じんべえ時悠帖Ⅱ

ロンドンのコロナ事情

 ロンドンに長く住む翻訳家の園部哲氏が寄稿した、ロック

アウト中の四月のロンドンの様子や英国人気質が興味深い。

その中の一部を紹介する。

    (6/7付の新聞日曜版特集「コロナのいる日常」より)

 

 持病の点滴治療のため外出した園部氏は、ほゞ無人の街が

珍しく長い時間歩き回った。

 人が全くいないわけではない。その多くはベイム(BAME)

かホームレスたち。BAMEは黒人、アジア人、少数民族の

頭文字で、清掃人やバスの運転手である。

 ホームレスが呟いている。「ステイホームとは何ぞや」。

 

 ちょっと疲れてガランとした駅舎で休憩すると天井の

スピーカーから幼い少女の声が降る。

「お願いです外出しないで下さい・・・あなたが外出しない

ことで誰かの命を救うことができるのです」。

 数年前、それまでの男性の声ではなく少女の声で事故

防止のアナウンスをしたら事故が3割減ったという。

 子供は自分たちよりも本当のこと、大切なことを言う

ことを大人は知っているからだ。

 

 英国人はマスクに抵抗があった。政府は「うつらない

ように」ではなく「うつさないように」を強調して励行を

訴えて、意外にも定着した。

 強制を嫌う英国人だが、自らの行動が社会貢献になると

思えば積極的に動く。受動ではなく能動を好む。

 

 数日後、園部氏に市役所から電話が入った。「今後は

3ヶ月出歩かないように」。誰かに通報されたのかと青く

なった。不要不急の用で歩き回った日本人・・・。

 それは杞憂だった。園部氏の持病は自己免疫疾患で、

コロナ禍の下ではハイリスク市民に分類される。

 「買い物の優先権を与えるので好みのスーパーを2つ

指定して下さい」。配達もするという。弱者に配慮する

社会に住んでいる、と園部氏は実感したという。

 

 園部氏が点滴治療を受けたロンドン大学付属病院は

新型コロナウィルスと闘う最前線。

 点滴を受けた同じ地下1階は、上空8階の集中治療室で

生死の闘いの末についえた人たちが、家族に会えぬまま

下ろされて来た安置所である。

 以前は陽気だった点滴係の看護師も、英国のEU離脱

で看護師不足となり、いつ「上階」動員されるかわから

ないと不安気。

 英国では患者からの感染で医療従事者の200人超が

死亡している。遺書を書いておく医師や看護師も多い。

 政府の外出宣言緩和を冷ややかに見て、第二波到来は

必至として、一切気を緩めずに奮闘中という。

 

 さて日本の三郷、昨日の朝は日の出の時間に曇っていた

ので、少し後の公園を散歩。雲間から薄日が差す。

帰り際、雲が切れたのかしっかりとした陽射しになる


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コメント一覧

jinbei1947
えめらるど様
ハイレベルなのはワイコマ様のコメントで、私は新聞記事を書き写すだけです。
jinbei1947
鼻にかかって聞きにくい米語よりもキングスイングリッシュが好きです。
ただし、内容がわかるという意味ではなく、わかるような気がするだけです。
どちらの国も自国主義の大統領や首相にかき回された国、いつの日か
マトモな国に回帰するよう祈ります。
えめ
午後のひと時、居ながらにしてご両名のハイレベルの談話会に臨む事が出来て、幸せです。
ykoma1949
それぞれの国のお国柄が出ていて、英国らしい
対応ですね~その昔日本もこの国の文明と議会
制民主主義を教わった、この国も島国なのに・・
日本と似ていても、島国根性の欠片もないところ
が素晴らしい。今でも教わるべきところは沢山
ありますが、これからEUと離れ独立して本当の
英国人気質が試される。BAMEは日本とは大きく
人口の占める割合が違うがアメリカの人種差別の
感覚とは、大違い。我々も、もっと学ばなければ
ならない国の一つだと思います。
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