埼玉地方版の「さいたま文化」欄に寄せられた、短歌、俳句、
及び詩の中から秀作を選んだ「朝日さいたま文化賞」。
短い短歌や俳句は「その心」を読み取るのは難しいが、少し
長い「詩」は何となく作者の心もちが理解できるような・・・。
詩部門の正賞、「スニーカー」と題した郡山美和子氏の作品。
「白すぎて 眩しすぎて なぜか気恥ずかしい」下したての
スニーカーを履いて散歩しながら思う「心もち」である。選者
が褒めるその中盤の対句、
今日一日の糧を得て
今日一日の運を拾う
ささやかさ という最高の贅沢
つつましさ というちょっとした傲慢
そして終盤は、
そりゃ
何も嫌な思いに身を馳せるより
何も知らないふりをしていたい
それが生きていく叡智であれば
このまま 流されてみようか
と、石を蹴る
作者の郡山美和子氏は、趣味の「刺繡」の本を探しに本屋に
出向く。そこで、店員から「詩集」のコーナーに案内された。
「シシュウ」間違いが縁で詩作を始めた。
後に、詩人の茨木のりこ(1926-2006)の作品にも、書店で
詩集と刺繍を間違えられたという内容を発見したという。
私も散歩が好きである。散歩しながらいろいろ考えを巡らす
こともある。真新しい白いスニーカーではないせいか美和子氏
のような「心もち」になることはない。もっと下世話である。
昨日、水無月朔日の日の出
江戸川に川霧が流れる
南には低く黒い雲、明日は雨の予報