韓国の話。現政権に対して政権を揺るがしそうな猛烈なデモが発生している。もともと狂牛病のリスクのある米国産牛肉の輸入に反対するというのがデモの主旨だったはずが、もうそれはデモをするための口実になってしまい、現政権の退陣を要求するまでになってしまった。デジャビュだ。前のノ・ムヒョン政権の時も似たようなことがあった。あの時は弾劾まで行ったけど。李大統領、踏ん張り時です。
まず鮮于鉦記者の先月のコラム。
記事入力 : 2008/05/21 17:00:05 【コラム】牛肉問題、韓国が本当に恐れているもの(上) 財布の中にたった500円しかないとき、ちょっと一休みして何か食べようと思ったら、日本では牛丼屋に行くしかないのではないかと思う。牛肉をご飯の上に乗せた牛丼は普通、豚の背骨などから出汁(だし)を取った「国民食」のラーメンよりも安い。牛丼の2大チェーンである「吉野家」と「すき家」の牛丼一杯の値段(普通盛り)はそれぞれ380円と350円だ。公園のベンチで食べるコンビニの弁当を別とすれば、「食事を安く簡単に済ませよう」という市民にとって、これ以上のメニューはない。 牛肉を使う牛丼がこんなに安いのは、言うまでもなく外国産の牛肉を使うためだ。吉野家は米国産、すき家はオーストラリア産の牛肉を使っている。「どこの牛肉でも同じだ」と考えているのかどうかは分からないが、牛肉の産地についての両社のこだわりは、「哲学」に近いと言ってもいいほど強固なものであり、日本の経済界でたびたび話題になっている。 これは2004年、米国で狂牛病(牛海綿状脳症、BSE)に感染した牛が見つかり、米国産牛肉の輸入が中止されたことがきっかけだった。吉野家は「米国産でなければ吉野屋の牛丼の味を出すことはできない」として、牛丼の販売を完全に中止した。その後、毎年続いた赤字に耐え、米国産牛肉の輸入再開を受けて牛丼の販売を再開したのは06年のことだった。当時、「牛丼復活祭」と銘打ったイベントまで実施したが、これほどまでの「親米企業」は世界のどこを探してもほかにないだろう。 一方、すき家は逆の道を歩んだ。米国で狂牛病が発生するや、すぐに牛丼の材料をオーストラリア産に切り替え、06年に米国産牛肉の輸入が再開された後も、オーストラリア産にこだわり続けている。すき家の社長は米国の牛肉加工場を視察した上で、「管理体系が不十分だ」として、輸入再開を決めた日本政府を猛烈に批判している。すき家の経営哲学は「食べ物の安全に関しては、世界一臆病だと言われてもいい」というものだ。 東京=鮮于鉦(ソンウ・ジョン)特派員 【コラム】牛肉問題、韓国が本当に恐れているもの(下) 現在、両者は互角の戦いを繰り広げている。全国の店舗数は、4月末時点で吉野家が1048店舗、すき家は1017店舗だ。好みや判断は人それぞれだが、味を重視する人は吉野家を、安全を重視する人はすき家を選ぶのが一般的な傾向だ。たとえ財布に500円しかなくても、味を取ることも安全を取ることも可能だというわけだ。 日本の知人に「日本でも生後30カ月以上の米国産牛肉を輸入すると言ったらどうするか」と聞いてみた。日本では現在、米国産牛肉は20カ月以下の牛に限って輸入している。「国民よりも吉野家の方が慌てるのではないか」と知人は答えた。政府がいくら「危険ではない」と言ったところで、牛丼を愛する多くの国民はすき家に流れてしまうのではないか、というわけだ。もちろん、お金に余裕のある人は、以前と同じように和牛を使った1000円の牛丼を食べるだろうが。 最近、韓国の狂牛病騒ぎを受け、韓国が恐れているものは一体何なのかについて考えてみた。韓国産は韓国産として、オーストラリア産はオーストラリア産として、米国産は米国産として、ガラス張りの流通システムを整えさえすれば、国民をこんなに不安にさせることはなかったのではないかと思う。結局、韓国社会が現在、これほどまでに動揺しているのは、本質的に自分が信じられないからではないだろうか。 日本でも米国の要求に従い、牛肉の全面的な輸入再開を政府が認めれば、相当なパニックにつながることが予想される。日本国民も、真実がどうであれ、「安くて質の良い肉」という言葉を額面通りに受け止めるほど純粋ではないからだ。だが、子どもたちまでが路上で「狂った牛、お前(政治指導者)が食べろ」というシュプレヒコールを叫ぶことはないだろう。嫌ならば食べないということができるシステムが備わっているからだ。言い換えれば、自分が信じられるからなのだ。 東京=鮮于鉦(ソンウ・ジョン)特派員 http://www.chosunonline.com/article/20080521000065 http://www.chosunonline.com/article/20080521000066 |
