全国畜産縦断いきいきネットワーク

全国の畜産に携わる多くの女性たちが畜種を越えて集まり、より魅力ある畜産の実現を目指した女性たちのネットワークです。

200912.01~12.02開催!神奈川県:葉山での楽しい研修会の報告で~す!!

2009年12月25日 | ネットワーク紹介
12月1日、懸案の 「若手後継者・担い手育成の研修会」を開催しました。基本プランは、会員の神奈川県・三留さんの手塩にかけた肥育牛が芝浦市場に出荷されるのを機会に、芝浦市場でセリの様子を見学するとともに、神奈川県に移動して、後継者の確保対策や若手経営者の悩みを十分話し合うこと、翌日には三留さんの経営と会員の安田さんの鶏卵の直売所、仲間の関口さんのアイスクリーム製造・直売所等を訪問して勉強するという計画。
 12月1日(火)
○芝浦食肉市場にて
 通勤客が早足で通り過ぎていく品川駅前に、会員やそのお友達、事務局合わせて全参加者数24名のうち14名が時間通り全員集合しました。午前9時。
 徒歩で芝浦市場に向かう。こんな駅前の繁華なところに食肉市場があるのは想像もできないが、昔を知っているOBに聞くと、「ウスくらい地下道をくぐって地上に出ると品川駅東口で、昔はJRの操車場に沿って市場まで歩いたもんだ」。当時のイメージは全くないとのこと。
 市場につくと、案内を受けてエレベータで9階の会議室に。ここで白衣をお借りして長靴にはきかえ、市場内を通ってセリ場へ。本日の上場頭数は600頭超、目的の三留さんの出荷牛は400番台とのことで、多少の時間がある。懸垂された枝肉が次々にセリに掛けられる。1頭当たり1分くらいだろうか。仙台牛などの名産地からの出荷もある。黒毛和牛だけでなく交雑種もある。買参の方々に聞くと、このところ相場は「芳しくない」。年の暮れ需要の仕入れに入っているはずなのに、不景気の影響かな。
 でも、さすがにブランド牛になると2000円を超えたところから台付されセリが始まって、次々にセリ落とされていく。三留さんの出荷牛もブランド牛としての扱い。セリ値もまあまあだった様子。
 ついで、「お肉の情報館」の講堂に戻り市場に上場するまでのと畜からセリまでのビデオを見せていただく。出荷からセリまでの流れがわかりやすく、よく理解できた。


市場へのお礼もそこそこに、品川駅に戻って、湘南線に飛び乗り、車中で昼食をとりながら、本日の次なる会場の「湘南国際村」へ向かう。
○研修第2弾・「湘南国際村」にて 基調報告
まず、三留さんから葉山牛について、ブランド確立までのご苦労話をお話しいただいた。
三留さんは肉用牛を飼い始めて40年。今でこそ「葉山牛」はブランドを獲得しているが、その苦労は大きかった。でも結論から言うと、「努力した甲斐があった」とのこと。いくつかの要因があるが、三留さんは、①行政とのつながりがスムーズにいったこと、②消費地が近く、量が少ないことから希少価値があること、③「葉山」という土地柄の持つ高級イメージを活用できたこと等を挙げて、さらに④宣伝のためには消費者に直接アピールするため、牛舎を開放してきたこと、⑤飼料も濃厚飼料・ワラのほかに、豆腐粕、ビール粕を利用するが、とくに腐敗防止のためにお酢を利用していることなどを明かしていただいた。
また、この飼料を給与するとアクの出にくい、さっぱりした脂身ができるということだ。三留さんの生産牛は地元の周辺のレストランを中心に約60店舗で扱ってくれているとのこと。
 後継者の育成・確保については、三留さんのお嬢さん(本会会員)が最近結婚され、後継者として経営に参加しておられるが、「特段に意識していなかった。1日の作業分担を明確にして、きっちり責任を持たせることが大切」とアドバイス。
○課題発表
 参加された後継者世代、親世代でそれぞれの立場で意見が出された。
 後継者世代からは「家族で分業して経営しているが、忙しさのあまり家族内の意思疎通がおろそかになり、小さなトラブルが続いた」そこで「毎朝、時間を決めて家族会議を開いてどんなに小さなことでも疑問や意見を出す」こととした。この結果、「トラブルも減り、今では気持ちよく働いている」という、体験発表もあった。
 同時に、今後の方向としては、畜産の楽しさ、苦しさ、やりがい等のPRの必要性が強調された。


○懇親会
 以上のようなことが話し合われた後、楽しい懇親会に移り、夜更けまでお互いの近況や対応について意見交換した。

12月2日(第2日目)
 今日は、先輩の経営を見せてもらい、勉強する。
○安田養鶏場
 現在約1万羽飼養。ご家族で分業しており、敷地内には住まいのほか、丘の上には鶏舎、鶏糞等を活用しての有機野菜栽培と卵の直売所がある。横須賀市の市街地にあるが、直売所は午前9時に開店、車で来店される方が多く、野菜と卵を求めて午前中には品切れするほどという。
 販売ではこの直売のほかに、近隣のレストランと契約し、有機野菜と卵をおさめているほか、卵を10個、20個、30個という単位でも販売、宅配もしているという。こまめな対応によって、都市近郊でも畜産が成り立つことを教えていただき、大変参考になった。

○関口牧場
 現在、30頭を搾る酪農家。ほか肥育牛10頭、繁殖牛3頭飼養している。近くの生産者は肉用牛に移ってしまい、酪農は関口さんのところのみという。近くの幼稚園や小学校に子供たちとの交流をきっかけに、アイスクリーム製造を始め、今では直売店を中心にしている。インターネットやホームページは持っておらず、もっぱら口コミでお客さん同士のブログで知られるようになった。労力は関口さんご夫妻と従業員1名の3名で、現在はジャージー牛の肉販売も手がけるようになった。周囲の環境から規模拡大は難しいようだが、市街地での様々な工夫で畜産経営が行えるという、素晴らしい事例ととらえることができよう。

○三留牧場
 最後は、昨日からお世話になっている、三留牧場。肉用牛は現在、約180頭。葉山牛の主力牧場として活躍されているのは前述の通り。古電柱を利用した旧牛舎や新築した牛舎、たい肥舎などを見学した。前の日、話していただいた豆腐粕にお酢を混ぜる技術に参加の方々の興味が集中し、ついに実演してもらうことになった。研修生は熱心にメモを取っていた。また、試験的に始めたという繁殖牛舎にも連れて行っていただき、研修生の一人は、居残って、餌やりの実習まで行ったとか。

以上、簡単に今回の研修を報告したが、参加された方々は一つでも多くを学んで帰ろうという意欲に満ちていた。

 参加の皆さん、見学先などお世話いただいた多くの方々、三留さん、本当にお世話になりました。ありがとうございました。
 次回、このような機会がありましたら、またご参加ください。次はあなたの番ですよ。 

最新の画像もっと見る