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読んだ文庫をつらつらと…

備忘録として、6(5+1)段階評価で

オリンピックの身代金

2011年10月31日 | ★★★★★☆(最高!)
奥田英朗(角川文庫)
第43回吉川英治文学賞受賞作

(上)
昭和39年夏、東京はアジア初のオリンピック開催を目前に控えて熱狂に包まれていた。そんな中、警部幹部宅と警察学校を狙った連続爆破事件が発生。前後して、五輪開催を妨害するとの脅迫状が届く。敗戦国から一等国に駆け上がろうとする国家の名誉と警察の威信をかけた大捜査が極秘のうちに進められ、わずかな手掛かりから捜査線上に一人の容疑者が浮かぶ。圧倒的スケールと緻密なディテールで描く犯罪サスペンス大作!
(下)
急死した兄の背中を追うようにオリンピック会場の建設現場へと身を投じた東大生・島崎は、労働者の過酷な現実を知る。そこには、日本が高度経済成長に突き進む陰でなお貧困のうちに取り残された者たちの叫びがあった。島崎は知略のすべてを傾けて犯行計画を練り、周到な準備を行なう。そしてオリンピック開会式当日、厳重な警備態勢が敷かれた国立競技場で運命の時を迎える! 吉川英治文学賞を受賞した、著者の代表作。

公園で逢いましょう。

2011年10月07日 | ★★★★★☆(最高!)
三羽省吾(祥伝社文庫)

若くして二児の母親になった〈あかね〉。子供は公園の芝生にほったらかしで、携帯に夢中だ。彼女は幼い頃、虐待を受け、ホームレスから食事の施しさえ受けていた。そんな彼女が必死に携帯に打ち込んでいた内容とは──(「魔法使い」より)。“ひょうたん公園”に集う五人のママたち。彼女らの心の奥にしまわれた過去が、日常の中でふと蘇る。爽やかな感動を呼ぶ連作小説の傑作!

ピース

2011年09月20日 | ★★★★★☆(最高!)
樋口有介(中公文庫)

埼玉県北西部の田舎町。元警察官のマスターと寡黙な青年が切り盛りするスナック「ラザロ」の周辺で、ひと月に二度もバラバラ殺人事件が発生した。被害者は歯科医とラザロの女性ピアニストだと判明するが、捜査は難航し、三人目の犠牲者が。県警ベテラン刑事は被害者の右手にある特徴を発見するが…。

チョコレートコスモス

2011年07月26日 | ★★★★★☆(最高!)
恩田陸(角川文庫)

芝居の面白さには果てがない。一生かけても味わい尽くせない。華やかなオーラを身にまとい、天才の名をほしいままにする響子。大学で芝居を始めたばかりの華奢で地味な少女、飛鳥。二人の女優が挑んだのは、伝説の映画プロデューサー・芹澤が開く異色のオーディションだった。これは戦いなのだ。知りたい、あの舞台の暗がりの向こうに何があるのかを――。少女たちの才能が、熱となってぶつかりあう! 興奮と感動の演劇ロマン。

神様のカルテ

2011年07月05日 | ★★★★★☆(最高!)
夏川草介(小学館文庫)
第10回小学館文庫小説賞受賞作

栗原一止は信州にある「二四時間、三六五日対応」の病院で働く、悲しむことが苦手な二十九歳の内科医である。職場は常に医師不足、四十時間連続勤務だって珍しくない。 ぐるぐるぐるぐる回る毎日に、母校の信濃大学医局から誘いの声がかかる。大学に戻れば最先端の医療を学ぶことができる。だが大学病院では診てもらえない、死を前にした患者のために働く医者でありたい…。悩む一止の背中を押してくれたのは、高齢の癌患者・安曇さんからの思いがけない贈り物だった。二〇一〇年本屋大賞第二位、日本中を温かい涙に包み込んだベストセラー、待望の文庫化!

シンメトリー

2011年04月21日 | ★★★★★☆(最高!)
誉田哲也(光文社文庫)

百人を超える死者を出した列車事故。原因は、踏切内に侵入した飲酒運転の車だった。危険運転致死傷罪はまだなく、運転していた男の刑期はたったの五年。目の前で死んでいった顔見知りの女子高生、失った自分の右腕。元駅員は復讐を心に誓うが……(表題作)。ほか、警視庁捜査一課刑事・姫川玲子の魅力が横溢する七編を収録。警察小説№1ヒットシリーズ第三弾!

