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BLUE SPHERE

ガンダムSEED&DESTINY、テイルズシリーズ、杉崎ゆきる作品、遙かなる時空の中で等の小説中心

11. 37.5【D・N・ANGEL@大助×梨紅】

2005-05-22 | モノカキさんに30のお題
「風邪ね。」
「風邪だな。」
「風邪じゃな。」
「風邪ですわね。」
「そ、そんなみんなでいわなくても…」
「というわけで、今日は学校休みなさい。大ちゃん」
「ええ!?このくらいなら大丈夫だよ。それに今日は…」
「ダーメ。休んでないと、夜に差し支えるでしょ?」
「…学校は休んでも、怪盗は休んじゃダメなんだ…」
「当然でしょう?うちはそういう家系なんだから」
「…じいちゃん…」
「わっ、わしにいうても何にもならんぞっ」
「はぁ…、今日は学校休むよ…」
(というより、強制だけどね…ははは)

「で、なーんで今日は休みたくなかったんだ?」
「何でって…」
「熱は少し高い程度でも…頭痛はしてるんじゃねーの?」
「あ、わかった?」
「わかった?じゃ、ねーだろ…」
「今日は…休みたくなかった…な…」
「おいおい、話しながら寝たのかよ…」

「丹羽くん…?あ、寝てたのか。」
「寝てるときに来たのはまずかったかな…。」
「普段は困ったような笑い顔が多いのに…。」
「って、私はなにやって…」
「…梨紅…さん…?」
「あ、ごめん、起こしちゃったね。」
「ううん、それより、ごめん!僕の方こそ…」
(梨紅さんが来てくれてたのに!寝ちゃってたなんて…!!)
「大丈夫?顔が紅い…」
「だ、大丈夫!何でもない、何でもないから!!」
「あ、ごめん!今日休んでるんだもんね、大丈夫なわけ…」
「平気だよ、もう起きあがれるしさ。」
「よかった。あ、今日家庭科で作ったんだ。」
「元気になったら、食べて…」
「ありがとう。」
「ホントに、元気になってから食べてね!あ、味の保証はできないけど…、って何で今食べてるの!?」
「え!?だめだった??」
「そ、そんなことはないけど…。病気悪化したら困るし…」
「大丈夫だよ。おいしいよ。」
「そ、それなら、よかった…ケド…」
「あ、あの!」
「り、梨紅さんからいっていいよ。」
「う、ううん!丹羽くんがいって!」
「じゃ、せーのでいおう。」
「うん、せーの!」
「元気になったら一緒にピクニックに行こう!」
「え?」
「え…?」
「やだ、二人とも同じこと考えてたんだ。」
「そうみたいだね。あはは。」
「ちゃんと、早く風邪、治してよね。」
「うん、ピクニックに行くためにね。」

1.はじめまして@スパイラル【歩×ひよの】

2005-05-13 | モノカキさんに30のお題
なぜだか部員でもないのに、放課後新聞部の部室に行くことが日課になってしまった歩。
いつものように、新聞部の部室で放課後を過ごしていた。
「のどかですねぇ」
「なに年寄りくさいこといってるんだ…」
お茶を飲みながらぼーっとそんなことを呟いたのは、この部屋の主、結崎ひよの。
自他共に認める学園一の情報通。
だが、外見からはとてもそうは思えない。
「ホントのことじゃないですかぁ」
「いつ、また連中が仕掛けてくるかわからないんだ。気を抜いてるとまたさらわれるぞ。」
「アレはさらわれたんじゃないですよ。」
「ああ、自分から捕まったんだっけな。バカ娘。」
「失礼ですねー。鳴海さんの為だったんですよ?」
「おかげでこっちは何度死ぬ思いをしたか。」
「…意気地がないですね」
「意気地で片づけられるモノかっ!」

