傾奇魂 -かぶきだましい-

猫道一家の猫道が日常の諸々を斬る!

石巻でアートをやること(前編)

2012-12-30 22:33:54 | 冷凍都市のくらし



こんばんは。
猫道一家の猫道であります。

年末にちょっとしたワープをしてきたので
レポします。

石巻で見たアートについて。



今年最後のライブを終えた後、宮城県石巻市に赴く。
マイハニー ちばふみ枝の個展を観るためである。

ちばふみ枝は自分の周辺人脈の中ではちょっと異質な美術家で
「マイペース」「マイ審美眼」に従って、まっすぐ活動を続けている。
かつては猫道一家のフライヤーデザインや舞台美術を
お願いしたこともある品のよい変態だ。

3.11の津波によって石巻の実家が被災したふみ枝は
首都圏での作品発表を一時止めており、
昨年から宮城県で生活をしている。

慣れない仕事と新しい人間関係で大変だろうと思っていたが
盟友 團良子(誠の変態)と仙台で共同展示をぶちかましたりと
創作・発表はタフに続けていた ちばふみ枝。
なんと今回、石巻に新しくできたアートスペースからオファーが来て
公開制作+4週間近い個展を行うことになったのだ。







石巻はmasakicがピースボートのスタッフとして滞在し、
ボランティア活動を続けている街であり、
朗読詩人の先輩 村田活彦氏も度々仕事で訪れている。
俺自身も震災後に飯野川第二小学校にイベントで訪れており
なんか他人事じゃなかったので
このタイミングで行っておきたくて石巻へ向かった。



また、今回のショートトリップにはもう一つ目的があったので
ちょっと書いておく。

スポークンワーズを始めて4年半経つが、
名古屋・長野・大阪・山形・仙台とライブをしてきて
考えることがある。
それは、「首都圏を離れて活動できるか」ということだ。

そもそも東京でも立ち位置の確立が難しいというのに
人口の少ない街に行ったらどうなってしまうのだろう。
どこにいたって成立する演芸をやっていきたい。

今回は ちばふみ枝の個展を見るのはもちろんのこと、
石巻でアートをやってる現場を見るという目的もあって行った。
「石巻でアートをやる」ってどんな感じなのだろうか?
イメージが湧かないまま出かけた。



仙台からバスで80分ほどで石巻駅に到着。
早速、「津波で浸水した位置」という表示が目に入り、生々しい。





そして、石巻の出身作家らしい石ノ森章太郎の漫画のキャラクター達が
街の至る所に飾られていて、復興の旗印になっている様子。





なんか明るい感じではあるけど、駅前を見ただけでは
ちょっと活動していけそうな雰囲気はない…。

少し歩くと、プレハブの小屋が連なって
コミュニティースペースができていた。
飲み屋・スポーツ用品・食料品・レンタサイクルなど
多機能が揃った長屋になっていて、
そこに人が集まってくるような工夫がしてあった。

プレハブ長屋を出て、屋根付きの商店街を歩く。
どこの建物も1階部分は津波被害を受けており、
シャッターを閉じた店や、建物自体がゆがんでいるところも多い。
今営業している店舗は、相当な労力をかけて再生したのだろう。

手作り雑貨の店が開いていたので入ってみた。
天井を全体をフェルトで覆っている内装が目を引く。
店全体がアート作品のようで、お金をかけずにオシャレな改装をしていた。
羊毛フェルトで人形をつくるワークショップを
定期開催しているとのこと。

とにかく経済活動は(年末であることもあって)活発には見えないが
「人が集まって何かする場」が意図的に作られているのを感じた。



アートの匂いが少しずつしてきたのは商工会議所を過ぎたあたり。
楽器店が開店しており、被災ピアノを修理したものが並んでいた。

震災直後の様子の写真が飾られており、絶句する。
店内のピアノが路上に流されて横転しており、
その上に津波で運ばれた自動車が乗っかっているのだ。

そういった悲惨な状況からボランティアの手を借り、
何台もあるピアノを修復。営業再開したとのこと。
修復ピアノでのコンサートなどが企画されたらしい。
立ち上がるために最も必要な「闘志」をビリビリ感じる。






3.11で大氾濫した川付近にさしかかると、
一軒だけ明かりがついている店舗があった。
なんとレコード屋であった。
入ってみると、演歌のCDなどが置いてあり、落ち着いた雰囲気。
話し好きの女将がおり、津波被害の様子など語ってくれた。

女将によると
あまりに多くの日常が短時間のうちに失われると
「失った後も、まだそれらがあるような気がしてしまう」
とのこと。
また、生き残った者は、あの日から少しバグが起きてると。
忘れっぽくなったり、急にフラッシュバックが起きたり
といったことが頻繁にあるのだという。

女将は極めて外向的な人で、
政治の矛盾・ボランティアのありがたさなど
強い口調でがんがん想いを伝えてくる。

しかし、これらの想いを秘して語らぬ人も
相当に多いのだろうなとも思った。
言いたいけど黙っていたりすることで、
どこかにヘドロが溜まらなければ良いが…。

女将曰く
在庫CDのパッケージの隅々にまで泥が入り、
大赤字を背負って仕入れ直し、店を再開したとのこと。
ボランティアの助けがなければ
営業再開の気力は湧かなかったという。
くるりの「石巻復興節」というワンコインシングルを購入し、
強く握手して店を出た。



店を出ると、川沿いだけあって
多くの建物が1階部分をやられていたり、
建物が取り壊されてできた空き地が目立つことに気がつく。
だいぶ殺風景で少しさみしくなったところで
ふとレコード屋の外壁に目をやると…
石ノ森章太郎の仮面ライダーのグラフィティーを発見!







街には(震災前のものも含めて)無数の
グラフィティーが描かれており、
シャッターの閉まった店舗や、空き地を彩っていた。






















やはり、色彩と絵があるだけで
景色は劇的に変化する。
最も低予算で視覚から元気になる魔法ではないだろうか。

また、街歩きの間によくよく路地を見てみると
イベントのフライヤーが貼られているのも発見。
RANKIN TAXI、PAPA U-Gee、LIKKLE MAI、Dachamboなど
の名前があった。
どれも身体の芯からあっためてくれそうな音楽家達だ。

俺が最初に見つけた「石巻におけるアート」は
グラフィティーと音楽イベントであった。

《後編に続く》






                  photo by 大島健夫(Poe-Tri)



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2.「もしもこの世に言葉がなければ」Enya-Sangと鈴木陽一レモン
3.「タマトギ」イシダユーリ
4.「先生、あのね」大島健夫
5.「銀河鉄道の夜」ともちゃん9さいとspan
6.「朝起きると雨が降ってたんだ」ジュテーム北村
7.「この海の向こうに」ぬくみりゑ(with 瀬戸尚幸、林隆史)
8.「先生、あのね」猫道(猫道一家)
9.「いつか来るその日のために」三角みづ紀と大島輝之と吉田隆一

Bonus Track:「Pellicule」不可思議/wonderboy(ライブ音源)




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