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BLUE SPHERE

ガンダムSEED&DESTINY、テイルズシリーズ、杉崎ゆきる作品、遙かなる時空の中で等の小説中心

ストライク捕獲大作戦!! その1

2005-05-06 | ガンダムSEEDシリーズ 短編
すべての始まりは、オレと隊長の会話を『あいつ』が聞いていたことだった。


ストライク捕獲大作戦!!


「地球軍の最後の機体に乗っているのは、キラ・ヤマト。月の幼年学校で一緒だった、
コーディネイターです。」
オレはキラと戦いたくない一心で隊長に説得を試みていた。
キラだってコーディネイターなんだ、きっとわかってくれる。
……不安要素の方がその100倍あることは知っていても。
「そうか…、ならば」
隊長も乗り気ではないようだが、渋々OKしてくれそうだった。

その時

バーンッ、という効果音と共に
(ヴェサリウス艦内はすべて自動ドアなのに手でこじ開けたらしい)
アニメ第1話で死んだはずのラスティが現れた。
ちなみにラスティは防弾チョッキの下のバッジ(何でつけてたんだ?)のおかげで
一命を取り留めた。
むしろ、それ以外に外傷なし。
「アスラン!あの機体に乗ってるの君の友達なのか!?」
「ら、ラスティ!?一体どうしたんだ…」
勢いよく入ってきたラスティは、これまた勢いよく質問した。
オレは何を聞かれてるのかわからない……というよりすさまじい勢いで肩をつかんで
揺さぶられているので頭が働かない。
隊長に至ってはさっきのドア開閉時の衝撃で仮面がずれたらしい(謎)
「本当に友達なのか!!?」
「ああ、月にいた頃の幼なじみだ…」
すごい剣幕で聞くラスティにオレは肯くしかできない。
まぁ、嘘ではないから、ま、いっか。
「そうか…。そうなのか…」
答えを聞いたラスティは顎に手を当て深く考え込んでいるようだ。
オレよりも年上(オフィシャル小説設定19歳)のはずだが、仕草や行動は
どうも子供じみて見える。というより、誰かを思い出させる。
「そ、それがどうしたんだ?」
あまりに長く考え込んでいたのでそう声をかけた。
オレの友達だが、お前には関係ないだろう?
その言葉がわかったのかどうなのか知らないが、ラスティは
「くっそぅ、なんでそれをもっと早くいわないんだよ!!」
「は?」
驚くオレを押しのけて、隊長に進言した。
この場合、『詰め寄った』の方が正しいかもしれない。
「こうしちゃいられない!クルーゼ隊長!!出撃許可をください!!」
「出撃ったって…君には機体がないだろう?それに…」
何を思いついたのか、機体を持たない(奪取作戦失敗してるので自分持ちの機体無し)ラスティが出撃したがった。
隊長はきっと『一体何しに行くつもりだ?』といいたかったに違いないだろうが、
その言葉はきれいにラスティに潰された。
「この際ジンでもシグーでも何でもいいです!!」
「そういう問題じゃなくてだな…」
確かにそういう問題じゃない。
オレは半ば傍観を決め込んでいた。
時折、仮面隊長がこちらに意味深な視線を送っている気がしないでもないが、
仮面を付けてるため真意ははっきりしない。
ので、無視しておくことにした(酷)
「早くしなきゃ大変なことになります!それこそ、ザフトの危機です!!」
「き、気持ちはわかるが…」
「お願いします!!」
隊長がラスティの熱意(脅し含む)に負けそうだったその時。
「失礼します。」
「ミゲル!?」
颯爽と、第2ー3話あたりで、キラに負けたミゲルがやってきた。
あの爆発に巻き込まれて生きているんだからこいつも案外しぶとい。
「ミゲルか、どうかしたのか?」
「いえ、ちょっと回収に…。おい、何やってんだお前!!怪我人ほっといて!!」
爽やかな笑顔で用件を告げると、ミゲルはラスティを引っ張って部屋から出ようとする。
「怪我人のわりには元気そうじゃないか!!僕は今、人生をかけた大事な局面に
いるんだ!!邪魔しないでくれ!!」
ラスティも負けずに抵抗する。
が、
「何わけのわかんねーこといってんだ!とりあえずこっちにこいっ!!」
ミゲルの方が一枚上手だった。
部屋から出そうになりながら、ラスティは力の限り叫んだ。
「こうなったら…ミゲルのジンで出撃します!!」
一瞬、は?という表情になったが、
「ラスティ…ミゲルのジンはミゲルが爆破しただろ?」
と、オレは付け足した。
だいたい、ミゲルは自分のを爆破して、さらに誰かの機体を勝手に使って戦闘に
参加していたんだ。
ミゲルにだって、今のところ機体はない。
「そ、そうだった。使えねぇ。」
「うるせーよっ!!いいからこっちこい!!」
頭を抱えたラスティはそのままミゲルに引っ張られて部屋から出た。
一応彼らは年上だ。
それを見届けてから、オレは話を戻した。
「…た、隊長私は説得したいんです。あいつだって…」
シリアスな場面は一転してコメディに転じてしまったがため、今更シリアスにはなれない。
隊長もそれをわかっているらしく、
「皆までいわずとも解っている。とりあえずこの件は君に一任しよう…。あと、ラスティの暴走は止めるようにな。」
「はっ!」
オレは、そう返事をしてからコンマ数秒で後悔した。
『ラスティの暴走を止める』
隊長それ、ストライク・キラを説得するのより難しいかもしれません…。