西南シルクロードは密林に消える

2010年12月20日 | ★★★★★☆(最高!)
高野秀行(講談社文庫)

中国四川省の成都を出発し、ビルマ北部を通って、最後にはインドへ――幻の西南シルクロードに挑む著者の前には、圧倒的なジャングルと反政府少数民族ゲリラの支配する世界屈指の秘境がたちふさがっていた。混迷と困難を極める旅なのに、これほど笑えるのはなぜか。究極のエンタメ・ノンフィクションついに登場。

タイム・リープ あしたはきのう

2010年11月15日 | ★★★★★☆(最高!)
高畑京一郎(電撃文庫)

(上・下)
鹿島翔香。高校2年生の平凡な少女。ある日、彼女は昨日の記憶を喪失している事に気づく。そして、彼女の日記には、自分の筆跡で書かれた見覚えの無い文章があった。“あなたは今、混乱している。若松くんに相談なさい……”
若松和彦。校内でもトップクラスの秀才。半信半疑ながらも、彼は翔香の記憶を分析する。そして、彼が導き出したのは、謎めいた時間移動現象であった。“タイム・リープ――今の君は、意識と体が一致した時間の流れの中にいない……”
タイムリープ。意識だけの時間移動現象。正常な時から“剥がれて”しまった翔香の『意識時間』。その謎に和彦は迫る。だが、浮かび上がった事実は、翔香を震撼させた。“そ、んな……嘘よ……”
第1回電撃ゲーム小説大賞で〈金賞〉を受賞した高畑京一郎が組み上げる時間パズル。最後のピースが嵌る時、運命の秒針が動き出す――。

誘拐の誤差

2010年11月03日 | ★★★★★☆(最高!)
戸梶圭太(双葉文庫)

「礼乎(レオ・10歳)が学校から帰ってこないんです」――母親からの届けを受け、警察が捜査を開始。何の手がかりもつかめないまま時間だけが過ぎ、礼乎は死体となって発見される。その直後、身代金を要求する連絡が入る。いったいどうなっているのか。捜査は暗礁に乗り上げるが、その原因は警察内部にあったのだ。ゾッとする怖さを秘めた異色の警察小説。

怪獣記

2010年09月10日 | ★★★★★☆(最高!)
高野秀行(講談社文庫)

本物かフェイクか それが問題だ!
トルコ東部のワン湖に棲むといわれる謎の巨大生物ジャナワール。果たしてそれは本物かフェイクか。現場に飛んだ著者はクソ真面目な取材でその真実に切り込んでいく。イスラム復興主義やクルド問題をかきわけた末、目の前に謎の驚くべき物体が現れた! 興奮と笑いが渦巻く100%ガチンコ・ノンフィクション。

今夜、すべてのバーで

2010年08月14日 | ★★★★★☆(最高!)
中島らも(講談社文庫)
第13回吉川英治文学新人賞、第10回日本冒険小説協会大賞特別大賞受賞作

薄紫の香腺液の結晶を、澄んだ水に落とす。甘酸っぱく、すがすがしい香りがひろがり、それを一口ふくむと、口の中で冷たい玉がはじけるような……。アルコールにとりつかれた男・小島容(いるる)が往き来する、幻覚の世界と妙に覚めた日常そして周囲の個性的な人々を描いた傑作長篇小説。吉川英治文学新人賞受賞作。

映画篇

2010年08月09日 | ★★★★★☆(最高!)
金城一紀(集英社文庫)

映画の力で導かれた記憶の中の僕は、いつでも軽やかに笑い、素直に泣き、楽しそうに手を叩いていた―。不器用で孤独な人々が映画をきっかけにつながり合い、力強い再生へと踏み出していく姿をみずみずしく描きながら、映画への愛と物語の復権を高らかに謳った傑作小説集。友情、正義、ロマンス、復讐、そして、笑いと感動。五つの物語の力が、あなたを救う。

狼花 新宿鮫IX

2010年03月21日 | ★★★★★☆(最高!)
大沢在昌(光文社文庫)
第25回日本冒険小説協会大賞受賞作

大麻所持で逮捕されたナイジェリア人の取調べにあたった鮫島は麻薬ルートの捜査に乗り出し、盗品を専門に売買する「泥棒市場」の存在を突き止める。この組織の背後には鮫島の宿敵、仙田がいた。一方、鮫島と同期でキャリアの香田は新設の組織犯罪対策部の理事官へ異動。香田は外国人組織の撲滅のため暴力団と手を組むことを画策していた。シリーズ最大の問題作!

失われた町

2009年11月30日 | ★★★★★☆(最高!)
三崎亜記(集英社文庫)

誰もいなくなった町に幻の光が灯る──『となり町戦争』の三崎亜記が紡ぐ、悲しみと希望の物語。
ある日、突然にひとつの町から住民が消失した──三十年ごとに起きるといわれる、町の「消滅」。不可解なこの現象は、悲しみを察知してさらにその範囲を広げていく。そのため、人々は悲しむことを禁じられ、失われた町の痕跡は国家によって抹消されていった……。残されたものたちは何を想って「今」を生きるのか。消滅という理不尽な悲劇の中でも、決して失われることのない希望を描く傑作長編。

将棋の子

2009年11月18日 | ★★★★★☆(最高!)
大崎善生(講談社文庫)
第23回講談社ノンフィクション賞受賞作

青春のすべてを一手一局に!天才たちの夢と挫折の物語
奨励会……。そこは将棋の天才少年たちがプロ棋士を目指して、しのぎを削る”トラの穴”だ。しかし大多数はわずか一手の差で、青春のすべてをかけた夢が叶わず退会していく。途方もない挫折の先に待ちかまえている厳しく非情な生活を、優しく温かく見守る感動の1冊。第23回講談社ノンフィクション賞受賞作