カテゴリの差で3得点を挙げ、天皇杯初戦勝利。
FC東京の2025年天皇杯の初戦は、石川県代表のJ3・ツエーゲン金沢を味の素スタジアムに迎えて行なわれ、佐藤恵允の2得点と浦和から期限付き移籍で加入した長倉幹樹の1得点で、FC東京が勝利。ひとまず、結果的には無難なスタートを切った。
FC東京は、J1リーグ・C大阪戦から先発を総入れ替え。FC東京に期限移籍加入後初デビューとなった長倉幹樹と、長い間怪我で戦列を離れていたバングーナガンデが今季初出場・初先発。金沢はJ3リーグ・栃木C戦からスターティングメンバーを7名変更。パトリックや西谷和希はベンチ外。FC東京のユース(FC東京U-18)出身の畑尾は先発に名を連ねた。金沢は4月20日のJ3第10節・栃木SC戦で勝利した後、5月25日の天皇杯1回戦で中京大学に6対0で勝利したものの、J3リーグでは1分6敗と絶不調で13位。6月になって伊藤彰監督を解任し、辻田強化部長が新監督に就任するなど、ゴタゴタが続いている。
そんなチーム状況とJ1とJ3という実力差が明らかに出たのか、序盤からFC東京が主導権を握る。野澤零温のクロスを仲川がヘッド、バングーナガンデのドリブル突破からのクロスを野澤零温がヘッド、北原のシュートがポスト直撃など、いつ得点してもおかしくなかったが、32分に仲川のドリブル突破からのスルーパスを佐藤恵允がダイレクトで蹴り込んで先制。均衡を破ったことで力みが取れたのか、44分に野澤零温の折り返しを佐藤恵允が頭で合わせて追加点。入りから硬さが見えた金沢は、自分たちの時間をなかなか作れずに、前半を終えてしまったようだった。
後半からFC東京はバングーナガンデを木村に、仲川をエヴェルトン・ガウディーノにスイッチ。金沢は畑尾を松本に、ジェフェルソン・ジャリを長倉颯に変更。その後も両者とも選手交代を重ねながら得点機を狙うも、得点を奪えないでいたが、85分に途中で投入された俵積田が左サイドから攻め上がり、シュート一閃。金沢・GK白井裕人が弾いたボールをダイレクトで長倉幹樹が頭で押し込み、FC東京が3得点目を挙げて、ほぼ試合を決定づけた。
だが、3得点目を奪う前から自陣での停滞が目立ち始め、74分に北原を下げると、ハイラインを保つ金沢にジリジリと押し込まれ、最終ラインでのパス交換が連続し始める。土肥、木村、野澤大志ブランドンとの間のパスが増え、前線へボールが運べなってくると、しびれを切らしたかのように北原と代わった高が最終ラインに降りてきて、ボールを受けるシーンが散見。そうなると当然中盤での受け手が減り、前半は土肥とCBを組んでいた岡は、4バックの左SBながら高い位置を取ったままなのか、3バックのウイング的な位置なのかはっきりしないポジション取り。後ろからのパスをゴールに背を向けて受け、トラップも大きかったりするから、金沢が詰める隙を与えてしまう。
そういったなかで最終ラインのバランスが崩れ、自陣で緩いアリバイパスを繰り返すという連敗中の悪癖が発生。木村は打開を図るべく縦パスを出すものの、著しく精度を欠き、相手へボールを渡し、土肥も緩く後ろへ戻すパスが第一選択肢となってしまうから、推進力を削ぎ落してしまうことに。野澤零温は攻撃時は果敢に勝負してクロスを上げるなど良さを見せていたが、下がって守備した際には出しどころがないのかゴールに背を向けて素早く出すタイミングを失ったのか、ボールを奪われるシーンも。そのまま絶好機を献上するまでには幸い至らなかったが、後ろ向きにボールを返すうちに重心が低くなり、自陣からの持ち上がりを自ら難しくさせる状況に。
