kageの機材庫

Nikon F・F2・F3・F4・F5。Nikon S2。Aisニッコール。Sマウントニッコールetc。一部フジフィルム

黒い運命-

2012-07-05 00:00:00 | ニコン

結局、買ってしまった・・・ Fアイレベル黒(前期型)





ある日の事。


S2とF5の点検の為、大阪梅田のニコンサービスセンターに出かけました。

点検してもらっている間、大阪第2ビルの地下街で少し早い昼食をとり、その後梅田周辺のカメラ店を
何軒かぶらぶらするのがいつものパターンなのですが、めぼしい物も無くサービスセンターに戻る途中
の事でした。


「おや。こんな所にもカメラ店が・・」


入り口付近にはKodak ULTRAMAXやFUJICOLOR200 など、輸入物や逆輸入物のネガがチラホラ。
使った事無いけれど、神戸では置いていないネガなので取りあえず買っておく事に。
大阪まで来て手ぶらで帰るのも何だし。


店の中に入ると、ライカ、コンタックス、コダックなどの古いレンジファインダーカメラも置いてあった。


一番奥に進むと・・・
ショーケースの中にひときわ目立つ、NIKON S3 ブラックのモータードライブ・フィルムマガジン付きが展示してあった。
値段は200万円位だったか。あまり覚えていない。

ここまでくるともう完全に浮世離れというか、自分の価値観からかけ離れてしまっているので
ただ眺めるだけで気が済みました。(25万円でも買えないけど)

他にもSPのブラックやS3のブラックなどもありました。
勿論、復刻版では無い当時のオリジナルです。

35万円、40万円。
SPのブラックは欲しいのですが、とても手が出ません。

あとはFの白や黒などがちらほら置いてあった。

「こないだF2黒買ったし、OHもしてもらったので絶好調だしな~。」

ショーケースに背を向け、レジでネガの代金を支払う。


「ん・・・?」


何故か再びショーケースへと吸い寄せられた。


「Fの黒?」







そこに佇んでいたのはFアイレベルブラック。前期型だった。


「二万○千円。委託品。保証無し。」


(心の中で) 「安っ!」 (゜o゜;)


「すいません。これちょっと見せて下さい。」


ショーケースから出してもらい手にもってみる。
いい具合に塗装が剥げて下地の真鍮が出ているFブラック。

使い込まれた個体だがペンタ部は大きな凹みも無い。

欲しかった黒の前期型、日本光学マーク。
それでいて好みの剥げ方。



とりあえずシャッター速度のチェック。
中速・高速はまぁ問題なさそう。スローは1秒、2秒がちょっと変な音がする。

ファインダーを覗く。

Fのプリズム特有の腐食によるシミが右下に数点。
中央にごく薄い縦ジミが一本。
まぁどちらもファインダーに目をくっつけている時は気にならない程度。

それよりフォーカシングスクリーンにホコリやモルトの粉みたいなのがいっぱい付いていて
これが視界を著しく妨げていました。ちょっと耐えられないレベル。


「ダメか・・・。ん?まてよ?」


ふと、F2黒を持っていたのを思い出す。
OHしたばかりなのでサービスセンターに預けずバッグに入れてあったのです。

あぁ、何て運が悪い(笑)


「すいません。ちょっと試しにフォーカシングスクリーン入れ替えさせてもらってもいいですか?」


ご存知のようにFとF2のフォーカシングスクリーンは共通。
自分のF2に入っていたB型スクリーンをお店のFに入れてみる。


視界スッキリ!!


「これいただきます。」(早)


ここで出逢ったのも何かの縁。
いや。この黒いFは自分の元へ来る運命だったのだ。 (うんうん。)






店をあとにし、ニコンサービスセンターへS2とF5を引き取りに戻りました。

診断の結果、F5は特に問題なし。
S2の方は1/500と1/1000秒が1/3段ほどオーバーとの事でした。
まぁ、この時代の、横走りの高速シャッターに精度を求めるのが無理な話である。

「何回もすみません。これも点検してもらっていいですか?」

たった今買ったばかりのFアイレベル黒を点検してもらう。

再び待ち時間90分かかるのですが、もうカメラ店巡りはやめておきました。
服もそうですが、買ったあとはもう見ない事にしています(笑)

Fを診てもらっている間は、D4やD800をいじりながら時間を潰しました。
D4はやっぱりいいですね。D800はちょっと質感が安っぽくなった感じが気に入りませんでした。

まぁどちらも買う気は無いのですが。(と言うか買えない)


そうこうしている内にFの点検が終わりました。





点検の結果は

・ファインダー内ホコリ
・プリズムの腐食少々。
・ミラー剥がれ少々。
・スロー1秒、2秒に異音がするが、シャッタースピードは全速正常。

素晴らしい。
シャッター精度さえ出ていればあとは気分の問題だけであります。


「何回もお願いしてすみませんでした。」

行きの時よりカメラ1台分重くなったキャリーカートを引きながらニコンサービスセンターをあとにし、
帰路に就きました。



後日、元々持っていたFアイレベルシルバー(前期型)と、今回買ったFブラックのシャッターダイヤル
文字盤を入れ替えたので上の写真が現在の姿です。

この"60"が赤で、"1/125~1/1000"が黄緑っぽい色のが一番好きな文字盤です。

Fは1959年に発売されましたが、今回手元に来たF黒のシリアルNo.は651****。
1963年8月~9月の間に製造された個体のようです。僕の生まれた10年前かぁ。





FアイレベルブラックとFアイレベルシルバー。


エレガントなシルバーか、チョイワルのブラックか。
どちらもテーラーでビシっと仕立てられたクラシカルスーツのような趣きがあります。






FアイレベルブラックとF2アイレベルブラック。


こうして並べてみるとFが直線的なラインで構成されているのに対して、F2は角に丸みがあるのが
よく分かります。

それぞれに魅力があり、この2台はどちらも外観の使い込まれた感が何ともいい雰囲気を醸し出しています。(たぶん)


このFブラック、またOHに出してみたい気もありますが、使う機会がそんなに無いと思うので
悩んでいます。

1/2000秒まであって、ピントの山が掴みやすく使い勝手がいいのはF2の方ですが、
F2はシャッター音がやかましくスナップに向いていない。

いつも撮っている猫たちも「ピクッ」とします(笑)


「う~ん・・・。」


黒か白かの悩みは解決しましたが、FかF2かの悩みは尽きません。




とりあえず▲頭のFを買うのはこれで終わりにしよう・・・(^▽^;)



これで手持ちのFシリーズは

・Fアイレベルシルバー(前期型)
・Fアイレベルブラック(前期型)
・F2アイレベルブラック(OH済み)
・F3アイレベルブラック(OH済み)
・F5(OH済み)

となりました。 (めでたしめでたし。)

(2012.8.14追記 Fアイレベルシルバーは売却しました(汗)


(2012.10.16追記)
今回も猪苗代カメラ工房さんでOHして頂きました。

・各部分解作動点検再調整
・巻上げレバーフリクションバネ折損の為交換
・ミラー接着剥がれの為修理
・各モルト交換
・各部清掃

巻き上げの感触もスムーズになり気持ちよくなりました。
スローシャッターの異音も無くなり、高速~低速までいいシャッター音を奏でています。
ファインダー内もスカッとクリアーです。

これであと30年は使えますね。
機械式カメラならではです。 v(^_^)v

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