日本公認会計士協会の機関誌「会計・監査ジャーナル」2007年10月号に「公開草案 「財務報告に係る内部統制の監査に関する実務上の取扱い」 をめぐって」という座談会記事が掲載されています。
今年7月に会計士協会から公表された内部統制監査の取扱い(案)を解説したものです。
事実上会計士協会の公式見解とほぼイコールだと思われますので、目を通しておく必要があるでしょう。ただし、あくまで監査の立場からの解説です。
公開草案を横に置いてきちんと読むべきなのでしょうが、ざっと読んだ限りでは以下の点が気になりました。(正確には記事をご覧下さい。)
・内部統制監査と財務諸表監査の関係では、財務諸表監査の枠組みの中での内部統制の評価は残る部分がある(内部統制監査の対象が限られているため)。
・独立性の観点から内部統制の構築等に関して監査人が関与できる範囲を公開草案ではまとめている。
・売上を選定基準として重要な事業拠点を選んで、結果として3勘定(売上、売掛金、棚卸資産)のうちの例えば棚卸資産のカバー率が低くなったとしてもかまわない。ただし、リスクが高いプロセスのある拠点は、それが3勘定に関係するプロセスかどうかにかかわらず追加する。
・全社的な内部統制というのは、そもそも企業集団全体に適用されるものをいうので、(前提条件はあるが)親会社でできることが多い。そのような統制であれば監査手続も親会社でできることが多い。
・全社的な内部統制に関する42の評価項目のうち1つ不備が発見されたからといって、内部統制全体が有効でなくなるわけではない。
・統計的サンプリングを推奨しているわけではなく、非統計的サンプリングを利用することももちろん可能である。
・やむを得ない事情で内部統制の一部について経営者が十分な評価手続を実施できなかったときの監査上の扱いは非常に難しい面がある。無限定適正か、範囲限定(または意見不表明)かの判断は重いテーマである。
・米国のAS5(新しい内部統制監査基準)において、ダイレクトレポーティングのみとなったのはよい方向である(廣瀬氏の個人的な意見)。(これに対しては手塚常務理事が「米国の動きは、一応考慮済みという理解でよい」といっています。)
当サイトの関連記事
最近の「内部統制」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
2000年
人気記事