映画監督の山田洋次が朝日土曜版で連載中の「夢をつくる」で、
先月末イタリアの映画祭で「生涯功労賞」を受賞した女優兼歌手
の倍賞千恵子(6月で82歳)を語っている。
山田洋次と倍賞千恵子と言えばあの「寅さん」シリーズだが、
最初の監督作品は「下町の太陽」。美空ひばりなどの歌手が主演
の「歌謡映画」が流行った頃だった。
前年に封切られた吉永小百合「キューポラのある街」が念頭に
あったことから、工場労働者の若者たちの恋の物語と言う「地味」
な映画になって、興行成績はさっぱり。
しかし、倍賞千恵子の演技の素晴らしさ、特に悲しみや喜びが
その眼にうっすらと浮かぶ演技の素晴らしさは観客に伝わった。
同じように目の表現が素晴らしい役者は、「寅さん」の渥美清。
だから、この二人が兄妹になる映画がヒットしないはずがない。
投手と捕手のように名バッテリーとなった「寅さん」シリーズは
二十年ものヒットシリーズになった。
団地の花たち