金融庁がリスク警戒!地銀・信金で広がる「仕組み貸出」の深すぎる闇
地銀・信金で「仕組み貸出」というのがはやっているという記事。
「地域金融業界で「仕組み債」ならぬ、「仕組み貸出」が注目を集めている。
金融庁が1月、地方銀行・第二地方銀行との意見交換会で、仕組み貸出に関して、リスク管理を強化するよう求めたのがきっかけだ。
もっとも仕組み貸出自体は昔からあり、目新しい取引ではないが、このところ増加傾向にあるという。」
どのような仕組みか...
「証券会社などがつくった特別目的会社(SPC)に地銀が貸し出しを行う仕組み。SPCは融資契約に基づいて国債などの債券を取得する。
融資実行の際、債券の利回りの一部に相当するアップフロントフィーが地銀サイドに支払われるところに特徴がある。10年国債の場合、10年分の手数料を一括で地銀が手にする。
SPCから先は、スワップ取引が行われているとされるが、地銀側にはその詳細は明かされず、通常「ブラックボックス」となっている。金融庁によれば「複雑な商品性が多い」という。」
実質的には、有価証券(デリバティブ含む)運用しているのとほぼ同じと思われますが、形式上、融資になっているので、時価会計を免れることができ、また、貸出残高を「かさ増し」することができるというメリットがあるのだそうです。
もちろん、SPCを銀行側が支配しているようなスキームだと、連結範囲に入ってしまうので、そうならないように操作しているのでしょう。また、時価会計適用外としても、貸倒の可能性に対しては引当てしなければなりませんが、貸倒が生じるようなリスクの高い運用をしていなければ、損失が表面化することはないのでしょう。
アップフロントフィーの会計処理はよくわかりません。時価評価なら、最初に手数料をまとまって受け取ると、その分、金融資産の時価が下がって、会計上の利益にはなりませんが、融資の場合はどうなのでしょう。
金融庁の懸念は...
「金融庁は、地域金融機関が仕組み貸出について、現場部署だけでなく、審査やリスク統括などの関連部署が商品性や内包するリスクを正確に把握して、経営陣に報告して十分なリスク検証を行う態勢整備ができているかどうかに注目している。
「むしろ、地銀に比べて管理態勢が甘い可能性のある信用金庫などの協同組織金融が心配だ」と、金融庁幹部は不安を隠さない。」
地銀・信金はともかく、スキームが無駄に複雑なだけに、証券会社は儲かるのでしょう。