あいかわらずスッキリとスマートな内容で好感が持てるのですが、ちょっと文章を作りすぎてます。
>子どもたちまでが路上で「狂った牛、お前(政治指導者)が食べろ」というシュプレヒコールを叫ぶことはないだろう。
>嫌ならば食べないということができるシステムが備わっているからだ。
>言い換えれば、自分が信じられるからなのだ。
韓国人には無理なような気がする。もともと無理を通すことが好きな国民性です。少々どころか圧倒的に自分に理が無くても言い切ったほうが勝ちなんて平気で考えている人たちですから。日本人みたいには行きません。
同じ朝鮮日報から今の状況をつづったコラムを二つ。
記事入力 : 2008/06/07 11:16:14 米国産牛肉:6日に最大規模のキャンドル集会 米国産牛肉の輸入に反対するキャンドル集会が始まって以来、最大規模の参加者(警察による推定で5万6000人、主催者側発表では20万人)による集会が6日にソウル都心で行われた。とりわけこの日の集会には「李明博(イ・ミョンバク)政権退陣」を要求するスローガンも前面に登場した。 「狂牛病(牛海綿状脳症、BSE)のリスクのある米国産牛肉の全面輸入に反対する国民対策会議」(以下、対策会議)はこの日夜7時から、ソウル市庁前広場で大規模キャンドル集会を開催し、明洞やソウル駅、安国洞方面へと行進を続け、大統領府(青瓦台)へと向かい始めた。 参加者たちは、「李明博は退陣せよ」「魚清秀(オ・チョンス)警察庁長は退陣せよ」などと一斉に叫んだ。「米国産牛肉の輸入反対」から始まった集会・デモが、徐々に「政権の退陣闘争」へと変貌しつつあるのだ。 広告代理店の社員キム某さん(31)は、「国民に何の希望も与えられない李明博政権は退陣すべきだ」と主張した。 対策会議は集会がはじまる前の午後4時から、ソウル大学路のマロニエ公園で「国民を無視して告示を強行する政府を審判する汎国民大会」を開催し、1500人が鍾路や乙支路を経てソウル広場にまで街頭行進を行った。対策会議が主催した集会・デモとは別に、インターネット検索サイト・ダウムの掲示板「アゴラ」「アンチ李明博」などの会員や中学・高校生、一般市民などが中心となった3000人は、この日午後1時40分ごろから路上に出て、別の街頭デモを行った。 デモ隊は光化門、安国洞、憲法裁判所周辺の路上を回りながら大統領府へ向かおうとしたが、警察は世宗路や東十字閣ロータリー、安国洞ロータリーに機動隊のバスなどでバリケードを設置し、デモ隊を遮断した。 一方、前日午後4時からソウル広場で護国英霊追慕祭を行った特殊任務遂行者会は、この日午後6時に会見を開いた上で、自ら広場から撤収した。 オ・ヒョンソク記者 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 http://www.chosunonline.com/article/20080607000019 |
記事入力 : 2008/06/07 11:34:32 米国産牛肉:李大統領「支持者は戻ってくる」 李明博(イ・ミョンバク)大統領は米国の時事週刊誌『タイム』とのインタビューで、最近のキャンドル集会に関し、「(集会参加者たちの考えは)完全に理解している。驚くほどの規模で強い主張を繰り広げているデモだが、牛肉問題という次元を超えたそれ以上のものでもあることを認知している」と述べた。これらの内容はタイムの電子版が6日に報じた。李大統領は、「韓国には国民によるデモが、真正かつ意味のある変化のきっかけになったという伝統と歴史がある」とも述べた。 李大統領はさらに、「国を治めるのは非常に難しいことだという点には同意する」と最近の心境を明かしながら、「(経済難などについて説明した上で)わたしに投票してくれた国民が願うような早いペースでの変化が感じられないことについて、国民らがやや失望の段階にあると考えている」とも語った。李大統領はその一方で、自らのリーダーシップ・スタイルが一方的で、独走しているという一部の批判については、「わたしは長い間経営者として働いてきた。経営者は消費者の言葉に耳を傾ける必要がある。わたしはもっと耳を傾けるために努力していきたい」「わたしを支持してくれた人たちは、今もその場にいる。1年か2年で状況が進展すれば、支持者たちは再び戻ってきてくれるだろう。ある世論調査では、50%以上が政府と大統領は今後成果を出すと予想していると回答した」とも語った。 朱庸中(チュ・ヨンジュン)記者 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 http://www.chosunonline.com/article/20080607000020 |