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欧州視察報告の公表について

日本公認会計士協会 / インフォメーション / 欧州視察報告の公表について

日本公認会計士協会は、IFRSを日本企業が適用することになった場合に備えて欧州の諸団体を訪問した報告書を、9月3日に公表しました。視察日数は4日間です。

以下、気になった部分を抜粋します。

「投資家はIFRS の導入により財務諸表の比較可能性が高まり、また以前より多くの情報を入手できるようになり透明性が増した、との評価をしており、IFRS への移行におおむね満足している。」

「連結と個別との間で会計基準が異なる場合、二重に帳簿を保持しているのかという点については、企業の状況により様々である。自国の会計基準又は税務用の帳簿とIFRS の帳簿の2 つを経常的に保持するケース、帳簿は自国の会計基準で作成し、連結調整でIFRS に修正するケースなどがあるが、現在では後者が一般的とのことである。」

「 英国では、将来的に、上場企業にはIFRS、比較的規模の大きい非上場企業には、現在IASB で検討中のIFRS for Private Entities、その他の小規模企業には現行の小規模企業向け財務報告基準(FRSSE)のような基準というように三段階に分けて適用していくことが検討されている。」

「欧州版解釈を出すべきか国際財務報告解釈委員会(IFRIC)のみが解釈を出すべきかについて大きな論争があったが、最終的には欧州版解釈を出さないこととなった。企業は同業他社の開示状況を検討し、経験を共有するなどして現在でも学習し、今のところ大きな問題は生じていない模様である。」「会計士団体やその他の団体も解釈指針を出すのはIFRIC の役割だとして、解釈を出さないように注意しているとのことである。」

「判断に関しては、事務所内のコンサルテーションを要する場合が増え、以前に比べ現場の監査チームで回答ができないために、時間を要する場合が増えている。一貫した適用を担保するために、事務所内で膨大なQ&A のデータベースが構築されているとのことである。」

「IFRS への移行は多くの場合システム変更を伴い、時間も費用も要するが、その点は過小評価されがちである。」

最後に今後の課題として以下のようなことをいっています。

・我が国においてもIFRS 採用の選択肢を与えるべき

・上場企業の連結財務諸表へのIFRS適用を優先することが適当

・「日本版ロードマップ」(作業工程表)を関係者間で協議の上策定し、社会に明確に示すべき

・IFRS の理解、普及、教育を充実・強化していくことが必要不可欠

・日本公認会計士協会として実施する具体的施策

(1) 原則主義のIFRS を適用する場合に想定される監査上の問題への対応策の検討
(2) 教育研修(すでに一部は実施済み)
(3) IFRS デスク(仮称)の設置
(4) 公認会計士試験の試験科目の見直しの要請。準備への積極的な関与
(5) IFRS 導入の関係各界への働きかけ。日本版ロードマップ策定への積極的な関与
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