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*** june typhoon tokyo ***

Angela Johnson & Darien@COTTON CLUB

■ アンジェラ・ジョンソン・ウィズ・ダリエン

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 グッド・ミュージックとの再会。

 楽しみにしていた公演、アンジェラ・ジョンソン・ウィズ・スペシャル・ゲスト・ダリエン(ANGELA JOHNSON with special guest DARIEN)を観にCOTTON CLUBへ。1stショウ。

 いつもなら中央のフロアに陣取るところだが、今日は壁際から全体を俯瞰する席をセレクト。左後方にキーボードのジェイムス・スピアーズ、中央奥にドラムのレス・クリーヴランド、右手にベースのマーク・ケリー、その斜め前にバック・ヴォーカルのリサーラ。リサーラは「Walkin' feat. Lisala」「Cryin Over You feat. Tricia Angus, Lisala」(『ア・ウーマンズ・タッチ』に収録)で共演したアンジェラと交流が深い女性シンガーで、NYのソウル・バンド、Burnt Sugarのヴォーカリスト。ソロ・デビュー作『Get It』ではオーガニック・ソウル的なアプローチを持ちながらUKソウルの佇まいを満たした作風を醸し出していた。

Angela_johnson_its_personal 荒々しく勢いのあるドラム、バランスのとれたキーボード、ファットなボトムがよく響くベースといった、若々しいサウンド・クリエイトで、ステージは進行。バック・ヴォーカルのリサーラを含めたメンバーが揃ったところで、アンジェラが登場。新作『It's Personal』のジャケ(このジャケの顔はイマイチだが、実際はもっとキュート)と同様のショートアフロヘアにハットを被った出で立ち。導入からノリのいいビートを炸裂させていく。
 
 新作収録曲を中心に構成されていて、スロウで聴かせるという演出はあまりなし。音楽で楽しませるということを根底に置いたようなグルーヴィな選曲だ。新作でのリード・シングルとなる「Better」は前半で惜しげもなく披露。個人的にはクライマックスやアンコールにもってくるのかと思っていただけに、興奮度も急上昇だ。この曲は推進力のある洗練されたビートが出色のハウス調ナンバーで、どちらかというとUK的なグルーヴか。マンデイ満ちるあたりが歌ってもしっくり来るかも。ファンキーだが都会的なスタイリッシュ感が見られるところは、ニューヨーク周辺出身のシンガーらしいところ。

 続く「Hurts Like Hell」は“母親が癌に侵されて……”というMC(6歳になる子供のことについても言及していた。その息子は「Days」でAddisional VocalとしてクレジットされているMaysa Elon Johnsonかと)を挟んでからの披露。新作のタイトル同様パーソナルな曲で、やや重苦しいムードからスタートするもホーンに励まされながら力強い歌唱へと流れる展開が魅力だ。

Angela_johnson_darien_01 そして、待ちかねたダリエンが登場。ドレッドを後ろへ流したヘアスタイルで、“イイ奴オーラ”を感じさせる。ダリエンはニューヨーク出身で、『If These Walls Could Talk』を聴いた時に、気に入っていたソウル・シンガー。DJスピナが参加したサントラ『25 Strong』に参加(アンジェラも)、リール・ピープル(Reel People)の楽曲でも共演した経験を持つなど、アンジェラとの相性もいい経歴だ。
 アンジェラの新作に収録の「All In Me」では、アンジェラの力強さに対してやわらかく包み込むようなシルキーな声で融合。“Baby Love~”と語りかけるスロー・ジャムは、一瞬にして愛が漂う空間へと景色を変貌させていく。

 ハートフルなデュエットの後はダリエンのソロを2曲。アンジェラはキーボードに座してサポート。滑らかなあたりで酔わせる声で魅せるグルーヴィなネオ・ソウル調「Composure」から、“LOVE”“Revolution”のコール&レスポンスやフリースタイル風のラップも盛り込んだ「Love Revolution」へ。アンジェラもリサーラもともに拳を高く突き上げての“レヴォリューション”をフロアに巻き起こす。観客もともにフィスト・アップして“愛の革命”が成就されていく。スティーヴィ・ワンダーやミュージック・ソウルチャイルドあたりを好む人には間違いなくツボで、それもそのはず、スティーヴィーやダニー・ハサウェイなどのソウル・シンガー を独自に学んできたという背景があるからだ。

 “もう帰った方がいい? 残った方がいい?”“もちろん、残っててよ”というダリエンとアンジェラの掛け合いのなか、キーボードに座したアンジェラがそのまま「Cryin Over U」を。ゆったりと上体を揺らしながらマイクスタンド前で楽曲に酔うダリエンを横目にして、同曲でフィーチャーされているリサーラがメイン・パートを熱唱。一つ一つのキレという意味ではアンジェラだが、時に一気に押し寄せる圧力はリサーラ。盟友というだけに、アンジェラとのバランスもよく解かっているようで、実にその“間”が気持ちいい。
 バックビートをとりながらのレゲエ風アレンジによる「All I Need」では、アンジェラの腰のグルーヴも絶好調に。レゲエ調ではあったが、多少ゴーゴーのファンキー・グルーヴな要素も入っていたかもしれない。

