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*** june typhoon tokyo ***

富山×FC東京

■ 負けても首位にいる不思議

 前節、栃木に敗れてのアウェイ富山戦。しっかりと勝利して、ホーム(熊谷)での栃木戦に弾みをつけたいところだったが、試合開始前20位中19位のチームに勝点3を献上することとなってしまった。
 東京は累積警告のため、谷澤に代わって鈴木の1トップ、ルーカスがトップ下。対するホームの富山は、東京から期限付き移籍して活躍する平出は出場せず、また苔口も負傷で出場しない。言い方は悪いが、そんなチームに首位の東京は完敗した。

 「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」……これは、名将・野村克也の監督術の話が出る度に引用される言葉だが、東京はこの教訓を頭に叩き込まねばならない。

 富山は前節のフクアリでのアウェイ千葉戦でスコアレスドローと結果を残し、決して侮れる相手ではない。とはいえ、平出、苔口の有力選手が出場不可、さらには19位と低迷しているチーム相手に対して、首位の力を見せ付け、勝点を持ち帰ってこなければいけなかった。

 たとえが適切かどうか判からないが、かつて巨人が“各チームの4番打者級を集めた”と揶揄された時、各個人の能力は素晴らしいが、全てが長打狙いにより打線として機能せずに勝てない時期が実際にあった。今の東京はこの状態に似ているのではないか。
 巨人の例で言えば、1人1人の個の力はずば抜けていて、相手チーム(投手)からすれば1対1の勝負では討ち取るのは至難の業だ。だが、仮に1人目をストライクとボールの境あたりに投球を散らしながら、まともに勝負せずにいたらどうか。仮に四球を出しても、その打者走者が足が速くなければ、2人目の打者で速いゴロを打たせることが出来れば、ダブルプレーをとることが出来る。そう上手くいかなくとも、2人目の打者が4番級であるがゆえ、ヒット・エンド・ランなどの策も講じ辛く、攻め方が単調になる。結果、相手にとっては対策が練りやすくなるのだ。
 同様に戦っていけば、打ち気に逸る打者は自らのフォームを崩して打ちに来る。長打を打たれることもあるが、それは結果。その時は致し方のないことと開き直れる。だが、フォームを崩して打ったツケは、次第にバランスを崩すことに跳ね返ってくる。

 ここで、東京のサッカーに戻ってみる。これまで首位となるまで勝利してきた要因には次の3つがあると思う。

(1)ずば抜けた個の力
(2)相手チームの自滅
(3)東京のスタイルに上手くハマってしまった

 (1)はJ2屈指の戦力と自他共に認めているところで、これに恐れて戦う前に萎縮していた(必要以上に警戒していた)チームもあった。そうなると東京としても与しやすくなる。
 (2)はやはりJ2というカテゴリーであれば、ミスも多く、その質も残念ながらJ1と比較すれば決して高くない。どんなに練習しても100%常に実力を発揮し達成することは困難だが、ピッチ上での判断やトライが相手へのチャンスを与える決定的なミスとなることも多い。それに乗じて、東京は得点を挙げられたこともある。
 そして(3)は、その時の戦術の相性でやられてしまったというヤツだ。

 当初は出遅れていたものの、これらの状況を巧みに見抜いて、東京は勝ち点を積み重ねてきた。だが、決定的に足りないのは、「自らゴールを奪える戦術・スタイルを持っている」という点だ。この戦術やそのための意識が欠如しているため、一たび調子や歯車が崩れると、なかなか思うようなサッカーが出来ずに終わってしまうことが多分にあるのだ。

 富山の安間監督は試合後のコメントで、「(東京は)前節の栃木戦ではグラウンドが荒れていてもつなぐことにこだわりっていた。そんなチームに対し、前半からルーカス選手や鈴木選手を一発で狙ったパスを選択させていたのが、それを裏付けている」「相手とは力の差があるので後半は我慢する時間が来たが、約25分間にわたりしっかり自分のポジションと役割を理解しながら、背後も取らせないようにして要所を抑えることができた」としっかりと相手チームを分析した上で、この試合に臨んでいる。もちろん、分析し指示が的確であったとしても、必ず勝てるという訳ではない。しかしながら、少なくとも負けへの確率が低くなることは確かだ。

