寛一商店という調剤薬局の会社とそのグループ会社の倒産記事。
「7月26日に東京地裁へ会社更生法の適用を申請し、同日保全管理命令を受けていた」とのことですが、「8月31日に更生手続き開始決定を受けた」そうです。
「寛一商店(株)は、2012年(平成24年)11月に設立された調剤薬局。2014年に「なぎさ薬局」の名称で店舗を開設後、全国の中小規模の調剤薬局を買収して事業を拡大。北海道から九州まで全国一円で50店舗以上の調剤薬局を運営するほか、北海道や富山県などで高齢者を対象とするデイサービス事業なども手がけ、年商は16億円程度で推移していた。
しかし、大手薬局チェーンを中心に調剤併設型のドラッグストアが台頭するなど調剤薬局が乱立。競争激化に歯止めがかからないなか、薬価引き下げの影響などもあって収益性が悪化していた。また、事業拡大を目的にM&Aを繰り返し、それに伴う金融機関からの借入金負担も重荷となっていた。2020年以降は、新型コロナウイルス感染拡大による各医療施設への受診控えの影響を受け処方箋数が伸び悩み、売り上げが大きく減少していた。」
グループ全体の売上などがわからないので、過大な債務だったのかは、何ともいえませんが、けっこう大きな負債の金額です。
「負債は寛一商店(株)が約52億400万円で、9社合計で約111億5400万円。」
こういう会社は、非上場でも連結決算が必要なのでは。
倒産・注目企業情報 寛一商店(株)ほか8社(東京商工リサーチ)
「大垣市民病院前での開業を皮切りに、宇治市や京都市北区などに出店。開業直後から出店攻勢を強め、京都市内を中心に東京都や埼玉県、岐阜県、愛知県、宮崎県などに直営店を展開し、2018年10月期には売上高約34億3000万円を計上していた。
さらに、2018年8月以降は2年間で7社の調剤薬局をM&Aにより子会社化し、北海道や青森県、新潟県などを中心に、傘下とする調剤薬局は全国約60カ所まで急増。これらの企業買収・店舗譲受によって、業容は拡大基調をたどっていた。」
会社のプレスリリース。
更生手続開始決定に関するお知らせ(2024年9月2日)(なぎさ薬局グループ)
「スポンサー選定につきましては、更生手続開始の申立て直後より、フィナンシャル・アドバイザー関与の下で鋭意手続を進めております。すでに一次入札手続を経て多数の候補者様から一次意向表明を受け、この結果を踏まえ、複数の有力候補者様を対象とした二次入札手続を進めている状況です。本年 9 月中にはスポンサー候補を確定し、その後速やか
にスポンサーへの事業譲渡を実行して参りたいと考えております。
スポンサーへの事業譲渡までの間の資金繰りの手当につきましては、令和 6 年 7 月 26 日付け「更生手続開始の申立てに関するお知らせ」にてお知らせしておりますとおり、当職は、株式会社三菱 UFJ 銀行様との間で、新規のご融資(いわゆる DIP ファイナンス)を受けるための当座貸越契約(極度額 10 億円)を締結し、必要に応じて融資の実行を受けるとともに、従前から行っているファクタリング取引につき当該取引の相手方から協力を得て、一部調剤報酬債権の早期現金化も行っております。これらにより必要な資金繰りの手当は整っている状況ではございますが、医薬品卸事業者様との間では現在も取引条件に関する協議を重ねており、これを今後更に改善していくことでより一層安定した資金繰りの運営を実現し、関係者の皆様方にご安心いただける形で更生手続を進められるよう、今後も管財人として責任をもって事業経営並びに資金繰りの維持及び管理を続けて参ります。 」
最近の倒産記事より。
倒産・注目企業情報(株)スプレッド(8月27日)(東京商工リサーチ)
「水耕栽培による無農薬野菜の生産」を行っている会社です。大きな設備投資が必要で、以前から赤字傾向だったようです。
「2021年5月にはレタス生産のノウハウを活かし、農薬を使用せず人工光を用いた植物工場でのイチゴの量産化技術を確立。レタスの生産と並行して新たな柱を構築するため、国内外での営業を展開し、2022年3月期はピークとなる売上高約17億1100万円を計上した。さらに、2022年8月には事業会社およびエンジェル投資家から第三者割当増資の形で40億円の資金調達を実施した。
ところが、2022年9月期(決算期変更)には24億247万円もの特別損失により32億9793万円の赤字を計上し、再び債務超過に転落。また、2024年6月の生産開始を予定し、神奈川県秦野市に次世代型カットレタス工場「テクノフレッシュ秦野」を建設する計画を立ち上げた一方で、2024年4月には完成から17年が経過し老朽化していた「亀岡プラント」での生産を一時停止する旨を発表していた。受注が縮小するなかで資金繰り逼迫の度合いも一気に強まり、限界に達したため、法的手続きによる再建を目指すこととなった。」
ちなみに、この会社は資本金4億7000万円とのことですから、会社法監査は受けていなかったのでしょう。
倒産・注目企業情報 みやび建設(株)(8月23日)(東京商工リサーチ)
2019年に経営者が交代していたそうです。
「以後、順次不動産事業の店舗閉鎖を行い、2020年1月を以てクレバリーホームのFCを脱退し、公共施設やビル、一般個人向け住宅などの建築工事にシフトした。高品質・短納期・ハイスピードをうたった施工方法を採用し、法人や個人を対象に受注基盤を築き、2020年8月期は売上高40億5149万円を計上した。
しかし、「新型コロナウイルス」感染拡大の影響もあり、得意先の投資意欲が減退し、営業活動が停滞。コロナ関連融資を活用して凌いでいたが、2021年8月期は売上高が37億6151万円に減少したうえ、複数の不動産を売却したことで2億7717万円の赤字となった。
この頃から取引先との間で請負代金を巡ったトラブルが生じ、複数社より提訴されていたほか、本社不動産には取引先や自治体から仮差押登記が設定されるなど、資金繰りの悪化が露呈。2022年8月期は案件獲得に一層苦戦し、売上高が5億3122万円に急減したうえ、資産売却により19億4528万円の赤字を計上し、大幅な債務超過に転落していた。」
倒産・注目企業情報(株)オーカワほか1社(東京商工リサーチ)
商品の品質問題が、直接の引き金になったようです。
「近年は同業者間での低価格競争などもあって、売上高は40億円を割り込む水準となり、業績は頭打ちの状態が続いていた。
2020年4月期には一時閉鎖していた中部圏の営業所を再開し、2021年4月期には大阪営業所も開設するなどして営業強化を図り、2023年4月期にはパッケージのリニューアル等にも着手したものの、思うように業績は改善しなかった。また、収益面でも、原材料価格や人件費の高まりから一層厳しい運営を強いられていた。
こうしたなか、商品の「匠の生芋しらたき」において、一部に溶解が見受けられ、腐敗臭が確認されたとして、8月1日より自主回収および返金を余儀なくされる事態が発生。事業継続の見通しが立たなくなり、今回の措置となった。」