弥生27日は水曜日、昨晩は長距離歩行の疲れで8時前に就寝、4時に目覚める。423号室から日の出前の外を見ると曇天、雨が降りそうだ。
5時から入浴できる瀬戸大橋を遠望できる一階の展望風呂からの景色はまだ夜景で電灯の明かりが美しい。山の頂に立地するから眺望は美しいが、部屋からは山並みしか見えない故、格安な室料になる。
本日は旅の最終日、地図を広げて旅程を確認して重大な勘違いに気付き意気消沈。白峯寺近くの坂出簡易保険保養センターに予約した心算が、休暇村讃岐五色台で別の旅館だった。郵政省と厚生省の縦割り行政の産物で似た様な旅籠が近くにある。小泉改革の郵政民営化でセンターが休暇村になったと思い込んでしまった早合点。
自分で撒いた種の収穫は自分がしなければならない。宿の案内書と地図を見比べ解決策を模索する難行苦行の一時間、結論を導き出した。
8時発の鬼無駅行きの送迎バスで6キロ先の標高400mにある五色台蜜柑園で途中下車、365mの62番根香寺に、その後山道徒歩2時間で61番白峯寺を逆打つ。あっぱれな企画に自己満足、笑みがこぼれる。雨降れば地固まる。
7時からの朝食バイキング、讃岐うどんなどを鱈腹頂き準備万端整う。遍路割引で7800円の宿代は格安、雨降る外で待機するバスに乗り込み、10分で五色台蜜柑園、100円のポンチョを身に付け歩き出す。
10分程山道を下ったら根香寺到着、こんな幸運が許されるのだろうか、弘法大師空海さんのご加護を思わざるを得ない。感謝を込めて南無大師遍照金剛。ご本尊は千手観音菩薩・オンバザラタラマキルクソワカ。参拝を済ませ納経所で墨書朱印を頂戴する。
年恰好の似た男性に話し掛けられるが、意味不明で困惑する。程なく掛軸を持った女性が現われる。認知症の夫を介護、息子さんの運転で遍路旅の途上の大阪の家族、意外な提案をされる。
次は61番白峯寺に行きますがご一緒しませんか。
雨降りの山道の歩行地獄に仏様が現れた。ご接待をありがたく頂戴することにする。こんな幸運の連鎖反応は原発同様に危険を内包するだろう。ナビの誘導で10分ほどの乗車で到着。ご本尊は千手観音菩薩・オンバザラタラマキルクソワカ。
次の雲辺寺行きを誘われたがロープウェイ高所恐怖症問題が未解決が故に辞退する。もったいない判断だっただろうか。
崇徳上皇陵の前の急な階段を下り坂出高屋のバス停を目指す。雨で濡れた石の階段で二回滑って転んだ。そして平坦な車道のマンホールの蓋で滑って転んだ。やはり幸運は続かない。楽有れば苦あり、波乱万丈が世間。
小一時間の歩行で高屋の村に入る。遠くにバスが行く。もしや乗車予定のバス?
5分後に高屋南バス停に到着、10時28分坂出行き、残念無念、あのバスだ。次は2時間後の13時23分、坂出まで6キロ歩く事にする。
風雨が激しさを増し、ポンチョの隙間から雨、びしょ濡れで天国気分から地獄の責め苦を味わう。禍福はあざなえる縄のごとし。反省を込めて南無大師遍照金剛。
歩く事一時間、雨中農作業の女性発見、道案内をお願いする。
左の農道なら徒歩15分で八十場駅、直進する坂出駅は自転車で15分、迷わず八十場を選択する。10分経過、遠くに電車が見える、もしや。
駅に到着、やはりそうだった、次は30分後。ポンチョをゴミ箱に、寒さに凍え11時56分の列車を待つ。トコロテン清水屋300mの看板、しかしこの雨では躊躇する。2011年10月12日に79番天皇寺巡拝の時に乗降車したがあの時も時間が無く、食べれなかった。霊水の心太、美味いだろう。
坂出駅のキオスクで土産の讃岐うどんを購入、12時24分発のマリンライナー30号で岡山・相生・姫路で途中下車、スーパーで弁当購入・米原・大垣と乗換え、19時25分に岡崎到着、7回目の遍路旅は完結。手元には青春18キップが2回分残っている。さて何処を旅しようか、終着駅は始発駅。