 東京は実は“不思議の勝ち”に気をよくし、“必ず理由がある負け”に対して反省と学習が出来ていなかったのではないか。当然、結果に関わらず課題は生まれ、その分析はしているだろう。しかしながら、何故敗戦に至ったか、何故ミスが起こったか、どのようにしてチャンスが生まれてゴールへ繋がったかを分析・学習し、それを活かすための練習や試行錯誤をしてきたのかといえば、胸を張ってやってきたとは言えない、あるいは、そう見えてしまうパフォーマンスが多すぎて残念だ。

 次節は熊谷ではあるがホームとしての栃木戦。昇格争いのライヴァルチームとしても、一度敗戦を喫しているという意味でも、勝点3を奪い取らなければ、この流れを考えると昇格に黄色のランプが灯るといっても過言ではない。追い討ちをかけるように、守備の要の今野が代表召集のため出場出来ない。セザーの復帰も見込めない。そういった苦しいなかで、どのように勝ちを奪うか。他のチームからしてみれば、充分でないとはいえ、駒は足りていないとはいえない。戦力足りうる質の高い選手は存在しているのだ。如何に勝つために戦うかが求められる。

 上記で挙げたずば抜けた個の力の萎縮は、19位の富山がしっかりと一致団結した戦術を持ってやれば打破出来ることを証明してしまった。そして、元来、圧倒的な個人的能力の集合体にまともにぶつかり合う戦術を取ってくるチームなど、戦前から判り切っていたことだが、ほとんどないといっていい。自陣に引いてしっかりとブロックを作って対戦してくる。それは百も承知の上で、どう切り崩すかが今季のポイントだったはずだが、そのポイント以前の状態になりつつあることを、監督、選手以下、しっかりと噛み締めて次の第一の天王山といってもいい試合に臨んでもらいたい。


◇◇◇
 

Jリーグディビジョン2 第26節

2011/08/28 富山県総合運動公園陸上競技場

富山 1(1-0、0-0)0 FC東京

【得点】
(富):黒部(34分)

観衆: 8,663人
天気: 曇、弱風


<メンバー>

≪FC東京≫

01 GK 塩田仁史
02 DF 徳永悠平
03 DF 森重真人
06 DF 今野泰幸
14 DF 中村北斗
04 MF 高橋秀人
10 MF 梶山陽平
22 FW 羽生直剛 → 38 FW 坂田大輔(70分)
27 MF 田邉草民 → 17 MF 永里源気(78分)
49 FW ルーカス
11 FW 鈴木達也 → 18 MF 石川直宏(46分)

20 GK 権田修一
33 DF 椋原健太
32 MF 上里一将
35 MF 下田光平


◇◇◇
 
 

≪J2順位表≫

01 FC東京 41(12/05/05/32/14)+18
02 徳島  41(12/05/05/33/20)+13
03 栃木  41(11/08/03/31/19)+12
04 千葉  39(11/06/05/33/24)+09
05 札幌  37(11/04/07/24/17)+07
06 鳥栖  36(10/06/06/27/15)+12
07 北九州 35(10/05/07/22/23)-01
08 東京V 32(09/05/08/43/27)+16
09 大分  31(08/07/07/26/27)-01
10 愛媛  30(08/06/08/28/31)-03
11 横浜FC 29(08/05/09/23/22)+01
12 草津  29(09/02/11/25/34)-09
13 熊本  29(07/08/07/19/28)-09
14 湘南  28(07/07/08/21/26)-05
15 京都  26(07/05/10/25/27)-02
16 岡山  26(07/05/10/25/34)-09
17 水戸  23(06/05/11/23/30)-07
18 鳥取  22(06/04/12/22/24)-02
19 富山  21(05/06/11/17/30)-13
20 岐阜  11(03/02/17/15/42)-27

※ 左から勝点(勝/引分/負/得点/失点)得失点の順
※ 2011/08/28現在


 トップ3位は勝点差なし、8位の東京Vまでが勝点9差以内の大混戦となった。以前から述べているが、近年のデータから推測する昇格の条件の一つは負け数は10未満だと考えると、すでにその半分以上の5敗を喫している。それ以下となると(負け数が一番少ないのは)3敗の栃木だけだ。次節の栃木戦に勝利することが如何に重要であるかを脳裏に焼きつけて、監督・コーチ、選手たちには死に物狂いで勝点3を奪い取らなければならない。

 
 
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