業が不振―24年4~6月期(時事)

「日産自動車は25日、2024年4~6月期の連結営業利益が前年同期比99.2%減の9億9500万円になったと発表した。米国市場で需要低迷に伴って積み上がった古いモデルの在庫を減らすため、ディーラーに支払う販売奨励金などのコストが膨らんだことが響いた。」

ぎりぎり赤字にしないというのが何らかの工夫の表れでしょうか。四半期レビューの対象にしていなければ、監査法人を気にする必要もあまりありません。

ルノー、日産を時価総額で逆転-年初来で株価37%上昇(2024年4月)(ブルームバーグ)

「ルノーの株価は年初来で37%上昇。数十年前のアライアンス発足以来、ほぼ全ての期間でルノーの時価総額は日産を下回ってきたが、いまやルノーは約150億ユーロ(約2兆5000億円)と評価され、日産を2000億円程度上回った。

スタイフェルのアナリスト、ピエール・イブ・ケメナー氏は、「そつがない経営で、利益率とフリーキャッシュフローの改善が続いている」と指摘した。」

「デメオCEOの下、ルノーはロシアから撤退し、電気自動車(EV)事業と従来型のエンジン車事業を分離、クアルコムやボルボ、中国・浙江吉利などとの新たな協力関係を成立させた。競争の激しい欧州EV市場で勝ち抜くべく、価格2万5000ユーロの「R5 E-Tech」を投入する。これらが好感され、ルノーは欧州自動車株のうち年初来の上昇率が最も高い。

一方、日産はラインナップの陳腐化や北米でのハイブリッド製品の欠如、中国での競争激化で苦戦している。」

ゴーン氏を追い出して、ルノーの支配からも外れたのに、なんだかパッとしないようです。

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