そんな他愛もない会話がしばらく続いたあと、突然ひよのが笑い出した。

「くすっ」
「何がおかしい…?」
「いえ、だって初めて会ったときは全然素っ気なかったのに変わったもんだなぁって。」
「ああ、人をさんざん殺人犯扱いしてくれたからな。」
「あのときは仕方ないですよ。世論の78.2%は鳴海さんが犯人だと…」
「世論って何だっ。というより、どこから出てきたんだ、その数字はっ!?」
イヤに半端な数字が、信憑性を物語る。
もちろん、この数字に信憑性は皆無だ。
統計を取った人間が信用ならないのだから。
「ふふふふ、伊達にこの学園の新聞部部長は名乗っていませんよ♪」
「学長すら恐れる…という噂に名高いな…」
学長すら…というところに『ひよの最強説』が浮上してくる。
この月臣学園は私立、故に退学・停学などを決めるのは学長やら教師陣等なのである。
そのトップの弱みを握っているのだから、恐れるものなどなにもないだろう…恐らくは。
そう考えると意識が遠のいていく気がする。
「鳴海さん?どうして急に遠い目になるんですか??」
「もしかして、いや、もしかしなくても、俺は大変なヤツと…」
「この学園で私が知らない情報なんてないですよー」
「そうか…ははは…」
自信満々にいう少女の背後に、何か黒いものが見えた気がする。
が、きっと気のせいではないだろう。
「むう、なんかバカにした言い方ですね。」
「バカにはしてない。気が遠くなっただけだ。」
「失礼ですね!私のおかげで何度も事件解決できたんですよ?」
解決はできたが、何度も危ない橋は渡らされたぞ?というツッコミはこの際置いておく。
…というより、それをいうとさらに文句がヒートアップするからである。
「そうだな。」
「あれ?珍しいですね。いつもなら『自惚れるな、バカ娘』位いいますのに。」
「いって欲しかったのか?」
「毎度、毎度同じセリフじゃさすがに飽きますからね。」
いつものやりとりにならなかったのが余程不思議なのか、少し面食らった顔をしている。
素直に肯定したのに、こういわれると腑に落ちないものがある。
もっとも、歩としてもついつい出た言葉なのでなにもいえないのだが。
「ならいいじゃないか。」
「それはそうですけど…調子が狂うというか…」
ぶつぶつと文句を言ってるひよのを気にせず、歩は話を進める。
「なぁ、さっき『この学園で知らない情報はない』といったな?」
「はい。いいましたよ?」
何を言い出すのかという感じで見ているひよのに、意地悪そうに問いかける。
「じゃ、俺がブレード・チルドレンの事件を解決したのは何でだと思う?」
「それは…お兄さんを越えたいとか…」
「あ!まどかおねーさんにいいところを見せたかったからですね!?」
「はずれ。」
「他にないですよ?ブレード・チルドレンのみなさんに恨み持ってるようには思えませんし…。」
「学園一の情報通の看板、降ろした方がいいな。」
「そこまでいうことないじゃないですか!わかりましたっ!意地でも当てて見せます。」
今度は真剣になって考えているようだった。
その様子がおかしくて、笑いがこみ上げてくるが、そこは我慢する。
まだ真剣に悩んでいたので今度は本当に笑ってしまった。
といっても、苦笑した程度ではあったが。
「…答えは目の前にあるんだがな…」
「え…?」
そういうと、掠めるようなキスをした。
ほんの一瞬の出来事ではあったが、かなり長い時間、しかも周りがスローモーションで動いているようだった。

ひよのの方はというと、一瞬何が起きたのかわからないようだったが、時間が経つにつれて顔色がみるみる紅くなる。
「なっ、鳴海さん、いいいい今!?」
「そんなに騒ぐな、バカ娘。」
予想以上に狼狽えるひよのに歩も少し驚いた。
いつものように悪態をついているが、恥ずかしかったのか歩の顔も少し紅くなっている。
しかし、混乱しているひよのがそれに気づくことはなかった。
「だっ、だって。」
「そういうことだ。」
いまだ混乱中のひよの。
歩はその様子を面白いように見ている。
しばらくその様子を観察していたが、時計を見るといそいそと帰り支度を始めた。
ひよのが落ち着いてきた頃には部室から出ようとしているところだった。
「そういうことだって…ちょっと、どこ行くんですか!?」
「今日はスーパーの特売日なんだ。」
今も真っ赤になってあたふたしているひよのを後目に、颯爽と部室から出ていった。
残されたひよのは口元を押さえながら呟いた。
「…ホンット、マイペースな人ですね…」

出会いは最悪で第一印象も最悪だった。
けれど、いつからだろう
兄貴のことも、ねーさんのことも…忘れさせるほど自分の思考の半分を埋めるようになったのは…