goo blog サービス終了のお知らせ 

読んだ文庫をつらつらと…

備忘録として、6(5+1)段階評価で

ランチのアッコちゃん

2016年03月09日 | ★★★★☆☆(お勧め)
柚木麻子(双葉文庫)

地味な派遣社員の三智子は彼氏にフラれて落ち込み、食欲もなかった。そこへ雲の上の存在である黒川敦子部長、通称“アッコさん”から声がかかる。「一週間、ランチを取り替えっこしましょう」。気乗りがしない三智子だったが、アッコさんの不思議なランチコースを巡るうち、少しずつ変わっていく自分に気づく(表題作)。読むほどに心が弾んでくる魔法の四編。大人気の“ビタミン小説”をぜひご賞味ください。

ヤッさんII 神楽坂のマリエ

2016年02月01日 | ★★★★☆☆(お勧め)
原宏一(双葉文庫)

念願かなって神楽坂でカフェを始めたマリエ。だが店はすぐに行きづまり、路上を彷徨っていたところを謎の中年男に助けられる。この「誇り高き宿無し」であるヤッさんは、築地市場や料理店を駆け回り、食の達人として関係者の相談に乗っているという。時には啖呵を飛ばし、時には悩む背中を押すヤッさんに、人はなぜ惹かれるのか?マリエは弟子入りし、新たな道を探っていく。大好評ユーモア人情小説の第二弾!

握る男

2016年01月09日 | ★★★★☆☆(お勧め)
原宏一(角川文庫)

昭和56年初夏。両国の鮨店「つかさ鮨」の敷居をまたいだ小柄な少年がいた。抜群の「握り」の才を持つ彼の名は、徳武光一郎。その愛嬌で人気者となった彼には、稀代の策略家という顔が。鮨店の乗っ取りを成功させ、黒い手段を駆使し、外食チェーンを次々手中に収める。兄弟子の金森は、その熱に惹かれ、彼に全てを賭けることを決意する。食品業界の盲点を突き成り上がった男が、全てを捨て最後に欲したものとは。異色の食小説誕生。

残り全部バケーション

2016年01月02日 | ★★★★☆☆(お勧め)
伊坂幸太郎(集英社文庫)

当たり屋、強請りはお手のもの。あくどい仕事で生計を立てる岡田と溝口。ある日、岡田が先輩の溝口に足を洗いたいと打ち明けたところ、条件として“適当な携帯番号の相手と友達になること”を提示される。デタラメな番号で繋がった相手は離婚寸前の男。かくして岡田は解散間際の一家と共にドライブをすることに──。その出会いは偶然か、必然か。裏切りと友情で結ばれる裏稼業コンビの物語。

母性

2015年09月08日 | ★★★★☆☆(お勧め)
湊かなえ(新潮文庫)

女子高生が自宅の中庭で倒れているのが発見された。母親は言葉を詰まらせる。「愛能う限り、大切に育ててきた娘がこんなことになるなんて」。世間は騒ぐ。これは事故か、自殺か。……遡ること十一年前の台風の日、彼女たちを包んだ幸福は、突如奪い去られていた。母の手記と娘の回想が交錯し、浮かび上がる真相。これは事故か、それとも──。圧倒的に新しい、「母と娘」を巡る物語。

ブルーマーダー

2015年08月23日 | ★★★★☆☆(お勧め)
誉田哲也(光文社文庫)

池袋の繁華街。雑居ビルの空き室で、全身二十ヵ所近くを骨折した暴力団組長の死体が見つかった。さらに半グレ集団のOBと不良中国人が同じ手口で殺害される。池袋署の刑事・姫川玲子は、裏社会を恐怖で支配する怪物の存在に気づく──。圧倒的な戦闘力で夜の街を震撼させる連続殺人鬼の正体とその目的とは? 超弩級のスリルと興奮! 大ヒットシリーズ第六弾。

何者

2015年07月24日 | ★★★★☆☆(お勧め)
朝井リョウ(新潮文庫)
第148回直木賞受賞作

就職活動を目前に控えた拓人は、同居人・光太郎の引退ライブに足を運んだ。光太郎と別れた瑞月も来ると知っていたから──。瑞月の留学仲間・理香が拓人たちと同じアパートに住んでいるとわかり、理香と同棲中の隆良を交えた5人は就活対策として集まるようになる。だが、SNSや面接で発する言葉の奥に見え隠れする、本音や自意識が、彼らの関係を次第に変えて……。直木賞受賞作。

サファイア

2015年07月08日 | ★★★★☆☆(お勧め)
湊かなえ(ハルキ文庫)

