日本公認会計士協会は、会長所感「日本税理士会連合会の「税理士法に関する改正要望書」について」を、10月11日に公表しました。
日税連の要望書では「公認会計士は税法に属する科目に合格することを原則とするなど、税務に関する専門性を問う能力担保措置を講じるべき」という主張がなされているそうです。
それに対して、今回の会長所感では、
「公認会計士が税務業務を行うための専門的能力は、その資格取得に当たり租税法に関する試験科目に合格することで確認されており、また、資格取得後も自己研鑽を続けていることを踏まえれば、改めて税務に関する専門性を問う能力担保措置を講ずる必要性は全くない。」
という従来からの会計士協会の見解を述べています。
日税連の要望書は、同会のサイトでは会員しか閲覧できないので、内容はよくわからないのですが、日税連が委託して学者(東京大学名誉教授や早稲田大学名誉教授ら)に書かせた意見書は閲覧することができます。
↓
当サイトの関連記事(「税理士の資格取得制度のあり方(意見書)について)
どちらの主張が正しいのかはさておき、日税連の提案が通った場合に、会計士業界がどうなるかというと、まず、独立志向の人は会計士試験を受けなくなることが予想されます。独立する場合には税務業務が不可欠ですが、わざわざ税理士試験の税務科目に合格しなければならないとしたら、最初から税理士試験を受ける方が合理的です。
そうすると、会計士試験を受けるのは、監査法人勤務を目指すか、監査法人経由で一般企業への就職を目指す人が主流になるでしょう(今でもそうかもしれませんが)。しかし、監査法人にうまく就職できたとしても、リストラに遭う確率はかなり高いですから、そうなった場合に、独立という受け皿がほとんどないというのは、非常に不利になります。監査法人就職と同時に税理士試験の税法科目の勉強を始める人も出てくるでしょう。一般企業を目指す場合でも、税務業務ができないのは、不利になります(独立する場合ほどではありませんが)。
そういう状況が世間に知られるようになってくると、会計士試験受験者は激減し、待機合格者問題も自然に解決してしまうことになるでしょう。たぶん、経過措置で、すでに税理士登録済みの会計士には影響が出ないようにするとは思いますが、会計士業界全体としては規模が縮小していきます。
税理士の資格取得制度で研究会が意見書(タビスランド)
最近の「日本公認会計士協会(その他)」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
2000年
人気記事