パイロットの待機室に行くとすでにクルーゼ隊の面々が集まっていた。
機体がこっち(ヴェサリウス)にはないガモフっこ(イザ・ディア・ニコ)まで。
「アスラン!ストライクのパイロットを拉致するからね!!」
「ラスティ…すごいやる気だな…」
「ああ!そしてストライクは僕がもらう!!」
「そっちが目的なのか…」
「まだ諦めてないんですね…」
依然やる気がみなぎっているラスティは目を輝かせている。
……の前にこいつは一体何で出る気だ??
ディアッカとニコルは心なしか少し脱力しているように見える。
まぁ、無理もないが。
「ストライクはオレが撃つんだ!!勝手なことはさせん!!」
ここで、他の面子と息が合わないのはクルーゼ隊きっての女王様(違)イザークだ。
キラに負けたことがどうも気にくわないらしく、何かある度に『ストライクはオレが撃つ!!』というが、攻撃が当たったことさえない。
本人はストライクのパイロットがナチュラルと思っているらしいが、正体がキラだと知ったらさぞや嘆くだろう。と、オレは思う。
「イザークのくだらないプライドのためにストライクを落とさせるわけにはいかない!!」
いつものラスティなら軽くスルーするが、今回は攻撃を加えたらしい。
ああ、こいつは怒らせたら怖いタイプだったんだ。
ますます、某最強民間人にそっくりだ。
「くだらないプライド…」
「ははは…」
ラスティに撃沈されたイザークは部屋の隅で落ち込んでいる。
今にも灰になりそうだ。
その様子を見て、いつもはフォローにまわるディアッカも笑うしかない。
「もちろん、ミゲルも協力してくれるよね?」
くるりと後ろを向き、ミゲルに笑顔で頼む、ラスティ。
どっかで見たな、この光景。
「いや、あの…」
「してくれるよね?」
口ごもるミゲルに、笑顔で念押しするラスティ。
俗に言う「『命令』してるんじゃない、『お願い』してるんだよ(にこ」
な、感じだが、意味は全く逆、
心情的には「『お願い』してるんじゃない、『命令』してるんだよ(にこ」
だろう。
「は、はい!喜んで協力させていただきます!!」
本能でそれを悟ったらしいミゲルは、何故か敬語で返答。
ああ、やっぱりこの光景は昔に見たなぁ。
当然、オレはミゲルの方だったけどね(泣)
「ありがとう。と、いうわけで、よろしいですよね?クルーゼ隊長。」
「あ、ああ…」
いつの間にかいたらしいクルーゼにわざわざ許可を取る。
ああ、きっと何か起きたら全責任を取らせるつもりなんだね、ラスティ。
この辺の腹黒さはニコルと1,2を争う……かもしれない。
「ありがとうございます。さ、そうと決まったらとっとと決行するぞ!
そして僕はストライクを…」
「わかった、わかった。」
ラスティをなだめながら、オレ達は足つき――もとい、アークエンジェルに向かった。


「それで、結局アスランとラスティ中心で『ストライク捕獲作戦』となったわけですか。」
「どうして、こうも張り切るんだろーな…」
「しかし、ラスティもすごいですね。普段は大人しいのに急に人が変わるというか…」
「あのイザークを一撃で(精神的に)沈めるんだからな。…クルーゼ隊最強じゃねーか?」
「何か言った?二人とも?(スマイル)」
「いえっ、何もいってませんっ!!」
「…逆らわない方が身のためだな…」