東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

ハーモ美術館で、アンリ・ルソーを見る

2024年05月26日 | 展覧会(西洋美術)
 ハーモ美術館(長野県諏訪郡下諏訪町)を初訪問する。
 
 JR中央本線・下諏訪駅から徒歩18分、諏訪湖の湖畔に所在する。
 
 下諏訪町循環バス「あざみ号」で駅から美術館前まで行くことができるが、1日8便で時間があわず、また、雨天であったため、行きはタクシーを利用する(料金900円)。
 
 チケット購入時、係の人から、初めての訪問か確認されたうえで、館内展示室の丁寧な案内を受ける。どちらかといえば小さい美術館だが、過去に遭難?した人がいたらしい。
 
 展示室は3つ。
 1階エントランスから階段を上がると本館2階の展示室。
 渡り廊下に出て、奥に進むと、別館の展示室の入口。靴を脱いで入ると、アトリエをイメージした2階作り。
 また渡り廊下に出て、さらに奥に進むと、ティーセントホールという名の展示室の入口。内部は、回廊を持つ吹き抜けの2階作りとなっていて、入口は2階で、2階→1階と鑑賞する。
 帰りは、1階から2階に戻って展示室の入口から渡り廊下に出て、来た方向と逆に進んで、本館2階の展示室に戻る。この帰りの順路が難易度が高いのだろうか。監視員もいないようだし。
 
 
 
 お目当ては、アンリ・ルソー。
 
 ハーモ美術館は、アンリ・ルソー作品を9点!も所蔵しているという。
 私の訪問時は、本館2階の展示室のルソーの一画にて、6点の展示。
 
 1990年に開館したハーモ美術館。
 開館当初、アンリ・ルソー作品の所蔵は4点であったらしい。
 2010年、2011年、2013年に各1点を収蔵し、その後も時期は確認できていないが、さらに2点を収蔵したようだ。
 
 
右:アンリ・ルソー
《花》
1910年、46.0×38.0cm、ハーモ美術館
 開館時からの所蔵。最晩年の作品。ルソーの「花」の静物画は20数点確認されているが、国内では鑑賞できるのはこの1点のみとのこと。
 
左:アンリ・ルソー
《釣り人のいる風景》
1886年頃、23.5×37.0cm、ハーモ美術館
 2010年の収蔵。青山ユニマット美術館旧蔵。
 
 
右:アンリ・ルソー
《ラ・カルマニョール》
1893年、20.5×75.0cm、ハーモ美術館
 開館時からの所蔵。1893年に行われたバニョレ市役所の装飾壁画コンクールに応募するために描かれた作品(残念ながら落選)。カルマニョールとは、フランス革命期の輪舞のこと。
 
左:アンリ・ルソー
《果樹園》
1886年、38.0×56.0cm、ハーモ美術館
 開館時からの所蔵。ピカソ等による直筆の裏書きがつけられているとのこと。
 
 
右:アンリ・ルソー
《マルヌ河畔》
1906年、40.0×52.1 cm、ハーモ美術館
 2011年の収蔵。汽車とその煙。
 
左:アンリ・ルソー
《郊外》
1896年頃、49.1x65 cm、ハーモ美術館
 2013年の収蔵。NYでのオークションで入手。当時は1ドル98円台であった。
 
 
 6点のアンリ・ルソーは、小品ながら、ルソーらしい魅力を備えていて、見ていて楽しい。
 
 
 本館2階の展示室には、アンリ・ルソーのほかにも、アンドレ・ボーシャン、カミーユ・ボンボワ、ルイ・ヴィヴァン、グランマ・モーゼスといった素朴派の画家たちの作品が展示される。
 そのなかで特に印象に残る作品1選。
 
カミーユ・ボンボワ
《池の中の帽子》
1935年、ハーモ美術館
 画像の真ん中の作品。3人の女性のうち1人が池に飛ばされた帽子を拾おうと奮闘中。無事に確保できそうだが、池に落ちそうになる1人を他の2人が助けようとして一緒に落ちる、という未来を想像する者も。
 
 
 
別館の展示室より。
塔本シスコ
《ハーモ美術館 下諏訪東洋のスイス》
1994年、162.0×130.7cm
 1994年開催のハーモ美術館での個展を機に制作したようだ。
 同展示室では、アンリ・ルソーの紹介映像が上映される(約13分)ほか、2階にも他画家の版画展示がある。
 
 
 
ティーセントホールにおける展示風景
 
 
 
 
本館1階エントランスの展示
サルヴァドール・ダリ
《時のプロフィール》
1977〜84年、ハーモ美術館
 ダリがブロンズで制作した7点のうち2点目の作品だという。溶けた時計にはダリの横顔が隠されている。
 
 
 
渡り廊下より上諏訪方面を撮影。
 天気に恵まれれば、館内で、遠くに富士山を望む諏訪湖の眺望を楽しめるらしいが、あいにくの天気。
 
 
 
 帰りは、下諏訪町循環バス「あざみ号」で下諏訪駅に戻る。バス(料金150円)の時間にあわせたので、美術館滞在時間はわずか40分程度。
 
 雰囲気と良い美術館。天気の良い日に、鑑賞時間を確保のうえ再訪し、素朴派の画家たちの作品や諏訪湖の眺望をじっくり味わいたいもの。


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