じんべえ時悠帖Ⅱ

ある音楽会、at無言館

 信州上田市、塩田平を見下ろす山裾にひっそりと佇む

「無言館」。戦没画学生慰霊美術館である。

 2年前の秋、上田市内にある旧友の墓参の後、別所線

の駅から歩いて無言館に向かった。無言館の入口までの

最後の数百メートルは山に向かう急坂である。

 しかしその入口には「本日休館」の札。そこから更に

無言館の建物に向かう急坂が続く。「建物だけでも」の

思いはその勾配を見上げて見事に失せた。

 

 戦後75年を前にした今夏、この無言館である音楽会が

行われた。二十世紀を代表するフランス人作曲家である

オリビエ・メシアンの「世の終わりのための四重奏曲」。

 第二次世界大戦に仏軍兵士として出征したメシアンが

音楽家のために作曲し捕虜収容所で初めて演奏された曲

という。

 コンクリート打ち放しの無言館に、日独の一流演奏者

による悲しい曲が流れる。作品が無ければ牢獄のような

無言館。まさにレクイエム(鎮魂歌)である。

 そして無念の戦死を遂げた画学生たちの作品が映る。

自画像、風景画もあるが、やはり浴衣や着物姿の女性や

裸婦が多い。

 2年前、幻に終わった無言館見学だが、NHKテレビ

放送「クラシック倶楽部」のお陰で、それも音楽付きで

しっかりと「見学」出来た。

その無言館への入口(2018年10月)

 この日、塩田平を見下ろしながら、ところどころの

案内板を頼りに山裾を別所温泉まで歩いた。

無言館第二駐車場付近から見た独鈷山

 無言館近くの前山寺では、門前を丁寧に掃くお婆さんに

塩田平の見どころを聞いた。

 この先の「塩田の館」で手打ち蕎麦の昼食。ビールの

後はやはり冷酒。そして思わぬ土産を見つける。

それは次回としよう。

 

 

 

 


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コメント一覧

jinbei1947
ワイコマ様
街中ではなく、さりとてそれほど人気のある観光地でもない。
そんな山裾にポツンと無機質に建つ無言館。
その中でそんな濃密な集まりが・・・、貴重な経験でしたね。
ykoma1949
数年前に、この無言館前で黒坂さんのオカリナ演奏会と、大人の成人式が開催されて
それに参加してきました。
おっしゃるとおり、駐車場は一杯でず~と路駐
なに??この人気は・・行ってみて判りました
下の方に車を路駐して汗干っしょになって歩いて
いったら、オカリナの黒坂先生と声楽家の奥様
そしてなんと樹木希林さんが来ていたんですよ
私は少し遅れて会場についたので、会場前に
撮影録音は禁止です・・という注意を聞いて無くて
会場で後ろの方から何枚か写真を撮ってしまい
後から係の人から注意され販売や展示会などに
使用しないでくださいと言われ、私の名刺を
出して、心配なくとお詫びしてきました。
でも館長の窪島誠一郎さんが助け舟を出して
樹木希林さんとも一緒できました。それから
数年後に樹木希林さんは亡くなりました
ご存知のように窪島誠一郎さんは水上勉さんの
ご子息で・・この日は素晴らしい人達の集まり
汗を流しながらでも素晴らしい時間を過ごせました
今となっては 思い出の一つです。
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