中国の不動産大手・中国恒大集団が破綻しそうだという記事。
「中国の不動産バブルを背景に成長してきたが、強気な投資と事業の多角化が裏目に出て巨額の負債を抱える。」
「「破産による再建手続きに入るというネット上の言論は事実ではない」「会社は未曽有の苦境に直面しているが、考えつくすべての手段で正常な経営を回復する」。恒大集団は13日夜、緊急声明を出した。経営が急速に悪化しているとの見方が強まる中、再建していく姿勢を強調した。
ロイター通信によると、同日に深圳市の本社に同社の理財商品の償還を求め投資家約100人が押しかけた。」
「右肩上がりの不動産市場での利益を見込んで土地の仕入れなど強気の投資を続けたほか、事業拡大で借り入れが増加。21年6月末時点で有利子負債は5700億元(約9兆7千億円)に上り、銀行からの融資の返済が難しくなり、資金繰りが厳しくなった。」
「7月には銀行から口座の資産を凍結されたり、下請けの工事会社から代金の未払いで提訴されたりするなど、トラブルが続発。さらに習近平(シーチンピン)指導部が過熱する不動産への投機を制限するなか、資金を回収しようと主力の不動産開発で物件を値引きして販売。今年上半期の不動産事業は40億元(約680億円)の純損失に陥ったほか、8月は販売の平均単価が前年比で3割落ち込むなど、悪循環に陥っている。
素人の感想ですが、日本のバブル崩壊前夜と似てなくもないような...。
中国恒大、格下げで上海上場債券の取引停止 17日は相対方式で(ロイター)
「市場関係者は社債の取引停止について、デフォルト(債務不履行)と債務再編の可能性が高まっているとの見方を示している。
発表文によると、恒大は15日、同社の債券格付けが「AA」から「A」に引き下げられたほか、債券格付けと発行体格付けの双方がさらなる格下げを見据えた「ウォッチリスト」入りしたとの通知を格付け機関の中誠信国際から受け取った。」
「かつて中国一の販売実績を誇った恒大集団は崖っぷちに立たされている。混乱を伴って幅広い影響をもたらす形の経営破綻に追い込まれるか、あるいは「管理された倒産」を余儀なくされるのか。一方で、政府による救済の可能性は乏しそうだ。」
日本のバブル崩壊の時は、銀行借入がメインで、銀行さえ不良債権を隠していれば、表面化しなかったわけですが、社債で広く資金調達をしているとなると、隠しようがないのでしょう。
焦点:崖っぷちの中国恒大集団、待ち受ける幾つかの危機シナリオ(ロイター)
「1996年創業の恒大集団は、中国当局が借金や建設事業を自由気ままに許していた時代の申し子と言える。だが、現在では2兆元(3050億ドル)近くの負債を抱え、ここ数年の中国で最大級の破綻を起こす可能性が目の前に迫ってきた。」
「今のところ、反応が見られるのは債券市場と、恒大集団や同業者の株価にとどまっている。恒大集団の株価は過去14カ月で約90%下落し、ドル建て社債は額面の3─4割で推移。ナティクシスのエコノミスト、アリシア・ガルシア・エレロ氏は、中国の不動産セクターという最も明白な「灰色のサイ(高い確率で大きな問題を引き起こすと考えられながら軽視されているリスク)」を巡り、緊張が高まりつつあるとの見方を示した。」
「一番差し迫った不安は、リーマン型の金融危機ではなく不動産価格の暴落だ。恒大集団が保有資産を投げ売りすれば価格形成メカニズムが破壊され、借り入れに頼る不動産開発会社が破滅して、中国経済の4分の1を占める不動産セクターが機能不全になりかねない。」
「信用分析情報を提供するリオルグのディストレスト債アナリスト、ジェームズ・シー氏は「政府は肥大化した不動産セクターで、債務圧縮に向けた取り組みを熱心に進めている。だから、恒大集団に救いの手を差し伸べる公算は乏しい」と話す。」
「ノムラのアナリスト、アイリス・チェン氏は顧客向けノートに「政府が(民間資本の)恒大集団を救済する動機があるとは考えられない。だが、彼らは積極的に恒大集団を追い込むつもりもなく、万が一の場合、より秩序のあるデフォルトを取り仕切るのではないか、というのがわれわれの見解だ」と記した。」
中国の方が、日本政府より資本主義的かも。
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