ミラノ アンブロジアーナ図書館・絵画館所蔵 レオナルド・ダ・ヴィンチ展 天才の肖像
2013年4月23日~6月30日
東京都美術館
再訪のレオナルド・ダ・ヴィンチ展は、油彩画11点と《アトランティコ手稿》22葉に絞っての鑑賞。
まずは、今回のメインであるレオナルド≪音楽家の肖像≫。
初回訪問時はそれほど惹かれなかったが、今回は長く眺めた。
眺めたのはもっぱら「顔」。「顔の筋肉」。
どこにどの程度レオナルドの手が入っているのか知る由もないが、この「顔」の描写は見応えがある。
ルイーニ(全3点)から2点。
≪幼子イエスと子羊≫。
ラファエロ展で見たプラド美所蔵の≪聖家族と仔羊≫を思い出す。
聖母マリアあるいは聖ヨゼフからは、イエスや子羊がまさしくこんなふうに見えていたのだろう。
私にとっては可愛いどまりだが、二人の思いは。
≪聖家族と洗礼者聖ヨハネ≫
レオナルドのカルトン《聖母子と聖アンナ》をもとにして、一部変更を加え制作されたという、いかにもレオナルディスキらしい作品。
ルイーニ(1480頃-1532)について、宮下規久朗氏「レオナルドの鉱脈」(「レオナルド・ダ・ヴィンチの世界」)より。
“レオナルドの様式を壁画に応用したが、そのレオナルド理解は表面的にすぎず、単純な構成によって物語を図解的に示すにとどまっている” “しかしそのわかりやすさのゆえにミラノや周縁地域で歓迎され、きわめて多くの壁画を残した” “アルカイックで静的な彼の様式は、美術史家の評価は甚だ低いものの、独特の魅力をもっているのは事実であり、土田麦僊や小野竹喬など大正期の日本画家にも影響を与えている”
ロンバルディア地方のレオナルド派の画家≪洗礼者聖ヨハネ≫
レオナルドの弟子サライの作品とされているらしい、ルーブル美所蔵のレオナルド「洗礼者聖ヨハネ」の模写。
レオナルド作品が暗い背景であることに対し、本作は明るい風景が広がる。
ジャンピエトリーノ ≪聖ロクスと奏楽の天使のいる降誕≫
画面下方手前の奏楽の天使たちが、レオナルドのオリジナルは残っていないが模写は多数残っているという≪レダと白鳥≫の子供たちと同じ雰囲気。ちょっと気味が悪い子供たち。
ジャンピエトリーノ(1488頃-1547以降)は、1490年代後半にレオナルドの工房に属していたらしい。
ロンバルディア地方のレオナルド派の画家≪貴婦人の肖像≫
かつてレオナルドあるいはレオナルド周辺画家の作とされていた、1490年頃作の横顔(プロフィール)肖像。
ヴェスピーノ≪岩窟の聖母≫
ロンドン・ナショナル・ギャラリー・ヴァージョンの≪岩窟の聖母≫の模写。ボッロメオ枢機卿の命により、1611年頃に制作。
アンドレア・ソラーリオ(?)(1465/68頃-1524)
≪悔悛の聖ヒエロニムス≫は、作者名?つきの、1520年頃の作。
次にアトランティコ手稿。
・レオナルドの教養(2)
・古典・絵画・人物のデッサン(5)
・光学・幾何学(3)
・建築(3)
・兵法(3)
・機械・装置のデッサン(3)
・人体飛行に関する研究(3)
一番長く眺めたのは、≪複数の弩を装備した歯車の素描≫1485-87年頃。働く兵士たちに注目。
33点の鑑賞に限定したが、鑑賞者も相応に多いこともあり、15時半過ぎの鑑賞開始で、閉館時間までいた。