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福井が誇る小野グループ3社が会社更生手続き入り!(現代ビジネスより)

福井が誇る小野グループ3社が会社更生手続き入り! ~10年の歳月を経て明るみに出た旧第一勧銀の宿痾

福井県の企業グループ、小野グループの破綻を取り上げた記事。会社自身ではなく、銀行が会社更生の申し立てを行ったそうです。

「・・・小野グループの中核3社が、10月26日、会社更生手続きに入った。ただし、申し立てたのは3社ではなくメーンバンクの福井銀行。異例の事態となったのは、福井銀行の小野グループへの不信感によるもので、「過去10年近く不正な経理処理を行っていた」と、伊東忠昭頭取が記者会見で語ったのだから尋常ではない。」

記事によれば、小野グループは、旧第一勧銀の不良債権処理に協力させられていたそうです。

「 総武カントリー倶楽部、寿工業、ニッセキハウス工業、サンクス、ローヤル電機・・・。

 いずれも旧第一勧銀の仲介で、90年代、小野グループが傘下に収めた企業群である。当時、小野氏は「銀行の方が案件を持ち込んでくる」と、語っていた。実際、小野グループと旧第一勧銀は親密で、その頃、多くのOBが天下りしていた。」

「97年1月、小野グループは、旧第一勧銀から、社長が失踪するなど問題が山積していた東証一部の住宅メーカー・ニッセキハウス工業の再建要請を受け、支援に乗り出すことになった。しかし、過大な有利子負債に加え、住宅市況は好転せず、業績悪化に歯止めはかからなかった。

 当初、小野グループは、ニッセキハウス工業の筆頭株主の住宅資材メーカー・寿工業(大証二部)ともども、旧第一勧銀OBとともに再建しようとしていたが、業績悪化に加えて前述の銀行合併と金融庁の指導強化、という環境の変化もあって、新生みずほは支援せず、2002年10月末、両社とも倒産した。」

結局、旧第一勧銀は、地方の中堅企業を育成するどころか、足を引っ張ったことになります。

会計士としては、「不正な経理処理」の中身を知りたいところです。

軽合金鍛造業、不動産業 小野グループの中核会社
ワシ興産株式会社など3社 債権者より会社更生手続きを申し立てられる
(帝国データバンク)

「不動産賃貸・売買事業などを手がけ、潤沢な資金による首都圏、関西方面での積極的な不動産投資でも知られていた。」

小野グループ3社の負債646億 北陸で過去最大、総資産偽装か(福井新聞)

「同支店(注:東京商工リサーチ福井支店)や申立書によると、小野グループは1997年、中堅プレハブ住宅メーカー「ニツセキハウス工業」を傘下に収め、経営再建に着手。しかし、再建が軌道に乗らず2002年に同社は民事再生法を申請した。同グループのニツセキに対する投融資約125億円が損失としてあったほか、同グループが01年ごろから行っていた投資運用でも約121億円の損失が発生していたとしている。

 こうした損失が出たため、3社は01年ごろから約10年間にわたって、損失を貸し付けなどに付け替える不正な経理処理を実施、取引先の金融機関には粉飾した決算書類を提出していたという。粉飾した決算内の矛盾を避けるため、海外銀行の預金残高を偽造。設備資金名目の融資を受ける際にも、見積書や請求書を改ざんしていたとしている。」

上場会社ではないとはいえ、ひどい粉飾決算です。

不正経理は「経営トップが関与」 小野グループの保全管理人(福井新聞)

公認会計士も不正に関与していたようです。(他の報道では実名が出ています。)

「新保氏(注:保全管理人である弁護士)が指摘した経営トップは小野グループの小野光太郎代表、小野稔副代表、公認会計士の3人。新保氏は「税務署には正しい決算書を提出し、金融機関には違う書類を出していた」とした上で「結局は小野代表の投資がうまくいかず、事業名目で融資を受けていたということ」と話した。」

銀行は申告書を見なかったのでしょうか。少なくとも、不良案件を紹介した第一勧銀は、実態を知っていたとしてもおかしくはありません。

インターネットで調べてみると、問題の公認会計士は、大手監査法人の出身のようです。なぜこういう不正にかかわってしまったのでしょうか。

小野ホールディングス株式会社傘下の子会社3社に対する会社更生法手続き開始について(ローヤル電機)

債権の取立不能のおそれに関するお知らせ(同上)(PDFファイル)
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