東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

アントニオ・ロペス展(Bunkamuraザ・ミュージアム)

2013年06月15日 | 展覧会(西洋美術)

アントニオ・ロペス展
2013年4月27日~6月16日
Bunkamuraザ・ミュージアム


ポスターで見た≪グラン・ピア≫。実物を見たい、と訪問を即決意した。

アントニオ・ロペスの名はそれまで知らなかったが、1936年生まれで現在も活躍中の、現代スペイン・リアリズムの巨匠だという。

展覧会の構成は、次のとおり。
・故郷
・家族
・植物
・マドリード
・静物
・室内
・人体


お気に入り作品は、全て「マドリード」の章。


まずは、≪グラン・ピア≫
1974-81年、7年もかけて制作された、「夏の朝、6:10の光」。


次に、≪ルシオのテラス≫
特筆すべきものはない、コンクリートの建物が密接して並ぶ通りに立つ、一つのアパートのテラス。
だが、人の営みというものを強く感じさせる。
1962年に描き始めたときは、友人が住んでいたこの場所も、長い中断後、制作再開時には別の人の住居に。
その人にお願いして、制作を再開したという。完成は1990年。


そして、一番のお気に入りは、≪トーレス・ブランカスからのマドリード≫。
高い位置から鳥瞰的に都市マドリードをとらえた作品群のなかでは、一番強く惹かれた。
これも、1974-82年と、8年もかけて制作されている。
高い所に登って、都市風景を眺める。人の営みを感じる。その素晴らしさが、夕刻の光とあわさって、胸に押し寄せてくる。


他の章も、興味深い作品は多数ある。
一つだけあげると、初期の作品≪飛行機を見上げる女≫。
ある昼間、飛行機の爆音、裁縫中の女性は、おもわず手にしていた道具を落とし、空を見上げる。
制作年は1953-54年。戦争の記憶がまだ生々しいころである。 



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