GK野澤大志ブランドンのセーヴで何とかゴールラインを割らせていなかったが、89分に右サイドからの長倉颯のクロスを土信田が胸で落とすと、混戦の中で村田が左足で意地の1点を叩き込む。既に3点差がついていたため、金沢に1点返されても大勢に影響はなかったが、またしてもCBを変更して失点。クリーンシートで快く週末のリーグ戦へ向かうというミッションは達成できなかった。
前半のみながら、バングーナガンデが復帰してなかなかの好パフォーマンスを見せたことや長倉幹樹が得点、果敢に攻め上がった仲川がアシスト、佐藤恵允が2得点と、それぞれが結果を示したことは良かった。だが、それ以上に、特に後半の守備やボールの展開力の欠如などは、正直なところ、相手が金沢だったから“大怪我”をせずに済んだが、J1リーグではそうはいかないだろう。
週末のG大阪戦へのインターバルが短いなかで、高の出場はやや余計だったように思うが、室屋、白井康介、マルセロ・ヒアンらを休ませることが出来たのは良かった。とはいえ、失点を減らしていかない限りは、容易く勝ち点3を積み重ねることは難しい。アウェイのG大阪戦まで中3日しかなく、コンディション回復が中心となるとは思うが、いま一度、精度と球離れのスピードを高めてボールを常に動かす意識を共有し、“悪癖”に陥らないよう努めたい。
◇◇◇
天皇杯 2回戦
2025年6月18日(水)19:03KO
味の素スタジアム
入場者数:5,651人
天候:晴 / 気温:29.1℃ / 湿度:45%
主審:清水勇人
副審:熊谷幸剛、川崎秋仁
第4の審判員:森田秀一
FC東京 3(2-0 / 1-1)1 金 沢
【得点】
(東):佐藤恵允(32分)、佐藤恵允(44分)、長倉幹樹(85分)
(金):村田 迅(89分)
〈試合経過〉
10分 警告 金沢 ジェフェルソン・ジャリ
24分 警告 金沢 白井裕人
32分 得点 東京 佐藤恵允
37分 警告 金沢 土信田悠生
44分 得点 東京 佐藤恵允
46分 交代 東京 仲川輝人 → エヴェルトン・ガウディーノ / バングーナガンデ佳史扶 → 木村誠二
46分 交代 金沢 畑尾大翔 → 松本大輔 / ジェフェルソン・ジャリ → 長倉 颯
58分 交代 金沢 毛利駿也 → 石原崇兆 / 大谷駿斗 → 四宮悠成
74分 交代 東京 北原 槙 → 高 宇洋
78分 交代 金沢 大山啓輔 → 大澤朋也
80分 交代 東京 佐藤恵允 → 俵積田晃太
85分 得点 東京 長倉幹樹
86分 交代 東京 長倉幹樹 → 安斎颯馬
89分 得点 金沢 村田 迅
◇◇◇
【FC東京メンバー】
〈スターティングメンバー〉
GK 41 野澤大志ブランドン
DF 05 長友佑都
DF 06 バングーナガンデ佳史扶
DF 30 岡 哲平
DF 32 土肥幹太
MF 28 野澤零温
MF 37 小泉 慶
MF 53 北原 槙
FW 16 佐藤恵允
FW 26 長倉幹樹
FW 39 仲川輝人
〈控えメンバー〉
GK 13 波多野豪
DF 02 室屋 成
DF 47 木村誠二
DF 99 白井康介
MF 07 安斎颯馬
MF 08 高 宇洋
FW 19 マルセロ・ヒアン
FW 33 俵積田晃太
FW 98 エヴェルトン・ガウディーノ
〈監督〉
松橋力蔵
◇◇◇
【天皇杯 試合日程】
2回戦 06月18日(水)19:00〇FC東京 3-1 金 沢(味スタ)
3回戦 07月16日(水)--:-- FC東京 ✕ 大 分(未 定)
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