あなたの「恩」は、一度も忘れたことがなかった──「二十歳の誕生日プレゼントには、指輪が欲しいな」。わたしは恋人に人生初のおねだりをした……(「サファイア」より)。林田万砂子(五十歳・主婦)は子ども用歯磨き粉の「ムーンラビットイチゴ味」がいかに素晴らしいかを、わたしに得々と話し始めたが……(「真珠」より)。人間の摩訶不思議で切ない出逢いと別れを、己の罪悪と愛と夢を描いた傑作短篇集。 (装画・清川あさみ 解説・児玉憲宗)

その女アレックス

2015年05月11日 | ★★★★☆☆(お勧め)
ピエール・ルメートル/著 橘明美/訳(文春文庫)
このミステリーがすごい! 2015年版海外部門第1位、週刊文春ミステリーベスト10 2014年度海外部門第1位、ミステリが読みたい! 2015年版海外編第1位、文庫翻訳ミステリー・ベスト10 2014年第1位、2015年本屋大賞 翻訳小説部門第1位

おまえが死ぬのを見たい──男はそう言ってアレックスを監禁した。檻に幽閉され、衰弱した彼女は、死を目前に脱出を図るが……しかし、ここまでは序章にすぎない。孤独な女アレックスの壮絶なる秘密が明かされるや、物語は大逆転を繰り返し、最後に待ち受ける慟哭と驚愕へと突進するのだ。イギリス推理作家協会賞受賞作。

あと少し、もう少し

2015年04月13日 | ★★★★☆☆(お勧め)
瀬尾まいこ(新潮文庫)

陸上部の名物顧問が異動となり、代わりにやってきたのは頼りない美術教師。部長の桝井は、中学最後の駅伝大会に向けてメンバーを募り練習をはじめるが……。元いじめられっ子の設楽、不良の大田、頼みを断れないジロー、プライドの高い渡部、後輩の俊介。寄せ集めの6人は県大会出場を目指して、襷をつなぐ。あと少し、もう少し、みんなと走りたい。涙が止まらない、傑作青春小説。

舟を編む

2015年04月08日 | ★★★★☆☆(お勧め)
三浦しをん(光文社文庫)
第9回本屋大賞受賞作

出版社の営業部員・馬締光也は、言葉への鋭いセンスを買われ、辞書編集部に引き抜かれた。新しい辞書『大渡海』の完成に向け、彼と編集部の面々の長い長い旅が始まる。定年間近のベテラン編集者。日本語研究に人生を捧げる老学者。辞書作りに情熱を持ち始める同僚たち。そして馬締がついに出会った運命の女性。不器用な人々の思いが胸を打つ本屋大賞受賞作!

名も無き世界のエンドロール

2015年04月03日 | ★★★★☆☆(お勧め)
行成薫(集英社文庫)

ドッキリを仕掛けるのが生き甲斐のマコトと、それに引っかかってばかりの俺は、小学校時代からの腐れ縁だ。30歳になり、社長になった「ドッキリスト」のマコトは、「ビビリスト」の俺を巻き込んで、史上最大の「プロポーズ大作戦」を決行すると言い出した──。一日あれば、世界は変わる。男たちの命がけの情熱は、彼女に届くのか?大いなる「企み」を秘めた第25回小説すばる新人賞受賞作。

侠飯

2015年02月09日 | ★★★★☆☆(お勧め)
福澤徹三(文春文庫)

就職活動に悩む大学生・若水良太は、ヤクザどうしの銃撃戦に巻きこまれ、組長の柳刃竜一が部屋に居座ってしまう。居候の柳刃はお取寄せが趣味でキッチンを占領しては料理を作り、恐怖と美味に混乱する良太。そこに同級生たちも加わって事態は予想外の方向へ!まったく新しい任侠×グルメの異色料理小説。文庫書き下ろし作品。

ウィンター・ホリデー

2015年01月05日 | ★★★★☆☆(お勧め)
坂木司(文春文庫)

元ヤンキーでホストだった沖田大和の生活は、小学生の息子・進が突然に夏休みに現れたことから一変。宅配便のドライバーへと転身し子供のために奮闘する。そして冬休み、再び期間限定の親子生活がはじまるが、クリスマス、お正月、バレンタインとイベント盛り沢山のこの季節は、トラブルも続出で……。 解説・吉田伸子

PK

2014年12月15日 | ★★★★☆☆(お勧め)
伊坂幸太郎(講談社文庫)

人は時折、勇気を試される。落下する子供を、間一髪で抱きとめた男。その姿に鼓舞された少年は、年月を経て、今度は自分が試される場面に立つ。勇気と臆病が連鎖し、絡み合って歴史は作られ、小さな決断がドミノを倒すきっかけをつくる。三つの物語を繋ぐものは何か。読み解いた先に、ある世界が浮かび上がる。