会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

会社は誰のもの(上)四半期報告書廃止、「決算短信に一本化」賛成8割(日本工業新聞より)

会社は誰のもの(上)四半期報告書廃止、「決算短信に一本化」賛成8割

日刊工業新聞社の調査によると、四半期開示一本化に賛成の企業が8割近くに達しているという記事。反対はゼロだったそうです。

「日刊工業新聞社が主な上場企業を対象に実施した「四半期開示に関する調査」によると、「四半期報告書」が廃止となり「四半期決算短信」に一本化されることに「賛成する」と回答した企業は全体の79・0%に達した。実務負担軽減や長期投資を促すとの利点を評価した。一方、検討が始まった四半期決算短信の「任意化」についての評価は「どちらとも言えない」「わからない」が大勢を占めた。」

四半期決算短信の開示内容については、拡充ではなく、簡素化を求める声が相次いだとのことです。

138社から回答があったそうです。

連載の後編は、スズキ・トモ早稲田大学教授の特別寄稿です。同氏は岸田文雄政権で総理補佐官の勉強会顧問を務めているそうです。

会社は誰のもの(下)特別寄稿 早稲田大学教授のスズキ・トモ氏

「従来の株主資本優先策の何処に問題があったのか。2000年代初頭、時の政府は四半期開示制度の導入を含む金融ビックバンを推進した。より早く、より多くの情報を投資家に提供することで1400兆円もの家計金融資産を企業へ投入する計画であった。しかし、投資家によるエクイティ・ファイナンスは減少し、逆に配当や自己株買いが増加した(図表参照)。投資家は人口減少などの構造的悪化を悲観して、資金の追加投入よりは回収を加速している。外国人株主の存在が支配的になったために国富の海外流出も著しい。国内に限っても、売上げが頭打ちの下で利益の最大化を目標とするから下請け企業への支払いや研究開発費や給与が抑制され、イノベーションが生じにくい。家計金融資産は投資に向かず2000兆円にまで膨れあがり、所得格差の拡大も加速する。

「新しい資本主義」とはこうした株主第一主義への反省であり、下請け企業や従業員や事業法人に十分な資金を循環させようとする政策である。政府が四半期開示制度の見直しや自社株買い規制の検討から始めたのはこのためである。また今日の少額投資非課税制度(NISA)の推進も、外国人株主に代わり国民が株主となることで付加価値の適正分配と国内循環を企図している。」

「総括するに、経営者と政府が日本の実情に即した制度や経営実務を確立し、中長期に付加価値の適正分配と循環を実現することが日本の持続的発展を実現するカギである。この観点から、資金流出を誘発しがちな四半期開示制度であれば上場全社に強制する東証ルールは改正されるべきである。資金調達を予定する企業の自由裁量こそ効率的である。」

 

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