 本編ラストはリール・ピープルとの楽曲「キャント・ストップ」。ヴォーカル陣が先にステージ・アウトした後、若々しいバンド・サウンドで観客を魅了して終了。拍手が鳴り止まないままほどなくメンバーが再度登場してアンコール開始。総立ちとなってマーヴィン・ゲイの「ゴット・トゥ・ザ・ギヴ・イット・アップ」を。リサーラは愛くるしい顔でノリよく身体を揺らし、ダリエンは両手を高く挙げて“プッチョ・ヘンザップ”でオーディエンスをのせる。途中でジャクソンズ「シェイク・ユア・ボディ」の一節を取り込み、遠くを指差しながら首でリズムを取ったり、ハットのつばを指でスーッとなぞったりと、アンジェラ風のマイケル・ジャクソン・トリビュートを披露して、ヴォルテージも最高潮となった。本編ラスト同様、シンガーが先にステージ・アウトして、勢いのある若々しいサウンドを響かせて終演。上品なグルーヴを振り撒いたステージとなった。

 気づくとフロア中央はもちろん席はほぼ埋まっていて、ホッと胸をなでおろした。年齢層が高めだったこともあり、ラストの総立ちまでは座っての観賞だったのが、やや残念といえば残念か(座りながらのクラップや喚声など、ノッていたことはノッていたのだが)。このセット・リストだと「Better」を迎えるまでもなく、初っ端からスタンディングでもよさそうなものだったが。まぁ、致し方ないところか。
 ダリエンは来日が初めてとのこと。なかなか東京も気に入ってくれているようなので、次は単独公演でもお願いしたいところだ。

 公演を観終えて思ったことは、音楽の種はさまざまあるが、こういうグッド・ミュージックこそ体験すべきじゃないかと。趣味嗜好は十人十色だし、それを否定することはないが、洋邦問わず、キラキラした鍵盤系のいわゆるセツナ系R&Bなど、最先端と煽られた流行化したアール&ビーばかり聴いていたんじゃ、ダメだと。チープなものがいけないという訳ではない。だが、ストレートがあってこその変化球のように、芯がある楽曲の原体験があってこそ音楽的資質が拡張されるんだということに気づくべきではないのか。

 ネオ・ソウルを基軸にしたグルーヴの波に心が弾んだ夜となった。


◇◇◇

<SET LIST>

00 INTRO
01 You Got The Love(Original by Rufus And Chaka Khan)
02 Only One(*)
03 Be Myself(*)
04 Days(*)
05 Better(*)
06 Hurts Like Hell(*)
07 All In Me(feat. Darien)(*)
08 Composure(Darien)
09 Love Revolution(Darien)
10 For You(*)
11 Cryin Over U
12 All I need
13 Can't Stop(Original by Reel People feat. Angela Johnson)
≪ENCORE≫
14 Got To Give It Up(Original by Marvin Gaye)(Including phrase of“Shake Your Body (Down To The Ground)”by Jacksons)
 
(*):『It's personal』収録曲
 

<MEMBER>

Angela Johnson (vo,key)
Darien (vo)

James Spears (key)
Mark Kelley (b)
Les Cleveland (ds)
Lisala Beatty (back vo)


◇◇◇ 

本編ラストで演奏したReel People ft. Angela Johnson「Can't Stop」。

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ダリエンのアルバム『IF THESE WALLS COULD TALK』はすんなりとラストまで聴けてしまう良作!
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バック・ヴォーカルのリサーラ・ビーティは“リサーラ”名義でアルバム『get it』をリリースしています。

Lisala

 ボーナス・トラックでスティーヴィー・ワンダーの「テル・ミー・サムシング・グッド」をカヴァーしていたりするのですが、それ以上に注目は3曲目の「Independence」。スクラッチやキハーダ(北島三郎「与作」など演歌でもよく使われる“カーッ”という音を出す楽器)を用いたアレンジも面白いのですが、終盤で『スーパーマリオブラザーズ』の2面のサウンドがサンプリングされているんですよ。

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この冒頭の“デデデデ、デデ”という音です。(笑)
クレジットでは、プログラミングに“DJ Mutamassic”(表記ママ)がフィーチャーされているんですが、この人が怪しい。(笑)ポピュラー・アラブ・ミュージックとか、ハードエッジなヒップホップやローリング・ドラムンベースを駆使するニューヨークのエジプシャン女性DJらしいのですが。
 
 
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