中国、新疆ウイグル自治区で顔認識システム運用をテスト。指定地域から300m以上離れると当局に警告
2018年1月20日, 午前06:00 engadget.
中国が新疆ウイグル自治区西部にて、対象者が指定された「安全区域」から300m離れると当局に警告する顔認識システムを
テスト中であることを、米Bloombergが報じています。
同地区は2014年に多数の死傷者を出す暴動が起きた後、多くの検問や警察署、監視カメラが設置され、監視システムの実験場に
なっているとのこと。こうした動きは、中国の一般市民を監視してデータを集め、テロ行為を事前に予測するソフト開発努力の一環と
伝えられています
中国当局はイスラム過激派のテロを防止するためには、厳重な治安対策が必要だと主張してきました。新疆ウイグル自治区では、
約1000万人ものウイグル人に宗教上の自由を制限し、警察がパスポートを預かることで旅行を制約するといった措置を講じており、
欧米諸国から「国際人権規約違反だ」として批判を集めています。
同自治区の当局は、住民が市場に入ったり、燃料を購入したり、首都ウルムチのバスターミナルなどの場所を訪れるにあたり、
顔のスキャンデータを提出するよう義務付けているとのこと。
こうした監視・警告システムを手がける技術グループは、レーダーや宇宙システムの構築経験を活用。一般市民の仕事や趣味、
消費習慣などの行動データを照合してテロ行為を予測するという、SF映画『マイノリティ・リポート』のようなソフト開発の一部と
されています。
大手情報会社IHS MarkitのアナリストJon Cropley氏によると、中国は全世界の監視カメラ市場のうち46%を、データ分析する
ディープラーニング用サーバーの4分の3を占めているとのこと。同国は2015年に国内の治安維持費として938億元(約16兆円)もの
予算を発表しており、金額的にも「監視大国」になっているようです。
中国は2017年末の時点で全国に約1億7千万台ものCCTV(監視カメラ)を配置し、2020年までには4億台以上に増えるという
予測もあります。高度に情報化が進んだ社会は、最もディストピアに近いのかもしれません。