会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

有価証券報告書の提出期限延長申請に係る承認3件、ブックオフグループホールディングスなど(2024年9月2日)

有価証券報告書の提出期限延長申請に係る承認の開示例です(2024年9月2日発表分)。

いずれも2024年5月期有報です。

1.ブックオフグループホールディングス(東証プライム)

第 6 期(2024 年 5 月期)有価証券報告書の提出期限延長に関する承認のお知らせ(PDFファイル)

延長前 2024 年 9 月 2 日→ 延長後 2024 年 10 月 22 日、です。

第 6 期(2024 年 5 月期)有価証券報告書の提出期限延長に係る承認申請書提出のお知らせ(PDFファイル)

「当社は、2024 年 6 月 25 日付開示「特別調査委員会の設置及び 2024 年 5 月期決算発表の延期に関するお知らせ」においてご説明いたしましたとおり、当社子会社が運営する複数店舗において、従業員による架空買い取り、在庫の不適切な計上及びこれらによる現金の不正取得の可能性があることが発覚(以下、「本事案」といいます。)し、当社から独立した中立かつ公正な外部専門家で構成された特別調査委員会(以下、「調査委員会」といいます。)を設置しました。本事案解明に向けた調査委員会による調査は、2024 年 8 月 6 日付開示「特別調査委員会による調査進捗状況に関するお知らせ」においてご説明いたしましたとおり、すでに発見されたものと同様の不正行為の有無又は新たな不正行為の存在の有無を確認するため、当社グループ全従業員へのアンケートの実施、また、当社グループに関する財務数値の分析等の調査を行い、類似の不正の有無ならびに他の不適切な取引の有無について調査を行う予定であるとの報告を受けております。なお、調査報告書の提出は 2024 年 10 月中旬を予定していると伺っております。

調査委員会の調査結果を踏まえた第 6 期(2024 年 5 月期)有価証券報告書の提出のためには、当社監査人の追加的な監査手続きも必要となり、相応の日数を要する見込みであり、第 6 期有価証券報告書の法定提出期限である 2024 年 9 月 2 日までに当社の 2024 年 5 月期連結財務諸表及び財務諸表の作成並びに会計監査人による監査手続きを完了させることができない見込みとなったことから、当該有価証券報告書の提出期限延長について承認申請を行うことといたしました。」

特別調査委員会による調査進捗状況に関するお知らせ(2024年8月6日)(PDFファイル)

8月上旬の開示によると、その時点の判明分(在庫への影響額)では、すごく大きいというほどの影響額ではありません(不正金額自体はもっと大きいかもしれない)。

「当該臨時棚卸の結果を踏まえ、調査委員会において、現在、調査を実施、継続しておりますが、現時点で概ね以下の内容による行為が発見されている状況であるとの報告を調査委員会からは受けております。

(1) 買取の不適切な処理(架空買い取り)
取引の実態が存在しない買取を当社システム上に記録した上、かかる買取に対応する現金を実際には当該行為を実施した従業員が着服する行為
② 買取の実態は存在し、お客様への査定金額は適切であったものの、当該買取を当社システム上に登録する際に単価や点数を水増しあるいは別の商品コードで登録し、当該水増し分等の現金を当該行為を実施した従業員が着服する行為
取引の実態が存在しない買取を当社システム上に記録した上、その後同等の商品の売上を当社システム上に登録し、売上を偽装あるいは過大に計上する行為

(2) 在庫の不適切な計上
① 上記(1)により生じる棚卸差異を打ち消すために架空の在庫金額を記録する行為
② 上記(1)とは関係なく発生した棚卸差異について当該店舗の業績を良く見せるために架空の在庫を記録する行為
③ 社内ルールとは異なる手順での廃棄処理または社内ルール上は認められていない商品コードの転換処理を行う行為

