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投錨備忘録 - 暇つぶしに借りた本のメモを残すブログ

ドライブ・マイ・カー(韓国家庭料理) - 映画に出てくる食事の場面(60)

 
2021年の邦画。監督は濱口竜介、原作は村上春樹、脚本は濱口竜介、大江崇允。出演は西島秀俊、三浦透子、霧島れいか、岡田将生、パク・ユリム、ジン・デヨン、他。

劇場で観たのは2022年になってから。海外での高評価を受けて再上映を神戸のシネ・リーブル神戸でやっていたのに偶然遭遇。

3時間(正確には179分)もある映画なのに全く長さを感じさせない。たいへん面白く観た。映画館側は嫌がるかもしれないが、3時間でしっかり観せるこういう映画はありだと思った。

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起:東京、不安な物語の始まり
承:広島、2年後。演劇祭準備。出会い 
転:広島、妻の新たな一面。新たな展開
結:北海道、物語の終わり 
終:広島・韓国、演劇祭本番。映画の終わり

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俳優で演出家の西島は妻を愛していた。妻は脚本家。名前は音。20年近く前、二人は病気で子供を亡くしていた。それ以来、二人暮らしが続く。いつの頃からか妻は不貞をはたらきはじめた。自分の脚本のドラマに出演した俳優とそのドラマが続く間、そういう関係を持つようになった。それを西島は知っていたにもかかわらず問いただすことは避けてきた。妻を失いそうで怖かった。妻から話があると言われた日、西島は家に帰るのをためらった。深夜まで車を運転してその時をできるだけ後回しにした。深夜に帰宅したら妻は死んでいた。くも膜下出血。もっと早く帰宅していれば助かったかもしれない。二年後、広島の演劇祭の演出家として参加するため愛車のサーブ900で向かった。

三浦は北海道の田舎の出身。幼い時に父は家を出ていき、それからは母と二人暮らし。札幌の夜の街で働く母を駅まで送り向かえするため中学生の時から車を運転していた。母はいつも荒れていて三浦に辛くあたった。しかし辛くあたった後、もう一人の人格、8歳のサチという少女の人格が現れようになった。三浦はその少女も母なのだと認めた。サチのことは好きだった。ある日、裏山が崩れ家がつぶれた。三浦は逃げ出すことが出来たが母は家の中で死んだ。崩れた家から逃げ出したとき、三浦は母を助けに行かなかった。助けも呼ばなかった。車の免許はもう取っていた。車に乗り西へ西へと走り、広島に着いたところで車は壊れた。ジン・デヨンから演劇祭用のドライバーの仕事を斡旋してもらっている。今回は西島の専属ドライバーを依頼された。

西島、三浦、二人は殺人者だった。明に手を下したわけではなかったが妻を、親を殺した。

そんな二人が演劇祭をきっかけに出会う。契約だけの関係から互いを信じ合うようになったことが分かる場面がある。

選んだ食事の場面。西島と三浦(ドライバー)がパク・ユリム(舞台女優)、ジン・デヨン(演劇祭スタッフ)夫妻の家で夕食を振る舞われる場面。韓国の家庭料理。全編抑えたセリフが続くのだがここだけは笑顔でセリフも弾む。西島と三浦は心を許す。互いを信じる。「承」の終わりあたり。

岡田は以前、西島の妻のドラマで主演していた人物。演劇祭のオーディションに応募してきて主演の座を西島から与えられた。岡田から話があると言われた日、西島は車に乗せた。西島から三浦には何を聞かれても良いと言われ岡田は西島が知らない妻の話をする。岡田将生の演技が上手い。

舞台で主演するはずだった岡田は事件を起こしもう出演することは出来なくなった。演劇祭の主催者から西島が代役をつとめるか演劇祭を中止するか決めてほしいと西島は言われる。期限は2日後。

北海道。雪景色。西島と三浦はかつて三浦が住んでいた家の跡に来る。三浦は西島に言うのだ。奥さんを、自分を許して生きることは出来ませんか。それは三浦が三浦自身に言った言葉でもある。

西島は言う。「僕は正しく傷つくべきだった。本当をやり過ごしてしまった。見ないふりを続けた。だから音を失ってしまった。永遠に。生き返ってほしい。もう一度話しかけたい」。「結」の最後の場面。

映画のラスト。三浦はサーブ900を韓国で運転している。パク・ユリムとジン・デヨンが飼っていた犬を乗せて。

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西島が広島で宿泊施設として用意された家の窓から見える瀬戸内海の景色が美しい。窓一面に海が見える部屋。その窓の側に机と椅子を置き、西島は俳優たちの応募書類に目を通す。その形に憧れて部屋の模様替えをして椅子も新調した。窓の外は向かいの家しか見えないけど。










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