当社直営全店の期末棚卸、臨時の実地棚卸において、現在上記(1)(2)が発見されているのは国内ブックオフ事業の 24 店舗であり、発見されている不適切な在庫計上として 70 百万円を認識しております。なお、かかる認識額は、現時点において当社として認識する不適切な在庫計上の金額であり、調査委員会においては各行為に関する最終的な事実認定や評価を今後行っていく予定であることから、上記のとおり現在発見されている各行為における影響額について、当社の認識する金額の妥当性を含めて、現在、検証中であるとの報告を受けております。」

あのような商売で、厳密な在庫管理をやるというのも難しそうです。

当サイトの関連記事(6月の記事)(発覚から、結構長くかかっています。)

2.Shinwa Wise Holdings(東証スタンダード)

2024 年 5 月期有価証券報告書の提出期限延長申請に係る承認のお知らせ(PDFファイル)

延長前  2024 年9月2日→ 延長後  2024 年 11 月 1 日、です。

2024 年5月期有価証券報告書の提出期限延長に関する承認申請書提出のお知らせ(8月30日)(PDFファイル)

「当社は、2024 年7月4日付「子会社における不適切な会計処理の疑いの判明及び第三者委員会設置に関するお知らせ」及び「2024 年5月期決算発表の延期に関するお知らせ」にてお知らせしましたとおり、当社の連結子会社である Shinwa Prive 株式会社において、2021 年5月期頃から 2024 年5月期までの間におけるプライベートセールに関する不適切な会計処理により、実態と相違がある売上計上が行われている疑いがあることから、第三者委員会を設置のうえ、当該取引の事実関係や類似事象の有無のほか、財務諸表への影響等について、調査を進めております。

2024 年5月期有価証券報告書につきましては、第三者委員会による調査結果を踏まえて作成し、会計監査人による監査手続を経て提出しなければならないところですが、上記のとおり、第三者委員会による調査が未だ継続中であることから、法定提出期限である 2024 年9月2日までの提出は間に合わない見込みとなりました。」

3.ジェイフロンティア(東証グロース)

有価証券報告書の提出期限延長申請に係る承認のお知らせ(PDFファイル)

延長前 2024 年9月2日→ 延長後 2024 年 11 月 29 日、です。

有価証券報告書の提出期限延長に係る承認申請書提出のお知らせ(PDFファイル)

「現時点で以下のような行為が発見されている状況であるとの報告を調査委員会からは受けております。

① 広告売上取引における売上高と利益の水増し

取引先に協力を仰いで 2024 年5月期第3四半期から広告運用取引の商流に入る取引を実行した上で、一部の広告原価を別案件の費用に付け替えることにより案件単位では利益が生まれる正当な売上取引であると説明することで会計上の売上高を水増しする行為
・上記の取引の中で、2024 年5月期第4四半期の広告原価の支払いを翌期以降に繰り延べることで会計上の利益を水増しする行為

当該取引の修正により 2024 年5月期第3四半期の売上高が約2億円の減少、売上原価が約2億円の減少、営業利益が約0億円の減少となる見込みであります。また、2024 年5月期の第4四半期で計上予定であった売上高約6億円、売上原価約4億円、営業利益約2億円については取消しを行う予定であります。

② 通販事業における広告宣伝費の翌期繰越し

・2024 年5月期第4四半期の通販事業における広告宣伝費の請求の一部(約1億円)を翌期に繰り越しをしようとする行為

当該取引については 2024 年5月期第4四半期において正しい会計処理に修正を行う予定であります。」

①は特に悪質だと感じられます。書類だけの取引で、売上と売上原価を両方水増しするというのは、ありそうな不正ですが、それに加えて、原価計上を先送りして、利益まで計上しようとしたのですから、ひどい不正です。「案件単位では利益が生まれる正当な売上取引であると説明」ということは、監査人もだまそうとしていたのでしょうか。②もよくありそうですが、金額が大きすぎます。

「一部の広告売上取引における売上高及び原価の計上について、会計監査人より不適切な会計処理がある旨の疑義(以下「本事案」といいます。)が生じているとの指摘」があって、発覚したそうですから、監査人はちゃんと見ていたのでしょう。

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